皮肉なことに日本国の崩壊は大震災でも富士山大爆発でもゴジラ上陸でも列島沈没でもなく、愛と平和の祭典オリンピックによってもたらされた。
2020年東京オリンピックが2021東京オリンピックと改名されたのを見た占い師、野山悦山は腰が抜けるほど驚いた。
「こりゃ、アカン!大凶の語呂合わせやがな!どえらい事になるど、こりゃ」
勤務先の尼崎「占いの館フォーチュンクッキー」でヒマを持てあまし、客が置いていったスポーツ新聞の記事を何気なく読んでいた彼は思わず大声をあげてしまった。
「どないしたん、急に大きな声出して?ビックリするやないの!」
同僚のトランプ占い熟女マギー峰子が野山を非難するように問い詰める。
「これ見てみコレ、この文字2021東京、この字画。これ大凶やで。どえらい天変地異が起こる前触れや。なんとしてもオリンピック止めさせなアカン!」
「大丈夫や!アンタの占いやろ?んなもん当たったためしあれへんや無いの。心配しな。もっと自分の無能を信じなあかんわ。」
「?それもそやな」
それから半年
「緊急速報を申し上げます。本日予定されておりました陸上競技全試合が関係者のコロナ感染によってすべて中止となりました。繰り返します・・・・・・」
出勤前の慌ただしい時間、時計代わりにつけているテレビの緊急速報に、ネクタイを締める手を一瞬止めた信用金庫勤務の山田和夫。くわえたトーストをおもわず口から落し、
「全試合?マジで?」
「総理、総理!」普段冷静沈着の官房長官が珍しく血相を変えて執務室に飛び込んで来た。
「なんだ、ソーリソーリって、野党の辻元君かと思ったら君かね」といつもの皮肉まじりの口調で返す総理大臣の言葉を無視し、内閣官房長官は矢継ぎ早にことばを発した。
「大変です、オリンピック大会のバブル内でコロナのオーバシュート、感染爆発が起こっております!」
「何を興奮してるんだね。そんな事はハナから想定内のことじゃないかね。感染が広まったところで、大方の人間がすでにワクチン接種者だから無症状か軽症で済むはず。一般庶民のように数字に踊らされちゃいけないねー、君ともあろう者が」
「違うんです、全世界、205の国と地域から集まった選手、関係者が持ち込んだ様々なウィルスが混ざり合い刺激し合い、変異などと呼べるような生易しいものではないミューテーションを遂げ、とんでもなく恐ろしい変異株に変化してるのです」
「ほう、治療薬のカクテル療法に対抗してのウィルスの方もカクテルか?敵もさるものじゃないか?」
「感心している場合じゃありませんよ総理!新しい変異ウィルスには既存のワクチン、治療薬はまったく効果が無く、さらに感染力も強烈でマスクは何の役に立ちません。恐るべきことに致死率はほぼ100パーセントなのですよ!まだ公にはなってませんが選手村での死者はすでに100人を超えています。早急に手を打たねば大変なことになります」
「・・・・・・・・わかった・・・・じゃ、私は早急に入院、ユリコちゃんに倣って過労で入院することにしよう。後は君にまかせる、次は譲るから、ねっ」
一週間後のとあるやんごとなき場所。
「陛下、やはりご心配が的中した模様で、国中は未曾有の大混乱となっております」
「長官がせっかく異例の声明をだしてくれたのも無駄となってしまったようですね」
「力及ばずまことに心苦しいかぎりでございます」
「いや、民をおもう心すら為政者には一顧だにされぬわたくしの不徳のいたすところでありましょう」
「そのような制度、体制を革めるべしとする自衛隊若手将校が決起せんものと陛下の勅諭を今や遅しと待っております」
「・・・・・・・・・」
「陛下!」「陛下!」
などというコロナ禍が引き起こす恐怖による妄想に取りつかれ、暗いストックルームで独り芝居を繰り広げていたわたくしの心に差し込んだ一条の光。
「目を覚ましなさい。なにも恐れる事はないのです。このクリアーで透明な光が日常を照らす時、あなたの生活はとこしえに変わる事の無い平安で満たされるのですよ」
まるでオードリーの優しい声と慈愛に満ちた眼差しに包まれたるかのように、ティファニバイザヤードペンダントのダイアモンドの輝きが優しく私を照らし、そしてそのようにささやきかけてくれたのでございます。
「困難の中でも『美しいもの』が支えになるのです」というモデル、タレントの森泉、森星さんのおばあちゃまであらせられる服飾デザイナー森英恵先生のお言葉通り、日常の生活の中で、常に十万光年先の恒星のように、小さくも美しい輝きを放つティファニのダイアモンドを身に着けることにより、あなたの心は常に平穏で前向きに保たれるのでございます。
さあ、正気に還って元気を出して、皆でオリンピックを応援いたしましょう、ガンバレ日本!!
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