鑑定士 中島の出しゃばり鑑定談

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質業を日々営んでおりますと当然のことながら、いろんな方がいろんな品物をお持ち込みになられます。
そういった品物の中には、たまに目を見張る様な素晴らしい逸品や、いったい何だいこりゃ?なんて肝をつぶすような珍品にお目に掛かる事がございます。
 
このコーナーではそういった質屋ならでは、いかなる数奇な運命を経てか、図らずも当店に辿り着いた逸品、珍品のコレクションの数々を順を追ってご紹介して参ろうかと存じます。
 
 
 
 
さて、久々に逸品と呼べる品が入荷したんで、取る物もとりあえず、早速ご紹介しなきゃ。
てんで、どうですこちら、凄いでしょ!
もう、あたしの野暮な説明なんて要らないね。実物見ると唸っちゃう。ぐうの音も出ないってヤツですよ。こういうのを本物のジュエリーってんだよ。商品自体に品格てえものが備わってる。有閑マダムご愛読の雑誌ヴァンサンカンにでも載ってそうな感じでしょ?
 
えっ、何だか解らない?解らなきゃ説明しないとしょうがないね。
 
これはね、トルマリンを使ったペンダント兼ブローチなんです。
大きさは縦7センチ強、横2センチ弱と言うから結構大振りな品物。だからペンダントよりもブローチで使うことの方が多いんだろうね。
 
まず、嫌でも目に付くのが二本並行にならんだトルマリン。長いね〜!一本がなんと55ミリほどある。
トルマリンと言う宝石はね、火山由来のペグマタイト鉱床で生成される三方晶形の宝石で、縦に伸びた大きな原石で採れるんですよ。だからこのサイズでも特段珍しいってことは無い。ただし、この二本の石はね、このサイズにして全く無傷なんですよ。トルマリン自体内包物は少ない宝石なんだけど、それでも天然の鉱物なんで場面が大きくてクリーンな石てのはやはり珍しい。
 
それともう一つ特徴的なのが、このトルマリン、二本とも端から端にかけてグリーンからブルーグリーンに色が微妙に変化しているんです。つまりバイカラートルマリンなわけ。
 
トルマリンのバイカラーてえと、大体ピンクとグリーンって相場は決まってんだけど、この色目のバイカラーはけっこう珍しい。
ただ、これが短い寸法じゃこの微妙な変化は捉えきれないだろうが、この長さだと微妙な変化のバイカラーが活きて、とても神秘的な視覚的効果が得られる。まるで深山幽谷、人知れず静かに澄み切った水を湛える湖の様。玄妙な静謐ってものを感じる色合いだねぇ!
 
この様に珍しい石を二つ同じサイズで揃えることなど実際ほとんど不可能。これは多分一つの長い石を縦に二分割したんだろうけど、これも破損の危険を伴うなかなかの技ですよ。
さて、この二本の長いバイカラートルマリンをどう料理したものか、ジュエリーデザイナーの腕の見せどころだ。素材は良いのにデザインで残念みたいなのいくらでもあるからねぇ。デザイナーさんも随分知恵を絞ったこったろう。
 
結果はご覧の通り、二本の長い結晶を活かし、直線のみで構築された無駄の無いシャープなデザイン。飾りのダイアも勿論最上ランク。もう現代アートのオブジェの様な造形美だ。素晴らしい出来栄えのジュエリー誕生!
 
どなたが拵さえたか知る術もないが、良い仕事だねー。あっぱれ!! あっ、ちょと違うキャラ出ちゃった。
 
宝飾品の値打ちってのはね、石の値打ちだけじゃないんだよ。
良い宝石が良いデザインによって活かされ、それが良い細工でもって具現化されるという、石、デザイン、細工この三位一体のバランスが完璧に取れてないとダメなんだね。
 
こういう、世間で二つとない優れた宝飾品てのは、優れた骨董や古美術と一緒で家宝として子々孫々に受け継がれるべき物。
是非、お宅の宝石箱の一員に加えていただき、末長く大切になさって下さい。
 
鑑定士歴五十年 中島贋之助でございました。

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