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ハリー中野の宝石コラム

ちょいとおつな通好みのアレキの指輪

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スポーツや芸能などを観覧しておりますと、やはり世間の脚光を一身に浴びるのは、その中でもごく限られた少数のスター選手やスター俳優、歌手といった方々。

例えば、今年大活躍のメジャーリーグの大谷選手。走攻守に加え、ルックス、スタイル、さらに性格まで良いと言う、もう神様の依怙贔屓を一身に浴びたような人物。正にそういう星の元に生まれたという、文字通りのスターという言葉がピッタリの人ですね。

さて、まあこうした年端も行かぬ童子、乳呑児ですら知ってるような人気アスリート、あるいは芸能界のトップアイドルなどと言われるような方々ですが、逆にその道でも、ある特定のファン層からの人気はあまり芳しく無いのであります。もちろん野球選手などの場合は敵対する相手チームのファンには活躍すればするほど嫌がられるわけですが、そういう勝負なんかの利害関係を抜きにして、スターと言うものを敢えて敬遠する人たちがいるのでございます。

そういった方々は総じて「通」(つう)なんていう風に呼ばれたりしますが、この通というのは、ご承知の様に、その世界の事情に精通しているから通と呼ばれるわけでありますね。

このような人々はその物事の内情に深く通じてるがゆえ、誰が見ても喜び浮かれ騒ぐような表面的に好印象な人物、事柄、味わいには目もくれず、内情に通じている者にしか分からぬ、細部や暗部、素人の目が及びもしない裏の技術やその違いと言うものに着目しては、ああでもない、こうでもないと同好の志と批評し合う事に生きがいを見出すのでございます

歌舞伎なんぞの伝統芸能の世界から、芸術、グルメ等々幅広い範囲で使われている誉め言葉に、通好みと言う言い回しがございます。

いかにも通好みの所作だとか、玄人好みの造詣の妙味とか、あるいは通好みのきりりとしまった辛口の酒なんてよく耳にいたします。あまり口にした事はないねけどね。

 

「おまえ、なんか聞くところによるとロック聴くらしいけど、誰のファンやねん?」

「オレか?俺は、三十年来の筋金入りのサザンのファンや!」

「サザンて、あれかサザンオールスターズのサザンけ?」

「当たり前やろ、ロックでサザン言うたらほか、誰がおるねん?」

「お前な、ロックでサザン言うたら、先ずはサザンロックの雄、オールマンブラザーズバンドやないかい」

「なんやそれ?あー、あちゃらのバンド?オレ洋モンあかんねん、何言うとるか分からんやろ」

「サザンかてなに言うてるか分からんがな、第一あんなんロックちゃうで流行歌、歌謡曲。あかんコイツ話にならんな」

「お前、何も洋楽やったらエエ言うモンでもないやろが、この西洋かぶれの売国奴めが!」

「洋物一辺倒やていつ言うた?日本のロックかてちゃんと昔から応援しとるよ。古くは外道、村八分、頭脳警察、四人囃子、ちょっと手前ではかの町田町蔵率いるINUとか」

「誰やねんそれ?」

 

とまあ、同じロックミュージックファンとて一般と通とでは話さえ通じんようなありさまですな。

これを映画の俳優さんとかに例えて言うともっと分かり良い。

一般のミーハーなファンが好むのが主演男優女優賞を取る様な主演を張る美男美女。

例えば、キムタク、佐藤健、石原さとみ、オールドファンには小百合ちゃん?と言うところ。

ならば通好みの俳優さんはというと、助演賞をかっさらっていくいぶし銀の演技派陣

例えば 大滝秀治、岸部一徳、樹木希林に市原悦子らへん?知らんけど。

 

さて、宝石ファンにおいても、こういった通のお方が当然おいででございます。

宝石道入門は以前のブログでも申しましたように、ダイアモンドが最初の第一歩でそこからルビーやエメラルドと言った色石に流れ、まあ大抵はその辺で止まる訳なんですが、何の趣味でもそうですが、ハマる人はどんどん堕ちるところまで堕ちて行くわけでございます。

さて、そうした普通の宝石好きから宝石の通、マニアに転換、開眼する分岐点となるのがこれからご紹介いたします、アレキサンドライトというい宝石。

宝石業界で昔から言われております通説が、宝石の趣味はダイアに始まりアレキで終わるというもの。これは一応、大体名だたる綺麗どころの宝石は揃いまして、最後ちょっと珍しい高級宝石で締めといたしまひょか、という意味合いで使われているらしいのです。

ただ、何事も普通ですまんのがマニアなどと呼ばれる凝り性の人。最後と言われるアレキサンドライトのさらに向こうに聳え立つ人類未踏の危険な山岳地帯とでも呼ぶべき希少石の群を目指さずにはおれません。

さて、その石マニアの入門の最初の第一歩、賭場口、地獄の一丁目に立つのがこのアレキサンドライトなる宝石。

ジュエラーのバイブル、諏訪恭一郎先生の著した「宝石」によりますとこの石は、1830年ロシアの皇太子アレクサンドル二世の12歳の誕生日に発見されたのに因んでアレキサンドライトと命名されたとか。

この宝石の一番の特徴はご存知の方も多いかと存じますが、その変色性。

太陽光の下ではエメラルドのようなグリーンの石が、白熱灯の下ではルビーのような赤に変わるという、まことに神秘的な特徴を備えた宝石なのでございます。

と書きますと、どんなに素晴らしい不思議な色合いやねんやろねー、と想像される一般の方も多いのですが、さて実際は、通の方は先刻ご承知のとおり、ぱっと見ははっきり言って冴えん宝石なんよ。

実際に諏訪先生もご指摘のとおり、太陽光線下での色もエメラルドのような美しいグリーンではなく、くすんだグリーンで、白熱灯下の赤のルビーのような純色に近い赤ではなく、パープルに近いくすんだ赤でございます。

さて、ご覧いただいております指輪も実際、実物を普通に室内の灯りで見ますと暗い小豆色の宝石が、両サイドに四角いダイアモンドがあしらわれた平凡なリング枠に留められた見事なまでに地味な印象。

なにこれ、全然ぱっとせんやん、ダッサー!と口走るあなたは宝石全般に佐藤健を求める一般的ミーハーファン。

 

では、通の方向けのセールスピッチを一声

こちら中石のアレキは0.4キャラット台と大きさはございませんが、内包物は無傷と言って過言ではないほどのクリーンな石でございます。

またナリも色石にありがちなカットの歪みや偏りが無く、綺麗なシンメトリーを呈しております。

さて、その気になる色でございますが、自然光ではインディゴライトのようなブルーグリーン、白熱灯下ではロードライトを感じさせる赤色を呈し、はっきりと判別できる変色効果が認められます。産地証明付き鑑別書はございませんが、この色味よりブラジル産、あるいはそれに準じる高品質のアレキサンドライトと申せましょう。

勿論脇石のダイアモンドは中石の品質に準じ無色透明、形も相似の高品質のバケットダイアモンドが使用されている事は言うまでもございません。

この宝石にして、何とも言えぬ渋みをたたえた逸品、同好の志のお目に留りますれば幸甚に存じます。

掲載ページはこちら → https://item.rakuten.co.jp/douxperenoel/11004217/