バイザヤードペンダントから背中まで45分

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このような、いわゆるプチネックレスなどと一般に呼ばれております、首回りを飾る軽めの宝飾品は、どういうわけか世間では薄着になる夏場専用のものであると認識されているようですが、サにあらず、シにあらず、スもあらず、もうエエちゅーねん!

もちろん、夏場にしてもろてアカンちゅーことは全然ないのでございますが、夏はほら四六時中皆さん薄着やさかい、こういった飾りモンの演出効果が薄れるわけですわ。

なんや、その演出効果いうのんは、ってか?そんなんも分からんとジュエリーつけとったら困りまんな、奥さん。

こういった光りモン、飾りモンちゅーんは、目立ってなんぼ。目立たんかったら何にもならへん、ちゃう?奥さん。

例えばや、お寺なんぞにお参りに行ても、たいていご本尊は本堂の奥に大切に安置されて、簡単に拝めんようになっとる。特に有名なお寺さんの、運慶快慶作みたいな国宝級の有り難いご本尊なんどになると、奥の院なんていうお寺の敷地の一層奥まった所の建物に恭しく納められてあって、年に一回、限られた日にしかご開帳されへん事が多いのです。

そや!ご開帳で思い出したけど、オッチャンが若い頃よう行ったストリップショーかて、最初から全裸、スッポンポンで飛び出してくる踊り子さんなんておらへん。みんなそれらしいセクシーな衣装を着けてやね、これを勿体ぶって一枚づつ脱いでいくわけですわ。その焦らしの小細工にまんまとアホなオッサンどもはハマって、エエ歳こいてエキサイトするわけやね。これが、すなわち演出効果言うもんですわ。

「秘すれば花」いう言葉知ってまっか?これは室町時代、能の始祖とも言われる世阿弥が記した「風姿花伝」に出てくる、「秘すれば花なり秘せずは花なるべからず」という記述からの引用で、すなわち、なんでも初手からモロに見せつけるとアカン、艶消しや。ちょっと隠す、あるいは隠れているところに、もっとよう見てみたい、どないなっとんねんやろ、いう興味、欲望が湧いてくるわけですわ。すなわちストリップティーズと一緒で、折角の秘宝、お宝を御開帳するにはそれなりの演出が大事言うこっちゃ。

そりゃあなた、ティファニーのバイザヤードペンダントやからダイアモンドも特級で格別の輝きや。これをば、例えば水着からこぼれる日に焼けた素肌に着けてみなはれ。それなりに映えて、ええ風情になるのは当然。そやけどや、それでは芸がない、工夫が無い。あからさますぎる。大阪の古い言葉で言うと、ざんない。

さて、これから季節も冬。皆様方もどんどん厚着になっていく訳で、実はここからがバイザヤードペンダントの本領発揮のシーズンなんですわ。

女性の方なんか冷えたらアカン、風邪ひいたらアカンいうことでやね、マフラーやらストールやらでニシンの昆布巻きみたいに、首グルグル巻きにしはりますわな。

なんや、そんなんやったら折角着けたネックレスが見えんようになるだけやん!わざわざ着ける必要あらへんがな、ナニ間抜けな事ほざいとんねんオッサン、舐めっとったらショーセンドーワレ!と河内弁の罵倒が何処からか聞こえてまいりそうですが、ちょー待っとくれやす。

まあ、ストールやらスカーフなんていうもの、寒いから言うて四六時中首にグルグル巻きにしてる訳やおまへんやろ、むち打ち症のコルセットやないんやから。もちろん室内に入ったら暖房もよう効いとるさかい、嫌でもこれをとらんと、逆に熱うてかなん、ちゃう?

さあ、ジュエリー演出効果のお話、佳境はこっからよ、よう聞いてや。

季節は冬、冬のビッグイベントいうたらなんちゅうてもクリスマス。JR東海クリスマスエクスプレスの宣伝に使われた山下達郎のかの有名なCMソングのお陰で、その歌が流行した1980年代後半から今に至るまで、世の恋人たちはクリスマスイブいうクリスチャンの聖なる夜を、何を勘違いしてか、特別なデートの日とするしきたりが定着しております。

普段は吉牛やら丸亀、王将などでつましく晩飯を食いよるカップルも、この日ばかりは気張ってビストロなんちゃら言うような、コジャレタお店に背伸びして出掛けたり致します。

木枯らし吹きすさぶ夜の街。歌のとおり、日中に降り始めた雨は、雪に変わってしんしんと冷えてきよる。シナリオ通りや!

暖を求め飛び込むように入った店内。温度差でいっぺんに上気しピンクに染まる彼女の頬。

上着をお預かりします、と店員に促されるがまま、女性が外套を脱ぐと、その下は思いがけなく襟ぐりの広い、身体のシルエットもあらわな薄い黒のニット。肩から外した外套を店員が預かる刹那、体温と一緒に閉じ込められていた甘いフェロモンの芳香が辺りに拡散し男性の鼻孔をくすぐる。

これが先制のジャブからの左右のワンツーや。

そしてとどめが、華奢な鎖骨の間で、エントランスホールのクリスマスツリーの電飾のきらめきを受けてまばゆく輝く、ティファニーバイザヤードペンダント至高のダイアモンド。

この井上尚弥ばりの電光石火のラッシュを受けて、男はもう茫然自失、ディナーの味なんかもう分からへん。スパークリングワインの酔いがさらに追い打ちをかけて、想いの向かう先はただ一つ、陽水の名曲「背中まで45分」。

またこの45分が長いんや、知らんけど。

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