見くびってはいけない一流ブランドの底力

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わたくしが以前ご厄介になっておりました宝石屋は宝飾品だけではなく、日銭稼ぎの為にハンドバッグや財布といった皮革製品も取扱っておりまして、営業の新入社員は大抵ハンドバッグ部門からスタートするといった慣わしでございました。これはひょっとすると手癖の悪い奴をふるいにかける為の方便だったのか、あるいは売り子の向き不向きを見定めるための方策だったのか、今となってははっきりわかりませんが、私は売り子向きではないという烙印が押されたのか結構バッグ部門にも長く滞在いたしておりました。

今ではブランドのバッグというものは、そのブランドの直営店で買うという事が当たり前のようになっておりますが、わたくしがまだフレッシュピチピチ純情可憐な新入社員だった40年も前の昔は、ブランドといっても、代理店が入って間接的に販売するか、あるいはライセンス契約といって、日本の鞄メーカーがそのブランドとのライセンス契約を締結し、その条件の下で製造販売するという事が一般的でございました。

わたくしの勤務してましたお店もサンローランとかバーバリーなどといったブランドバッグを扱っておりましたが、これらは全て国内製造のライセンス商品。たまにバリーとかボッテガヴェネタなどの海外で生産されたバッグが入荷したりしてましたが、これらは三崎商事などの輸入商社が間に入って仕入れたもの。そういやその頃その三崎商事から仕入れていたゲラルディーニのパラシュート素材のバッグが飛ぶように売れましたねー。今でも有るんでしょうかねこのブランド?

さて、宝石のメーカー、問屋が多く集まるのは、ご存知東京は御徒町。全国の小売店や問屋さんはみんなこぞってこちらに仕入れに訪れるわけですが、バッグの場合は同じ東京でも浅草橋や蔵前と相場は決まっている。

同じメーカー、問屋でも宝石とハンドバッグですと会社の雰囲気もガラっと違ってまして、宝石なんてものはやはりその商品の性格上、そういった会社の社員もツンとオツにすまして、みんなジュエラーでございてな顔してる。そこいくとバッグの方はなんつったって、下町は台東区浅草てことで、江戸の下町情緒が色濃く漂っております。歳のいった創業者の社長さんなんかはホント寅さんの映画か、落語の中に出てくるようなオイチャン。

「みなさん昼はもうお済みで、えっ、まだ?そりゃいけねー。ちゃんと食べねーと身体に毒だ。おーい誰か、こちらさんちょいと寿司ぃでもご案内して」なんて感じで、実にまあなんというか江戸情緒ってものをしみじみ感じさせていただいたものでございます。

さて、そういった浅草橋の爬虫類専門のハンドバッグメーカーさんで仕入れた、オーストリッチの話。

オーストリッチといっても一般の、特に男の方はピンとこないかも分かりませんが、これはダチョウのこと。あの動物園にいる飛べないけど、図体ばかりやたら大きな鳥ね。

この鳥の皮革、即ち皮を鞣して革にした、ハンドバッグなんかに使われる高級素材なのでございます。一応鳥の皮ですが、バッグ業界ではこれは爬虫類の分類に入ってて、ワニやトカゲなんかの皮革を扱うメーカーが一緒に扱っているのです。デカい図体だから取れる皮も多いだろうに、なんで高級素材かというと、その皮の値打ちがあると言われている、斑(フ)のある場所が大きな身体の中でもほんの僅かな部分に限られているから。この斑と言うのはオーストリッチの実物の製品をお持ちの方ならすぐご理解いただけるのですが、皮革表面に均一に分布するブツブツの突起の事。これは形状からしても明らかに毛穴。つまり鳥の羽毛の生えていた跡なのでございます。つまりオーストリッチという鳥は写真で見ると羽毛がふさふさ生えているかに一見観えますが、実は首から上と足の部分はハゲちょろけで、この様子から見て、胴体の部分も一九分けのオッチャンの頭部よろしく、きっと範囲の広い地肌部分の露出を、他の部分の長い羽毛がカバーしているのでございましょう。

この大判の鳥肌、ブツブツがキモいと言えなくもないオーストリッチの皮革の魅力は、なんといってもその非常に強靭な丈夫さにあります。一般的によく皮革製品に用いられる牛革などですと、ひっかき傷に対しての耐久性がそれ程高くございません。特に高級素材カーフスキンなどと呼ばれます子牛の革などになりますと、人の爪がこすっただけですぐひっかき傷が生じます。しかし驚くなかれ、このオーストリッチの革はなんと五本の指の爪を立てて大人の男性がしっかりひっかいてもびくともしない。お疑いならお手持ちのオーストリッチのバッグなり財布で実験なさってみてくだい。見事キズが付きましても責任は持ちませんが、キズが付けばそれは他の動物、あるいは人口素材の皮に型押し加工を施したオーストリッチ類似皮革でございましょう。

