夏も近づく八十八夜、コロナもようやく収まってまいりまして、このまま無事に素敵な夏が今年も迎えられますよう念じずにはおれません。
さて、夏と言えば虫のシーズン。蝉やクワガタ、カブトムシから蠅、蚊、ゴキブリに至るまで元気いっぱい活躍し季節に彩りを添えてくれます。虫コナーズと敵対する害虫に限らず女性の方はだいたい虫が苦手な向きが多いようでございます。逆に男性は昆虫採集の少年の延長か虫好きが多いようですね。
大人になってもまだ昆虫採集して標本作ってるような人もたまにいてますよね。偉大な漫画家、手塚治虫先生もご自分のペンネームに虫の字を入れるほどの大の虫好き。ところでなぜに人は虫に惹かれるのでしょうか?
それは虫を良ーく観察すると自ずと謎は解けてまいります。よく見て下さいよ、パーツパーツが実によく出来てるじゃありませんか?天然自然造形の妙というヤツですね。そこに着目し、宝飾工芸品として最初に現わしたのがフランスの工芸作家ルネ・ラリック。アールヌーボーからアールデコの時代にかけて活躍した彼は実にたくさんの昆虫モチーフの作品を残しています。これらの作品を見る事で改めて昆虫の美しさに気づく方も多いのではないでしょうか。
さて、写真のティファニーの蜻蛉もそのラリックの伝統を受け継ぐ精緻な描写力で造られています。本物のトンボは触るのも嫌だけどこれなら喜んでいただくわ、って女性の方も多くおられる事だとおもいます。でも実は昆虫モチーフのジュエリーはラリック以前のはるか昔、古代エジプトまで遡ることが出来きるんです。
古代エジプトではスカラベという昆虫、別名フンコロガシを聖なる虫と崇めこの虫を象った装飾品を身に着ける習わしがあったそうです。虫の宝石と人とのつながりは意外に古くからあるんです。虫だというだけでそう毛嫌いなさらず、慈しみ深く見つめてみて。