ギメルのでんでんむしむしかたつむり

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吉田拓郎さんが引退するそうですな。

まあ、76才言うんやから歳も歳やし、だいたい普通還暦過ぎたらろくすっぽ満足に声も出んようになるんやさかい、そらしゃーないんちゃいまっか。

このオッチャンね、私らの学生時分にはそらもうエライ人気で、いわゆるフォークソングブームの文字通りのけん引役として活躍されてました。

ただね、フォークソング言うて、私らみたいな年寄が真っ先に頭に浮かぶんは、なんちゅーたかてフォークの神様言われた岡林信康さん。この人をおいて外にありまへん。

拓郎さんが「結婚しようよ」いう曲の大ヒットで一躍脚光を浴びるよりもずっと以前に、「山谷ブルース」という日雇い労働者の日常を歌に託した曲で世に出て以来、もうプロテストソング、反戦歌と呼ばれる数々の問題作を世に出し、その多くが放送禁止となったいうからタダモンやない。

例えば吉田拓郎の名前を一気に世間に知らしめた、「結婚しようよ」の歌詞、

“僕の髪が肩まで伸びて 君と同じになったら約束通り街の教会で結婚しようよ、ムフッフーン”

などという、いかにも軽佻浮薄、お気楽な文言で始まるのに対し、岡林の「山谷ブルース」はいきなりのこれや、

“今日の仕事は辛かった あとは焼酎あおるだけ どうせ山谷のドヤ住まい ほかにやるこたありゃしねー”

どうです、いかにも荒んだ、自暴自棄、明日の見えない鬱屈した日雇い労働者の心情が沸々とにじみ出てるやおまへんか?

この歌以外にも、差別と貧困という同和問題を真正面から取り上げた「チューリップのアップリケ」や「手紙」、もう涙なくして聴かれへん。それに70年代学生運動の応援歌、テーマソングのようにまでなった「友よ」。

当時の学生運動の闘士たちは、みんなこの歌唄うては気勢を上げ、角棒やら火炎瓶で武装して機動隊に突撃していったものです。なんせ歌詞からして、もうハナから闘争心を煽っとる。

“友よ 夜明け前の闇の中で 友よ戦いの炎をもやせ 夜明けは近い 夜明けは近い”

どうこれ、血気盛んな若者を思いっきりけしかけてるやん。あれから長いこと経つけど夜明けは来たんかなー?知らんけど。

まあこういった社会や政治への批判やメッセージを歌に託して歌うのがフォークの神髄と思われていたものを、一気にひっくり返し弱体化したのが吉田拓郎やそれ以降に出てきたフォークシンガーやグループたちやね。ひょっとすると当時の政権の工作員かも知れんで。

拓郎さん「結婚しようよ」以外にもたくさんのヒット曲がございまして「旅の宿」という曲では、

“浴衣の君はすすきのかんざし 熱燗徳利の首つまんで もう一杯いかがなんて 妙に色っぽいね”

なんかしてけつかんねん!腑抜けた事ぬかしやがって、ええ若いモンが!不倫旅行気分かよ、十年早いんじゃ、アホンダラ、ボケ、カス!と思わず叱咤したくなるほどの堕落ぶり。いや、まだある。かぐや姫いうグループが歌った「神田川」。俊郎ちゃうよ、言うとくけど。

この歌はその当時流行った同棲、しかも学業を本分とする学生の分際でありながら、色欲にかられ万年床で同棲する若い男女の生態を生々しく描いた歌。その一節がこれや、

“三畳一間の小さな下宿 あなたは私の指先見つめ 悲しいかいって聞いたのよ”

悲しいはずあらへんがな!悲しいのはその隣の部屋で聞き耳立てとる同級生のモテナイ君やろが。近所迷惑もええとこやでホンマ!

