アレキサンドライトの密やかな愉しみ

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さて、本日ご紹介いたすますお品は、こちらの一見花も実も無い、てか、むしろ地味ともいえる指輪。
 
わたくしがまだ30歳前後だった昭和バブル全盛期のころ、宝石、宝飾品といえばバブル成金のご婦人の象徴。「見てみい、どんなもんじゃこれ、これ、これ、これが目に入らんかーっ!ここにおわす私をどなたと心得る、畏れ多くも…」 という具合の自己顕示の小道具としての役割を司っていたわけであります。

内容よりも見かけ重視。いわゆるオバケと呼ばれ、質は大したことないけど、とりあえず中石の大きい指輪とかペンダントが良く売れてました。10キャラ20キャラの決して綺麗とは言い難いルビーやサファイア、エメラルドなんぞにテーパーダイアを取り巻いたド派手な、決して上品とは言えないデザインが人気を博しておりました。

わたくしも売りながら、こんなんどこがええんやろと思いつつも、お客様のニーズに合わせ、厳しいノルマをこなすのが売り手の義務。心にもない事を口から出まかせ、オバケせっせとを売り込んだものでございます。
 
まあこういうものを買う心理と言うのは、にわか成金にありがちな、金持ってるぞアピール。男性の場合だとベンツや高級時計を着けて見せびらかしたい、自慢したいというのと同根、人の少しでも上位に立ちたいという、人間の浅ましい性根に由来しているものと考えられます
 
さて、バブルではじけ、リーマンでコテンパンに打ちのめされた日本経済。にわか成金は淘汰され、アベノミクスにより、きっちりとブルジョアジーとプロレタリアート、お金持ちと貧乏人の二極化が進み、にわか成金、プチブルという宝飾品の最大の買い手が居なくなってしまったので、宝飾品業界も規模が一気に最盛期の1/3にまで縮小。見栄張る必要のない本物のお金持ちと見栄の張る余裕すらない貧乏人しか残ってないんですから。
 
さて、それでは宝石の買い手、購入層は市場から姿を消してしまったのでしょうか?いえ、滅相もございません。最後に宝石、宝飾品の買い手として残っている購買層こそは、本当の宝石好き、宝石オタクの方々なのでございます。
 
宝石マニア、宝石オタクの方々というのは、それを着けた自分がどう世間に評価されるかということにはさほど関心が無く、純粋に宝石そのものに感情移入する。入れ込んじゃうのでございます。宝石にまつわる故事来歴から化学組成、光学特性、産地等々細かく知識をためこみ、同好の志とSNSなどを通じ情報交換する。この辺は他の種類のオタクと多く共通点がございますね。
 
さて、大変前置きが長くなりましたが、こちらのアレキサンドライトの指輪、まさにそういったマニア、オタク向きのお品。まさに自己満足完結型のリングと言ってよいのではないでしょうか。
 
地味な服装の不思議ちゃんが、この指輪をひっそり着けてても、だれも気にやしません。まして世間の人の多くは宝石の王様、高級宝石アレキサンドライトなんて知りませんから、誰にも注目されません。しかし、そこにこそ宝石オタクの醍醐味、真骨頂があるのです。
 
「人知れずアレキ身にする、密やかな愉しみ」 

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