押売りから押買いへ、悪の変遷

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「瓜売りが瓜売りにきて瓜売り残し売り売り帰る瓜売りの声」、なんていう早口言葉があるように、昔は瓜だけに限らず、色んな品を物売りが自転車や屋台に積んで、町内を訪れては販売したものでございます。

わたくしの子供のころでも、そういった物売りの姿はまだ結構見かけたもので、一般的なところでは、豆腐屋、竿竹売り、焼き芋に夜泣き蕎麦。蕎麦といっても日本のお蕎麦じゃなくて中華そば、ラーメンなんですけどね。あと夏場になりますと、風鈴やら、金魚なんてものも売りに来てたような記憶がございます。それに包丁を研いだり、傘の柄のすげ替えなんていう修繕サービスを提供する業者もおりました。変わったところですとポン菓子といって、お米を筒状の圧力鍋で加熱し、びっくりするような破裂音とともに、出来上がったシリアルのようなお菓子が飛び出してくるという仕掛けを、公園などで実演販売する業者もおりました。その何とも大層な仕掛けと破裂音に子供たちは興味を惹かれ三々五々集まってくるというところが商人の狙い。お菓子自体は別段感心するほど旨いものでもなかったようにおもいますが。

さて、ポン菓子は、その名の通りポンと大きくはぜる音でその来訪が知れるのですが、それ以外の物売りにもそれぞれ独特の集客方法がございます。

一番多いのは、独特の売り声で告知する方法。竿竹屋の「さおーーだけーー」やら、傘修理の「かさー、こーもりがざの張替えー」。金魚売りの「きんぎょーえきんぎょ~」。焼き芋やの「やーきーもー、焼き立てのやきーもー、栗より甘い十三里~」、なんてのがポピュラーなところでしょうか。あとは鳴り物、つまり人の声以外の何かしらの音でもって来訪を知らせる方法。まず思いつくのが豆腐屋のラッパ。音程を二段階変えてパープーと吹くと、なんと不思議に「とーふー」と聞こえるからアメイジング!あとは夜泣き蕎麦、ラーメン屋台のチャルメラという木簡楽器。こちらはご存知「明星チャルメラ」なんて言うインスタントラーメンがあるくらいで、その独特の音色と日本全国統一の決まったフレーズ。このワンフレーズ一発でラーメン屋台のやってきたのが分かる仕組み。

それぞれの物売りの売り声や音には何やら郷愁、哀愁その他もろもろの感情をかき立てるような趣がございます。夕暮れ時に聴く豆腐屋のラッパの音なんかで、なにやな物寂しい気分になったり、真夏の昼下がりに、遠くから微かに聴こえる金魚売りの間延びした売り声などを耳にすると、扇風機のぬるい風に吹かれながら、気だるい眠気を催し、ついついうたた寝に誘い込まれたり。あるいはまた、さあ明日はテストだ、今晩は一夜漬けで課題を詰め込まないと、なんて言う時に限って、チャルメラの音が聞こえてきて、俄然食欲が湧いて勉強どころじゃなくなるなんてこともございます。

実際、ほとんどの物売りの方はまじめな商売人で、雨が降ろうと風が吹こうが毎日こつこつと地道に働き、地域住民の生活に大いに寄与していたわけなのですが、その中にあって、僅かではございますが悪質な業者も存在致しておりました。その代表格が押し売り。

押し売りとは、今の様にインターホンや電話の普及していない時代に、主婦が一人だけになっている時間を見計らって玄関先に上がり込み、刑務所から出たばかりといった体を装い、恐喝まがいに粗悪品を無理やり法外な価格で売りつけるといった商売。刑法で言うところの強要罪に抵触する明らかな犯罪。

ただ、最近はインターフォンはもとより、防犯カメラの普及やセコムなどのホームセキュリティーの拡充によって、そのような犯罪を行う事自体が難しくなってきたのですが、押し売り以外のまっとうな物売りの姿も、流通産業の発展とEコマースの普及ですっかり影を潜め、目にする機会とて非常に少なくなりました。これも一つの失われゆく街の景色ではございますが、昭和世代の小生などは寂しい限りでございます。

そんな中、昨今巷にじわっとはびこり始めたのが「物売り」ではなく「物買い」の業者。

わたくしどもが子供の頃と言うものは、不要になったものを処分するには、落語「らくだ」なんかにも登場する、これも「くずーい、おはらい」などと言いながら町内を回って歩いた「屑屋」と呼ばれる廃品回収業者を利用するくらい。さらには、そこそこ値打ちのありそうな品はそれこそ手前どものような町の目利、質屋に持って行くのがせいぜいなところだったのですが、リサイクル、リユースが活発化してまいりました昨今、あらゆる種類の買い取り業者が跳梁跋扈するようになったのでございます。

