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ハリー中野の宝石コラム

非凡な凡人チャーのダイアペンダントネックレス

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今は亡き人気作家の中島らもという人の書くものは面白いと思っていたところ、喋ってるご本人は更に面白いという事を最近YouTubeを観て発見したのである。

江戸落語を評してテンポ良い小気味いい喋りなどと申しますが、氏の語り口調はこれの真逆。

噺口調のベースになっているのが、尼崎ご出身の事とて、もっちゃりした関西弁。このベースの関西弁をとろろ汁でのばして、卵白を加え納豆であえたような粘りのある、また途切れる事のないダラダラ喋りがのろのろと進行していくのである。

そして、その話す内容たるや、氏の書くエッセーや小話と同様、諧謔溢れる抱腹絶倒の内容だからたまらない。

 

もちろん最近のM1なんぞのテンポの速いノリツッコミに慣れた若人諸氏にとってはいささかタイミングの合わない、それこそカッタルイぼそぼそ語りで、そのペースについて行く事すら難儀であろうことは想像に難くない。しかしこのスローな話術に一度引き込まれるともう癖になって抜け出すことは困難。明らかに中毒性をもつ危険な喋りと言える。

 

さて、この中島先生、兵庫県尼崎は立花というところで歯医者を営むお家に生まれ、幼少のころは神童と呼ばれた優等生。

進学校として名高いかの灘中、灘高と学業の道を順調に邁進するも、どういう訳か高校半ばで勉強に嫌気がさし、ロックンロールに溺れ、酒や薬物に手を染めた末、ついにドロップアウト。

まあドロップアウトとはいうものの、そこはお医者様のお坊ちゃま、一応は大阪芸大に進学、無事就職も果たし、ちゃんとしたサラリーマンにひとまずは落ち着く。

その後アル中になったり、うつ病になったりの紆余曲折を経て、コピーライターに転じたあたりから運命は好転し、その後はとんとん拍子に名コラムニスト、作家、劇団主催者、ミュージシャンと時代の寵児として大活躍する事となったのはご存知の通り。

 

さて、最初コピーライターだった氏が、何故コラムや小説の道に進むようになったのかという理由がまた振るっている。

周りを見渡しても、読んでみたいようなおもろいコラムや小説が見当たらない。それなら自分で書いてみようという、言わば自給自足の精神からというから面白い。

そう言えば、私自身もはたして最近読んでみたい小説やら雑文などというものが見当たらない。いっそのこと中島先生に倣って自分で自分をエンターテインするオモロイ話でも執筆してみるか。弊社会長も「オマエいっそ物書きにでもなったらどやねん」と以前ご助言下さったことですし。

と、こういった他者のおちょくり半分の甘言に惑わされ、自惚れに乗じ、勘違いをする人が後を絶たない為、地道に職工勤めでもすれば、貧しいながらも幸せな家庭を築けたかも知れぬものを、一生を筒井康隆先生の小説「大いなる助走」ではないが、無駄な時間を無駄な事に費やし一生を棒に振り、生涯貧乏文学書生で終わる痴れ者が後を絶たぬのである。

 

こういった、自分の見果てぬ夢を追うが故に人生をしくじる者は何も物書きの世界にとどまらず、芸能、芸術、スポーツの世界と、ありとあらゆるジャンルで自らの才能を過信し、その結果、人生の終末を貧民窟のあばら家、スラム街の路上で無残な孤独死を迎える人がどれほど多くいる事であろうか。まことに嘆かわしい。

かかる不幸な道を前途ある有望な青少年に歩ませぬ為の警鐘という意味において、以下の文を熟読されたい。

 

さて、青少年諸君、まずはこのダイアモンドペンダントネックレスを観たまえ。

宝石、宝飾品に疎い諸君等には解るまいが、こちらは日本が世界に誇るチャーという高級ブランドジュエリーの素晴らしいネックレスなのである。

素晴らしいと言っても、素人諸君には一体なにが素晴らしいのか一目ではわかるまい。

何故なればこのネックレス、デザインの面においてはまったく定番のどこにでもあるダイアモンドを縦横三個ずつ並べただけの、プラスマークのようなデザイン。つまり何の変哲もない凡庸なデザインといって過言ではないのである。

ならば、なにが素晴らしいのかというと、このペンダントに使われている五つのダイアモンド。これが凄い!

鑑定書が付属してないからはっきりとした事は言えないが、全てのダイアが婚約指輪にそのまま載せ替えて使えそうな高品質。DEFカラーのVVSからVSの範囲で、カットだってどれもエクセレントが出るんじゃないかというくらいの素晴らしさ。

因みにこんな定番のデザインを甲府あたりの宝飾メーカーが普通に作りゃ、ダイアのグレードがGからIの間の色で、SIかIあたりのクラリティ、せいぜいカットもグッドが出れば御の字のダイアで拵えるはず。

当然、出来上がりの差は歴然。そこそこのダイアで制作した製品はこの平凡なデザインも手伝って、どこにでもある凡庸で退屈な装飾品となる。

かたや、こちらチャーの方はどうかというと、高品質ダイアモンドのみがもつブリリアンス、シンチレーション、ファイアーといった輝きの迸りが奔流となって放射され、見る者の眼を眩ませるわけで、それゆえ過度なデザインはかえって邪魔。このような抑えた定番デザインがダイアの輝きをお楽しみいただくには最適ということでこのデザインに治まったわけ。知らんけど。

 

さて、皆様方におかれましては、自分自身をこの非凡なチャーのネックレスでは決してないと心得る事が肝心。

蛙の子は蛙、かもめはかもめ。大体自分の親を見れば自分の正体は自ずと知れるもの。トンビが鷹を生むなんて事は、実際そんなことが自然界で起こりえぬように、起こりえません。

平凡なオッサンに見えて実はノーベル文学賞でも取ろうかという村上春樹のようなのに騙されてはいけません。大方の平凡に見るオッサンオバハンは、あるいは一見非凡に見える人でさえ、大概は凡人なわけですから。

前途ある青少年の皆様、あたら非現実的な妄想に取りつかれること無く、是非親御様同様凡夫凡人として人生を過たぬよう、地道に生き抜いて頂きたいものでございます。

 

その様な凡夫凡人に生まれた方への慰みとしてこちらのチャーのような、頑張れば手に入る非凡な商品があるわけですから。

 

因みに小生只今芥川賞直木賞泉鏡花賞あたりを狙い、質屋を舞台とした抱腹絶倒なお笑い小説の構想を練っておるところでございます。

以前、難波利三先生が実際大阪にあった質屋をモデルに「草暖簾」という退屈な小説を書いておられますが、これをパロって、これも実在する大阪の質屋をモデルに「臭暖簾」という題で文学史に金字塔としてその名を刻む傑作小説を執筆すべく、余生の手慰みとして準備進行中であります。

乞うご期待!

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