インスタントエンライトメントを促す聖なる輝き

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世界にもその名を馳せ、行く末はノーベル文学賞受賞かの呼び声も高かった昭和の文豪、三島由紀夫は自衛隊市ヶ谷駐屯地にて衝撃的な割腹自殺を遂げた事でも有名でありますが、その数多くの作品群の中に「複雑な彼」という恋愛長編小説がございます。

このお話は、主人公の女性がたまたま乗り合わせた国際線旅客機のパーサー、つまり男性客室乗務員に一目惚れしてしまうところから物語が展開していくのですが、この一目惚れされた男性には、実はちゃんとしたモデルが存在するのでございます。

そのモデルこそは誰あろう、こちらも三島先生のご同業の小説家、安部譲二氏なのでありますが、この方、なんと作家になる前は、れっきとした暴力団構成員。しかもヤクザの組員でありながら、小説にある通り天下の日本航空でちゃんと旅客機の客室乗務員を勤めていたという、文字道理二足の草鞋を履いていたという驚くべき経歴の持ち主なのでございます。

この人、その経歴をたどるだけで、一編の小説ができるほどの波乱万丈の生涯なのですが、元々は日本郵船に勤めていたお父さんの転勤に伴い幼少期をロンドン、ローマで過ごした、今でいうところの帰国子女にして、良家のお坊ちゃま。麻布小学校、麻布中学、慶應義塾高校と順当にエリート街道を歩んでいる表の顔とは別に、中学当時から、のちに俳優に転身し、自身をモデルとした実録ヤクザ映画で主演を果たしたという、かの安藤昇組長率いる東興業と名乗る愚連隊系暴力団に出入りしていたという、裏街道のエリート街道をも同時にたどる、今風に言うと二刀流の人生を歩んでこられたのでございます。

結局、最終的には裏社会のエリートの道を選ばれ、色んな罪状でついには府中刑務所に落ち着くわけですが、出所後はきっぱりヤクザ稼業の足を洗い、自らの刑務所生活をもとに「塀の中の懲りない面々」というベストセラー小説を著し、一躍人気作家の仲間入りを果たしたのでございます。

その後は、天性のもって生まれた多彩な才能と、任侠の道で培った厳つい風貌の中にキラリ輝くフレンチブルドッグの様な愛嬌、育ちの良さがうかがえる話し口調を発揮なさり、テレビなどでもタレント、コメンテーターとしても大いに活躍なさっておられました。

私も一度、大阪はキタの飲食店て安部氏をお見かけしたことがあるのですが、やはりそのゴツイ身体全体から発するオーラは只者ではございませんでした。

さて、以前は小売店を開業しておりました弊社でございますが、その開業当初と言いますから、もうかれこれ十五年ほども前になりますが、その頃は、そういった任侠渡世のおあにいさん方にも、高級時計などを扱っていた加減でございましょうか、結構御贔屓いただいたものなのでございます。

とは申しましても、下町に位置する当店などがお相手するのは、時代劇などで言うところの三下奴などと呼ばれる、一般人に例えるなら我々同等の庶民クラスの一般構成員及び準構成員。でも実はこういった平社員やパート、アルバイトクラスの業界人ほど態度が威圧的で、いかにも自分はその筋の荒くれ者であると言ったデモンストレーションが凄いのであります。典型的なのがわざわざ携帯で話しながら店に入ってくるデモンストレーション。

「モシモシ、あっ、シャチョウー、まいどまいど。どないですこないだの件。うん、うん、何?証文ないて、んなアホな事あるかいや、舐めた事ぬかすガキやで、ほんでどないしたん?ほー、ほー、何寝ぼけた事ほざいとんねん!舐めたやっちゃでホンマ、ほたらな、ワシの名前だしてかめへんさかい、ガツーンんかましたり、な、かめへんさかい、はい、はい、たのんまーす」

「ごめん、ごめん、急な電話や、ホンマ忙してかなんわ。兄ちゃん、ちょっと時計見せてくれるか?」

初めて来店された方なんかですと、大体こんな感じで必ずわたくしにもガツーンとかまして、入店して来はるのですが、これからご紹介いたします当店にとっての「複雑な彼」は、その業界の人でありながらも、そういったイキルというのか、気負うそぶりが全くなく、実に人当たりの良い好人物だったのでございます。