もちろんそういった買取業者さんの多くはまじめ、誠実な態度でお仕事をなさっているのでございましょうが、中には矢張り悪質な輩がおりまして、その代表的なのが、今度は「押し売り」ではなく、真逆の「押し買い」業者なのでございます。

この押し買い業者、いにしえの押し売りのようにムショ帰りをアピールしたり、反社をちらつかせたりすると言った、まかり間違えばそれこそ強要罪に問われかねない手荒い手段は講じません。もっとスマートに、「出張買取お電話一本で参上いたします」などと言うコピーとともにメディアやネットを使い大々的な宣伝をかけたり、テレフォンアポインターなどを使ったり。しかも、本来買い取りたい品物ではない、着物や古着、陶器なんでも買取ますなどといった、いかにも不要なものの買い取り、身辺整理、終活のお手伝いといった、とっつきやすい不用品買取を餌としてちらつかせ、巧妙に玄関先はおろか、立派なお屋敷の居間にまで安々と侵入を果たすわけでございます。さてこの本来買い取りたいものとは何かというと、言わずと知れた宝石貴金属類。こうした品物を相手がその値打ちの分からないのをいいことに、さも値打ちのない粗悪品であると悪しざまに貶し、二束三文で無理やり買取り、それを転売することで莫大な利益を得ているわけなのです。

実は、この宝石貴金属の買い取りほど真面目にやれば厄介な作業はございません。実際ジュエリーを買い取るにあたっては、その品物の主役となる宝石の正体が分からない事には当然のことながら、話が前へ進みません。したがいまして買い取り業の古株とも言える質屋の多くの店主は、FGAやらGIAという国際的な宝石鑑別の教育プログラムのカリキュラムを習得し、正規のディプロマを取得して宝石鑑定の真贋を見極める眼を養っており、またその鑑別に必要な様々な機材も十二分に装備してこれに対応しているのでございます。

しかしながら、昨今雨後の筍の様に乱立する所謂ブランド買取店などに関しては、バッグ等のブランドの真贋を判断するには、本部で一括管理するブランド商品データベースに、パソコンからアクセスすれば、昨日今日入社したスタッフでもその品物の真贋をチェックすることは容易。

ところが、宝石の鑑定となると話は別。顕微鏡による拡大検査はもとより。屈折計により屈折率を読み、紫外線ランプによって紫外線反応を観、分光計で分光特徴を見極め、その他もろもろ、必要に応じて種々の非破壊検査を行った後、最後にその石の値打ちをふまないといけません。あくまでも宝石資料一個一個に個別の詳しい実地検査が必要になる訳なのでございますので、これはとても素人が一朝一夕にできる作業ではございません。

ただ、実際こんな事やって、きちんと石の値打ちまで査定しているところは質屋以外ではごく僅か。良心的な買取屋さんになると、正直に石の値打ちは分かりませんから、宝石は外してお返しします、といって地金だけ買い取るところまであるくらいで、実際多くの買い取り屋は石の値打ちは踏まずに地金の目方で買い取るのが普通ですし、ブランドといっても宝飾ブランドまで幅広くカバーしているところはそれほど多くないはず。

例えばこちら、日本が世界に誇るギメルのダイアモンドパヴェリング。極上のメレダイアモンドが最高の石留技術によってこんもり良い感じに盛り上がった、ほれぼれとするシェイプの指輪なのでございます。

こちら、百貨店外商部が催すホテル催事などでお求めになられますと定価 1,815,000円なのでございますが当店では新品仕上げを施し、新品と何ら外見に違いのない状態ではございますが、中古と言う事で何と1,144,000円の格安価格でご提供いたしているのでございます。

しかしこれが押し買い業者などの悪質業者などの手にかかりますと、地金の目方、約6グラムをグラム単価も格安計算でせいぜいが製品全体で二万円なんて事になる可能性もある訳でございます。

「ブランド?これ国産ですやん。ブランド言うからにはせめてフランス製やないと話にならんわ。奥さんネ、こんな細かいダイヤね、いくら良いもんで綺麗かしれませんが、中古になったら値段になりませんねん。幸い地金がプラチナやからその値段にちょっとおまけして、きりの良いところで二万円ね、良心的な値段や思うけどね、ハイ二万円、もらっとくね」と言いくるめられてしまうのです。

「怖い話やねー、そやけどほんならこんなブランドジュエリーやら、値打ちのある宝石類はいったいどこに処分に持っていったらよろしいの?」

はい、それはもちろん、そういったものを中古として適正価格で売っている、信用のあるお店にお持ち込頂くのが一番かと、例えば弊社のような。知らんけど、いや、知らんけどやなくて、マジで!

ブランドバッグ。財布はどこでも似たような値段でしょうが、宝石だけは買取のお値段てお店によって全然ちゃいますから!自前で114万4千円で売ってるものを2万で買い取るなんて、いくらなんでもできまへんで。

掲載ページはこちら → https://item.rakuten.co.jp/douxperenoel/11004647/

 

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