最早アート、ブラックオパールの美

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近頃はエエかっこして横文字でセレブ言いまんのかな?昔で言う有名人いうんか芸能人いうんか、たまにそんな人を街角で偶然見かけたりいたしますと、やはりなんか得したような、嬉しいような気がするもんです。

若い時分から都会の繁華街にある宝石屋の支店各店で働いてた加減で、そう言った有名人に出会う機会はけっこうあったように思います。ただ、残念なことに、いや残念言うたら叱られるけど、大阪の場合は、なんというても出会うのは吉本や松竹の芸人さんが圧倒的に多い。

今では芸人さんの地位も昔と違って大幅に向上し、若手の人気者などになりますと、アイドル並みに若い女性からキャーキャー騒がれたりするのでしょうが、昔はホンマそこらのおっちゃんおばちゃんと何ら変わらん感じ。

「おっ、西川きよしや、きよっさーん!」

「おーっ、ありがとー!ほんま、ありがとーな!」

「あっ、やすしもおるがな!声かけたろ」

「止めとき、止めとき!下手に声かけたらどつかれるで」

そんな感じで、昔の関西の芸人さんは、あちらの方からも手が出たり足が出たりと、とても気さくな感じで接してくれはったものです。

ただ、たまに東京から来られている全国区の有名な俳優さんや歌手の方なんかに接しますと、やはりその芸能人オーラと言うものが半端無く、下手に声なんか掛けられません。もちろん先生などと呼ばれる大御所ともなりますと、お付きの方が周りを取り巻き、サイン一つ頼むのも畏れ多い感じ。

ただこんなローカル大阪人の私でも、ある時期非常に沢山のスター、有名人の方に接する機会に恵まれたのでございます。

それは、私が勤務しておりました宝石店がバブル景気に踊らされ、なんと無謀にも海外は香港へと支店出店に踏み切ったお陰。私はその海外出店の名誉ある海外駐在社員第一号として、何かの間違いで選ばれ、勤務した場所が、当時香港では最も由緒あるホテルと言われておりましたホテルペニンシュラ。

今でもそうかもわかりませんが、当時香港観光というと、ヴィクトリアピーク昇って夜景を眺め、ペニンシュラホテルショッピングアーケードでお買物と言うのが定番のコース。

もう毎日毎日、世界の一流ブランドが軒を連ねるペニンシュラホテルショッピングアーケードはバブル景気で浮かれた日本人観光客でごったがえしとる。ヒマなんはウチの店だけや。

そんなわけで、トイレに出たついでなどにショッピングアーケードをうろついておりますと、色んな日本の有名人にお会いすることができました。皆さんお忍びやら息抜きやら不倫旅行やらで手近な外国香港に羽根伸ばしに来てはったんやろね、知らんけど。

ここで、誰それにあったとか申しますと何かと差しさわりがあるやも分りませんので、個人名は敢えて伏せさせて頂きますが、芸能人だけじゃなく、大物政治家から大物野球選手は言うに及ばず、大物全裸監督までお見掛けいたしました。そや、裸で思い出しましけど、大相撲香港場所言うのがあって、日本の関取衆の一団にまで出くわしました。

さて、香港にて多く目にしたのは何もそういったセレブ有名人だけやおまへん。

なにせ、香港と言う場所はアジアの宝石流通の中心地。毎年香港コンベンションセンターではアジア最大規模のジュエリー、ジェムストーンの展示会が開かれる。もちろん我々の取引先である香港の業者さんも世界を相手にしてるだけにとんでもないシナモノを持ってる。

いやー、ホント目からうろこ棚から牡丹餅鼻から牛乳。香港に来て初めて本物のジュエリーに接した感を強くもったのでございます。

なにせわたくし、香港に派遣される前は大阪は天王寺にあります、天王寺ステーションデパートなる所謂JR駅ビル内にある、社内でも陸の孤島、てんのじ村などと蔑まれていた支店勤務。正直まともな宝石なんか置いてない。置いたところで誰も買えへん。仕方がないから、四天王寺さんにお参りに来はるついでのお買物のおばあちゃん相手に、財布や袋物を商っては日銭を稼いでいたのであります。。

それが突然のペニンシュラホテルショッピングアーケードですから、もう足元の自分の店の商品ですら今まで見たことが無いような高級品ばっかり。

幸い、私の仕事はリエゾンパーソン言うんでしょうか?会社の事務系統のシステムをペニンシュラホテルのヴァンクリーフから引き抜いた敏腕女性マネージャーを筆頭とする現地スタッフ達に指導伝達する役割。この伝票はこう書いて、月末になったらこれとこれして、みたいな事を伝え監督する役目。後は日本から順番にやってくる社内や取引先のエライさんたちの観光ガイド。ですから、幸いそんな今までお目にかかった事もない高級品を値打ちも分らず接客するという畏れ多いことにはなりませんでした。