オーストリッチの魅力は何も丈夫なだけではございません、この皮革を用いた製品を長らくご愛用いただきますと、このブツブツの突起から油分がじわりじわりと沁み出しまして、あたかも磨き込まれた銘木かなんぞの様な、何とも言えない良い艶を帯びてまいります。大概の皮革は使うほどに小傷が堆積し、美観が損なわれていくのに反し、この皮革だけは使えば使い込むほどツヤが出て魅力が増していくといった特徴がございまして、この魅力を一度知ったユーザーは二度とオーストリッチ製品から離れられなくなるのでございます。

 

さてこの高級皮革でありますダチョウの皮ですが、これから申し上げますことはあくまで、わたくしが浅草橋に仕入れ行ってました40年程前に聞いた話である事を念頭に、現状とはいく分かけ離れた話としてお聞きくださいませ。

当時、ダチョウという鳥は、何かと昨今話題にのぼる南アフリカで、一社独占で養殖、即ち人工飼育にて皮革及び食用として生産管理されていたのでございます。

良質のオーストリッチの皮革を手に入れるにはこの養殖のプロセスが欠かせない手段だそうで、何故かというと、この大きな斑、即ち立派な大きくしっかりしたブツブツの鳥肌を作るためには、その生えている羽毛を何度も人の手で毟り、毛穴を大きくさせる必要があるからだそうです。まあ人間でも手足の毛をカミソリで剃ると濃くなるなんて言いますが、きっと同じ原理なのでしょうが、何やらむごい光景ですねぇ。

さてこうしてブツブツの立派な毛穴に育ったダチョウの皮革ですが、なかなかいいモノを仕入れるのが難しいらしいのです。浅草バッグ屋の大将の言うには・・・

「いやね、日本人が行ったって良い皮はそう簡単には売ってくんねーの。まあ、南アフリカだから人種差別かと思ったらそうじゃねーんだよ。良質の原皮はみんなエルメスが金に糸目は付けずに、ごっそりかっさらっていっちまうんだ。そりゃあんだけ高けー値段で売るんだもの、相場無視の王様買いよー!だからここにあるオーストなんてアレだよ、エルメスの食い残し、残飯みたいなもんだよ、べらぼーめ!」

流石天下のエルメス、最高の原材料を仕入れるには金に糸目を付けぬ大人買い。

ただし、こういった大人買いは何もエルメス一社の専売特許ではございません。

あれから40年の時を経た今日でも、多くの有名ブランドがそのブランドイメージ維持のため、その製品の元となる原材料の調達には最大の努力と最高の予算を注いでいる事に変わりはございますまい。

という訳で今回もまた、弊社一押しのバイザヤードペンダントの賛美となる訳でございます。

さあ、回りくどくダチョウの皮の話からここにたどり着いたからには、察しの良い皆様ならもうお分かりでしょう。このペンダントに留まって燦然と輝くダイアモンド。これだってエルメスのオーストリッチと一緒。ティファニー社のダイアモンド仕入れにおける大量大人買いの賜物!

まあこの辺の最高クラスのダイアモンドとなりますと、いくらメレサイズとは言え、というか逆にメレダイアモンドはアクセサリーの様な小品からハイジュエリーの脇石にまで幅広い用途がございますので、有名ブランド間でもこの辺の良質の小粒のダイアモンドはもう一番争奪戦の激しいところ。もう大手ブランド入り乱れての大乱闘の有様。まあそれぞれ各社、独自の確実なルートをちゃんと開拓されてるのでしょうが、そういったルートの開拓にも定期的な量と金額の仕入れ約束をしない事にはおいそれとは確立できない。全世界に販売ルートをもつ人気ブランドジュエリーならではのその販売力、その実力に裏打された剛腕力業の商品調達力がこの一粒のまばゆい輝きに集約されているのでございます。しかもまともに買うとその力業の反動としての、あたしたち庶民にとっちゃ厳しい一流ブランド価格のお支払いを余儀なくされるところ、中古なればほれご覧の通り、お財布に優しい一般ジュエリー価格で買えるといった寸法。これを見逃す手は無いと思うよ、オイチャンはさぁ—。

 

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