ホント、キャッツには目がないんですよ!

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落語の演目の一つに「道具屋」と言うのがございます。よく出来たお噺なので、東西の噺家さんの多くが得意の演目として、そのレパートリーのひとつに加えております。

噺の筋はいたって簡単。いい歳をしても定職に就かず、ふらふらしている甥に、自分が副業としてやってる道具屋をやらせて一人前にしてやろうという大家の旦那。しかし、この甥がとんでもない与太郎、つまり愚者でありまして、いざ露天でお店は開帳したものの、来る客来る客みんなしくじる。このしくじるサマの間抜けな様子の面白いところが落語の肝となっております。

さて、このお話でおかしいのが、その売ってる品物が一つとしてまともなものが無いところ。

火事場で拾ってきたノコギリの錆を落として、柄を付け替えだけのものとか、短刀に見えて実は抜けない木刀。首のとれるお雛様。脚が一本欠けてまっすぐ立たたない扇風機。ボラが素麵食ってる様にしか見えない鯉の滝登りの掛け軸やら。この内容から察するに道具屋は道具屋でもこれは古道具屋なのでございましょう。

まあこんなとんでもない品ぞろえですから、この甥っ子が一つも商品が売れなくても当然じゃあないの、と思召す方も多い事かと存じますが、商売と言うもの必ずしもそうとは限りません。

実際、関西版のお噺のほうには、おじさんが道具屋を開店するにあたって、甥を戒める場面。「こんなもんでも、そこらに並べときゃ、どこぞのアホが買おていによるやろ」なんてひどい台詞が出てまいります。(どこぞのアホが買おていによるやろ=どこかの馬鹿が買っていくであろうに)

また、江戸版の方では、この甥っ子が商いをしくじる度に、隣の露店商が親切にも、客にゃ世辞の一つも言って懐に飛び込むんだ、などといってアドバイスしてくれたりも致します。

まあ、ここに出てまいりますような欠陥商品を上手い事言って売りつけるとなりますと、一種の詐欺でございますが、実際商売と言うものものは詐欺と紙一重のところが往々にしてございます。欠陥商品を言葉巧みに装飾して売ると犯罪になりますが、普通の何の問題もない品を言葉巧みに販売すれば、これはれっきとした接客商売。

さあそういう事で、こちら当店の欠陥商品、なんて滅相もございませんが、何と目の出ないアクアマリンキャッツアイの販売と言う難題に、不詳ネットテキヤ、わたくしハリー中野が果敢にチャレンジしてみたいと存じます。

 

さてこちらは、ペアシェイプのこんもりとした、ナリの良い、まるで拡大した雨のしずくのようなカボッションにカットされましたアクアマリン。大きさは10キャラット近いけっこうなボリューム。こちらの石、半透明と言うまでの濁りはございませんが、若干の曇りがございます。その原因は宝石内部にございます極めて微細な針状のインクルージョンによるもの。実はこの針状インクルージョンによってシャトヤンシー、すなわち猫の目効果が生まれるのでございます。この猫の目効果の原理とは、キューティクル豊富な美しいストレートヘアの女学生などの頭頂周りに現れる天使の輪と呼ばれる光の反射の原理と一緒。極細の線上の突起が並んで広がる面に対して、その線と直角に交わるように現れる光の反射の帯がこの猫の瞳となるのでございます。

では、このアクアマリンのキャッツアイ、なぜ猫の瞳が極めて薄く微妙で見分けがつかないのかといいますと、それはこの天使の輪の元となる針状インクルージョンが少ないせいなのです。半面、それゆえこのアクアマリンの透明度が高いわけなのでありまして、そこがこの宝石の魅力ともなっているのでもあります。

それならなにも、キャッツアイと名乗らなくてもいいじゃないか、とのお叱りの声が聞こえてまいりそうですが、実は猫の瞳とまでには形がさだまりませんが、微妙な光のシーン、あるいはシラー効果と呼ばれる光の移ろいが認められるからでなのであります。このシラー効果の代表的な宝石がムーンスト―ン。ご存知の方も多いかと存じますが、石の内部からぼやーっとした光が浮き上がってきて、石の移動に伴いこの光りも揺らぐといった非常に神秘的な効果を宝石に与えます。それと同様、こちらのカボッションアクアマリンもその石の動きに合わせ、石の内部から、行燈の和紙を透かしてぼんやり見える焔の反映のような光のうねりが見てとれます。ならば分かりやすくアクアマリンムーンストーンと名乗ればいいじゃん、とまたまたお叱りを受けるかもわかりませんが、実はムーンストーンの変種ですでにそう呼ばれる固有の宝石がございます。ですからあくまでアクアマリンであるこちらの石は仕方なくアクアマリンキャッツと名乗っている様なわけなのでございますが、実際にはアクアムーンスト―よりも断然魅力的なのでございます。

メレダイアが連なる長めのバチカンの最下部に、このダイアモンドの鋭い輝きと対照的なまったりとした、石の奥底から、身体の動きに合わせて、うねるような光のウェーブを放つ大きな雨粒ようなアクアマリン。この何とも言えない幻想的、神秘的な風情。このしっくりした色目の上品な風合いを見るにつけ、宝石の名前など別にどうでもよくはなりませんか、美しければ。

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