さて、肝心のお店の方はというと、先ほどもチラッと書きましたように来る日も来る日も閑古鳥の鳴くような塩梅でさっぱり。大体世界の一流ブランド店ばかりの中にあって、日本の無名な小売店なんて誰からも見向きすらされません。しかもお店の場所はショッピングアーケードとは言え中二階の一番隅。訪ねてくる関係者ですら、なかなか辿り着く事の出来ないような場所。一日通しての来店客がゼロなんて事はざら。そのお陰で暇な時間は元ヴァンクリーフ&アーペルズの敏腕マネージャー女史から直々に宝石のレクチャーを受けたことで、宝石の知識だけは飛躍的に向上いたしました。何せ目の前に生きた教材がようけ並んでる訳やさかいね。

さて、そうした生きた教材の中でも一番の感動をもって目にしたのが、これからご紹介いたしますブックオパール。

もちろんそれまでにも、曲がりなりにも宝石屋ですからオパールぐらいは見知ってますが、扱ってたのはたいてい安価なホワイトオパール。たまにホテルの展示会でブラックオパールを見かける事はあっても、なるほど黒いわ、言うぐらいの、ほとんどがブルーとグリーンとグレーの混じり合ったようなぱっとせん石。

ところが香港で目にしたブラックオパールというのは、それまでの私のブラックオパールのイメージを完全に吹き飛ばし、木っ端みじんにしたのであります。

その石たちは、そのマネージャー女史知り合いのオーストラリアのブラックオパール専門の業者さんが、香港ジュエリーフェアの為に持ち込んだ自慢の逸品たち。出品前か出品後かは忘れましたが、お店に立ち寄り、わざわざご自慢のお宝をご開帳して下さったのでございます。

私の子供のころはテレビと言っても白黒、モノクロの時代。それがカラーテレビの時代の幕開けに伴い、カラーテレビを売らんが為の宣伝文句でよく目にしたのが「総天然色」。

その時のそのカラフルなブラックオパールを目に致しまして先ず脳裏に浮かんだのがこの言葉、

総天然色!

見せてもらったのはほとんどがルース、すなわちリングやペンダントと言ったジュエリーの枠が付かない裸石の状態だったのですが、そのカラフルで艶やかな事。一個一個がまるでステンドグラス細工の様に、一つの石の中で様々なカラフルな色がせめぎ合い、混じり合う。こんな美しく色鮮やかな石が地中から掘り出されたとは到底信じられず、しばらくの間ただ茫然と立ち尽くし、言葉もなく見とれていたのを今でも、昨日のことのように思い出します。

さて、ご覧いただいております指輪の石も、そのコレクションに収まっていたのではないかと言うくらい美しいブラックオパールなのでございます。

ブラックオパールで最高の游色パターンはハーレクインと言って大柄の鮮やかな色のパターンがはっきり区切られて現れているもの。これはその様子があたかもピエロの衣装の柄の様であることから、道化師=ハーレクインという風に命名された、と最近GIA-FGAダブルホルダーという凄い肩書をお持ちの、宝石鑑別も出来る宝石作家の先生にお教えいただいたのですから間違いございません。

さて、こちらのブラックオパールはそういった道化師の服ようなポップなイメージはございませんし、また目を見張るビビッドな色合いと言うほどの事もございません。

寧ろイメージ的にはその逆で、暗めのトーンが石全体を覆っております。

その中にあって、部分部分で地底深くより湧き出た溶岩の燃えさかる炎のような鮮烈な赤が、煌めき萌立っています。その暗いオパール地色との明暗のコントラストによって、赤がより生々しく際立ち、実にえも言われぬ妖しいい魅力をたたえた宝石となっているのでございます。このような色彩は、例えば高級ホテル、リッツカールトンの薄暗い内装を飾るにふさわしい中世の油絵の、顔料を幾層にも塗り重ねられた末に現れる、重厚な色の深みにも相通じる味わいとも言えるのではないでしょうか。

ピエロの衣装の派手さ軽さはございませんんが、この如何にも日本人好みの、渋くかつ鮮やな趣の宝石を手にされたなら、あなた様もきっと過去のわたくし同様、言葉を失いただ呆然と立ちつくされるのではないでしょうか。

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