旅立つ娘に持たせたい至高のペンダント

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いよいよ明日に迫った魔女修行への旅立ちの日。その夜、修行の旅に期待と不安に胸躍らせる娘ギギを部屋に呼んで、魔女のお母さんがお守りとして渡したのがこちらのペンダント。

お母さんは娘の長い髪をかき上げ、ネックレスをその首に掛けながら言うのでした。

「ギギや、このペンダントを肌身離さず着けていておくれ。これはお母さんにとってかけがえのない大切なお前の身を守ってくれる、とても強力なお守りなんだよ」

「はい、お母様わかりました。でもどうやってこんな小さくて可愛いペンダントが私を守ってくれるの?」

「このペンダントはね、お前の様な若い娘にピッタリの、可愛いハートシェイプのデザインなんだけど、ここに留まってるダイアモンドはただのダイアモンドじゃないのさ」

「ただのダイアじゃないって?」

「そうさ、このゴールドのハートペンダントを埋めつくすようにセットされている大小合わせて23個のメレダイアモンドは、全てがすべて無色透明無傷の純真無垢、至高のダイアモンドなのさ。いや、そればかりじゃない。そんなとびきりのダイアモンドのみが発揮できる凄い魔力を、お母さんが昨日一晩、夜を徹して吹き込んであるのさ。だからお前の身に、万が一にでも邪悪な下心をもって、危害を及ぼそうと迫る不届者が現れれば、たちどころにこのダイアモンドが発する強烈な閃光にその者の両の目は焼かれ、盲いてしまう」

「まあ、怖いわ。そんなの着けていて大丈夫なの?」

「心配しなくても大丈夫、普段は何も悪さはしないよ。それどころか、どうだい鏡をごらんよ、明日から旅に着ていくその魔女修行の黒いワンピースにピッタリじゃないか?黒にゴールドの鎖と、ピカピカ煌めくダイアモンドが映えて、我が娘ながら惚れ惚れするねー!」

「わっ!ホントだ、可愛!ありがとうお母さん!」

さて、翌朝はギギの旅立ちの門出を祝福するように、雲一つない青空が空一面に広がっております。

愛用の箒にまたがり、ペットの白ヘビを首に巻き付け、お気に入りのムーミンの唄をスマホで聞きながら、ギギは大空に向かって飛び立ちます。

さあ、いよいよギギの魔女修行の旅の始まりです。

 

ギギが修行の場と定め、落ち着いた先は、小高い丘から小さな港を望む風光明媚な田舎町。彼女はそこで愛用の箒にまたがり、ウーバーイーツの仕事を始めました。

可愛らしい女の子が、しかもバイクじゃなく箒に乗って、空飛ぶフードデリバリーと言う事で、たちどころにギギは街中の人気者となったのでございます。

特にギギと同年代の男の子の間では、テレビなんかで見かける人気アイドルを遥かに凌ぐ人気。誰がこの可愛い魔女を射止めるか、もう若い雄猿どもは戦々恐々とお互いをけん制し合い、ギギの知らぬところでは、密かに彼女を巡っての果たし合いが幾度となく繰り広げられたりしておりました。

さてそんなある日の午後、ギギがいつものように箒にのってピザの配達中の事でございます。無賃乗車がばれて逃げ出そうとした拍子に足を踏み外し、乗ってた飛行船から転落した街のチンピラ、通称ハエと呼ばれるゴロツキ小僧を偶然、その落下途中に箒の急旋回急降下の巧みな操縦技術を駆使し、無事その一命を救うという、とっさの救助活動を行ったのでございます。

この出来事でギギは地元の新聞にも取り上げられたりと、一躍街の英雄扱い。

しかし、皮肉なことにこれがケチのつき始め。このハエと呼ばれるタチの悪いチンピラ、命を救ってくれた事でもう二人は結ばれるさだめと勝手に思い込み、ストーカーとなってギギの周りを始終付け回し、執拗に食事に誘ったり、ドライブに誘ったりと、本当に名前の通り銀蠅の如くしつこく付きまとうようになったのでございます。