初めてのご来店は確か、ご自分でされる片耳用のピアスを探されての事だったと記憶してるのですが、ご希望はダイアモンドで綺麗な石の、片耳に飾る物をと言う事。

もちろん、ピアス片方でも買い取りますの宣伝のうたい文句通り、そういった商品を商品化して店出しすることはあるのですが、その時はたまたま在庫切れで片耳用のダイアピアスが無かったのです。

「そしたらかめへんわ、両耳用で。片方は予備に置いとくから。こんなんよう落として失くすやろ」

と、いたって鷹揚、のんびりした態度。

この方、男性でありながら宝石そのものがお好きらしく、それからも何度かこうしたピアスやら指輪をご購入いただいたのですが、そのあまりの素人風な態度にわたくしもすっかり騙され、なんと世間話の流れで、職業をお聞きするといった間抜けな事をしてしまったのでございます。

もちろん、正直にお答えになる訳もなく、その時は適当にはぐらかされたのですが、後日長袖のシャツから僅かにのぞいた、手首にまでおよぶ鮮やかな彫物でようやくその正体を知った鈍感な私は、その時のことを振り返る度に冷や汗をかいたものでございます。

実際、その後ご来店も重なり、お付き合いが深まるにつれ、お仕事のお話も差しさわりのない程度にお聞かせいただくこともあったのですが、これとて全く普通のサラリーマンが自らの仕事内容を別の業種の人に説明して聞かすが如くの、衒いや驕りの無い、いたってフラットな調子。

こちらとて、その時はへぇー、とか、ほうーなどと適当な相槌をうって感心して聞いているのですが、後からよくよく考えてみると、お話の内容自体がすでに脱法行為の解説。あちらの世界ではシノギなどと呼ぶらしいですが、結局はお仕事として、日々たんたんとこなされているところは我々となんら変わりないといった感じでした。

さて、この方そういった稼業ながら指輪のお好みはいたってノーブルで、いかにもそれらしい印台のメンズリングなんか言下に下品と毛嫌いされており、一目惚れされて買って頂いたのが、どちらかと言うと婦人用でも通るラウンドダイア一個のみをセンターにセットして、あとはフラットな平打ちのリングがこのダイアモンドを挟み込むといった非常にプレーンなデザインの指輪。ただし留まっているダイアモンドは只者ではない。大きさは昔の事とて定かな記憶はございませんが、たしか0.5キャラットくらいだったでしょうか、その石のグレードが、なんとDカラー、VVS1、エクセレントという最高の品質。この石の輝きに吸い寄せられるように飛びつかれ、ご購入の運びとなったのですが、その後も肌身離さずお着け頂き、ご来店の度に洗浄機でのクリーニングをご依頼いただいたものでございます。

この方がこのダイアへの想いとして語って下さった言葉は、その職業とは裏腹な実にスピリチュアルな内容であり、わたくしとて初めて気づかされる事柄だったので、ここに謹んで引用させていただくしだいでございます。

「高速の渋滞なんかで、急いでるのに身動きできん時ってあるやん。さすがの温厚なオレでもさ、イラーってくるんよね。でも、そんな時にこのダイアにふと目を落とすと、このまぶしいきらめきになんか引き込まれていくような感じがして、しばらく見入ってしまうねん。そしたらさっきまでのイライラがスッと消えて、心が不思議と落ち着くんよ。あれって一瞬の悟りの境地にいてるんやろね」

さて、そのような効果が十分に期待できるのがこちらの指輪。ギメルダイアモンドリング。センターストーン0.712キャラット、Dカラー、VS1、トリプルエクセレント、蛍光性無し、タイプⅡa。 これだけ書けば、わかる人にはもう十分。

閃光のようなこのダイアモンドの輝きに視線をロックオンされた途端、あなたの思考は止まり、時間も止まり、その刹那、浮世の憂さがたちどころに雲散霧消、永遠の今に在ることが出来るのです。       保証の限りではございませんが(知らんけどの高級バージョン)。

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