まあ、ことほど左様にプロテストソングの看板を掲げていたフォークソングも時代の変遷とともにどんどん変質して骨抜きとなり、その後ロックがやってきてもう若人の唄は混沌を極めたのはご承知の通り。

例えば故尾崎豊が ”盗んだバイクで走りだす” などと、窃盗教唆を歌に込めたり、サザン桑田が 、女呼んでブギ」 という曲で”女呼んで もんで 抱いて いい気持ち” などといった春歌まがいの歌詞を歌って放送禁止を食らったりと、社会の矛盾を憂い、抑圧された民衆の心の代弁者岡林先生が聴けば憤怒で卒倒しそうな歌ばかり。

まあ、この変化を堕落ととるか進歩と見なすかは人それぞれ。小生の様な昔気質、愚直な人間に取りますては、もちろん言うまでもなく岡林氏より桑田氏「女よんでブギ」を圧倒的に支持致したいのですが。

さて、歌は世につれ、世は歌につれ。流行歌というものは上述のように時代時代で大きく変化いたしてまいるのですが、実は変化、流行の乏しいように見える宝飾品におきましても、実はこの三十年くらいの間に大きな変化が起こっているのであります。それはアパレル産業に見られるような、マーケティング戦略などに基づいて人工的に作られるシーズンごとのファッションの変化というものではなく、寧ろ時代の潮流に基づく社会、経済の変化によってもたらされる、価値観の変遷によるところが大きいように思われます。

例えば、わたくしがまだ若かりし頃の所謂バブル景気真っただ中におきましては、身に着ける宝飾品はバブル経済を象徴するがごとくのこれ見よがし、ストレートな自己顕示欲の発露そのままのド派手、大ぶり、大仰なデザインが好まれたものでございます。たとえば色石を中石に据えた指輪なんかでも、バレリーナセッティングなどと呼ばれる、中石をテーパーダイアでぐるっと取り巻き、バレリーナのスカート、襟巻トカゲの様な見かけの指輪が大いに人気を博したものでございます。

ところが今やそんな大仰なこれ見よがしのデザインは野暮ったくって着けられません。なぜならば時代のニーズに合致していないからであります。

バブルのころは一億総中流などと言われたように、多くの人がにわか成金気分、身に着けるものによって、よりリッチに、よりセレブに見られたいという傾向が強く見られたのであります。

ただし、バブル崩壊、リーマンショック、コロナパンデミックと相次ぐ災難に見舞われ疲弊した日本経済にあって、今やお金持ちは圧倒的なマイノリティー、滅びゆく少数派。大っぴらに公言することが憚られる存在となったのでございます。下手に知れると、いつ何時大多数を占める貧民の反感、逆恨みを買って不測の事態に巻き込まれるやもわかりません。過度な装飾が格好の標的となって、改造銃なんかで狙撃されてはたまったものではございません。

という事で、今どきの有産階級は一見普通に見えるカジュアルな装いの中に、秘かに贅を凝らしてお楽しみになるのであります。

例えば、一見何気ないベースボールキャップとジャージにスニーカーのいでたちが、実は一流ファッションブランドとスポーツメーカーとのコラボとかで衣服のみで総額で百万円を優に超えるなんてのがその代表的な例。もっと凝ったのになると、ぱっと見ダイハツの軽トラ、エンジン、トランスミッションはメルセデス、内装はエルメスなんて言うのもあるくらい、知らんけど。

という事でこの度ご紹介いたしますは、カタツムリを模ったピンブローチ。これもそういった何のこともないアクセサリーに見せておいての、実は日本が誇る世界のジュエラー、ギメルのハイジュエリーなのでございます。

ルベライトの殻にデマントイドの目、そしてギメルご自慢の最高級メレダイアといった最高の素材を、これもギメルの最高技術のクラフトマンシップによって作り上げられた至高のエスカルゴ!

と言うたかて、どうですこの一見子供だまし、オモチャの様な見かけ。これをばルイヴィトンとコラボしたニューヨークヤンキースのデコったベースボールキャップなんぞにポッチと付けたらイカスじゃん?

きっとお仲間のセレブリティーの方々ならわかるわかるはず、「あっ!ギメルだって」。でも敢て口には出さないはず。奥ゆかしくていらっしゃるから。

 

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