もちろん生来真面目正直者のギギはこのようなヤサグレ半グレ野郎は命こそ救ったもののハナから相手には致しません。

そのような態度を、与太者特融のひねくれた思考回路を持つハエは、嫌よ嫌よも好きのうち、生娘の恥じらいだと自分の都合の良いように解釈した挙句、こうなりゃ実力行使しかないと思い立ち、悪だくみを実行に移したのでございます。

ハエがいつものようにギギを密かに付け回しておりますと、ウーバーの配達で一軒のお家の玄関から屋内に消えたギギを目にします。ギギの箒は当然玄関のドアの横に立てかけてあります。目ざとくこれを見つけたハエは小走りにこの家へ近寄ると素早くこの箒を奪い取ってしまいました。

注文のオーダーを無事届け終えたギギが外に出てみると、立てかけていた箒がありません。焦って周りを見回す彼女の目に映ったのは、口元に薄笑いを浮かべたハエの姿。

「姉ちゃん、なんぞ探し物でっか?」からかうような口調で尋ねるハエ。

「その手に持っている箒は私のです。返して下さい!」

「うそやん?これ俺のんやで。君のん言う証拠あんの?どっかに名前書いたある?どこにも見当たらんんねけどなー」

「見たらわかります。ずっと使ってるんですもの」

「そんなんアカンは。証拠にならへん。これは俺がさっき拾ったんや。そやから俺のもんや、ちゃうか?」

「どうしてそんな意地悪言うんですか?それは私にとってとても大切なものなんです!」

「まあ、そない言うんやったら、命の恩人やさかい、くれてやらん事もないけどな。ただしこっちにも条件があるんや」

と言うなりハエは実に下卑た笑みをその脂ぎった顔に浮かべるのでありました。

「条件てなに!?」キッとして相手を睨み返しながら問いただすギギ。

「いや、そない大層なことやあらへんねん。ちょっと俺と一緒に誰もおらん二人だけになれるとこ行ってくれたらそれでエエねん、な、ええやろ?ほたらこの小汚い箒はくれてやるさかいに」

「嫌です!誰が行くもんですか。さあ、早く返して!」

「わからんアマやで、おとなし言うてわからんちゅーんやったら、ちゃんと分かるようにしたろか?」

言うが早いか、ギギに襲いかかったハエ。その手が彼女に触れんとした刹那。

「キャーッ!」

閃光が迸ったのはギギの悲鳴と同時。音もなく凄まじい光量のビームがそのペンダントから放たれ、ハエの顔面を文字通り穿ったのでございます。

「ギャー!」凄まじい悲鳴とともに一瞬にして視力を失ったハエはもう手探りだけが頼り、顔面から薄っすら煙をたなびかせ、よろめきながら逃走して行ったのでございます。

こうして、ダイアモンドペンダントの憐れ最初の犠牲者となったハエでありますが、犠牲者は残念ながら彼だけに止まりませんでした。その後もギギの初々しい美貌と魅力に引き寄せられる男どもは後を絶たず、多くの者が次から次へとその両目を焼かれ、視力を失ったそうでございます。

 

さて、それから一世紀以上の時が過ぎ、さすが魔女とはいえ、かつての美貌は見る影もなく衰えたギギではございますが、お守りのダイアモンドペンダントのおかげで、未だその純潔は固く守られ清き乙女のまま。

そんな少女のまま老婆となったギギは、今ではウーバーの仕事も辞め、自ら勝手に自走するという大変珍しい「動く城」という建物の中で掃除婦として働きながらも、いまだ懸命に魔女の修行を続けているのだとさ。めでたしめでたし。

 

と、老宝石店員をして、このペンダントの輝きの一瞥だけで上記の如く戯けた妄想をば惹起せしむるほどに見事な逸品。

ただし、直視いたしましても視力障害を引き起こす心配はございませんのでご安心を。

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