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ハリー中野の宝石コラム

アレキサンドライトの密やかな愉しみ

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さて、本日ご紹介いたすますお品は、こちらの一見花も実も無い、てか、むしろ地味ともいえる指輪。
 
わたくしがまだ30歳前後だった昭和バブル全盛期のころ、宝石、宝飾品といえばバブル成金のご婦人の象徴。「見てみい、どんなもんじゃこれ、これ、これ、これが目に入らんかーっ!ここにおわす私をどなたと心得る、畏れ多くも…」 という具合の自己顕示の小道具としての役割を司っていたわけであります。内容よりも見かけ重視。いわゆるオバケと呼ばれ、質は大したことないけど、とりあえず中石の大きい指輪とかペンダントが良く売れてました。10キャラ20キャラのけして綺麗とは言い難いルビーやサファイア、エメラルドなんぞにテーパーダイアを取り巻いたド派手な、決して上品とは言えないデザインが人気を博しておりました。わたくしも売りながら、こんなんどこがええんやろと思いつつも、お客様のニーズに合わせ、厳しいノルマをこなすのが売り手の義務。心にもない事を口から出まかせ、オバケせっせとを売り込んだものでございます。
 
まあこういうものを買う心理と言うのは、にわか成金にありがちな、金持ってるぞアッピール。男性の場合だとベンツや高級時計を着けて見せびらかしたい、自慢したいというのと同根、人の少しでも上位に立ちたいという、人間の浅ましい性根に由来しているものと考えられます
 
さて、バブルではじけ、リーマンでコテンパンに打ちのめされた日本経済。にわか成金は淘汰され、アベノミクスにより、きっちりとブルジョアジーとプロレタリアート、お金持ちと貧乏人の二極化が進み、にわか成金、プチブルという宝飾品の最大の買い手が居なくなってしまったので、宝飾品業界も規模が一気に最盛期の1/3にまで縮小。見栄張る必要のない本物のお金持ちと見栄の張る余裕すらない貧乏人しか残ってないんですから。
 
さて、それでは宝石の買い手、購入層は市場から姿を消してしまったのでしょうか?いえ、滅相もございません。最後に宝石、宝飾品の買い手として残っている購買層こそは、本当の宝石好き、宝石オタクの方々なのでございます。
 
宝石マニア、宝石オタクの方々というのは、それを着けた自分がどう世間に評価されるかということにはさほど関心が無く、純粋に宝石そのものに感情移入する。入れ込んじゃうのでございます。宝石にまつわる故事来歴から化学組成、光学特性、産地等々細かく知識をためこみ、同好の志とSNSなどを通じ情報交換する。この辺は他の種類のオタクと多く共通点がございますね。
 
さて、大変前置きが長くなりましたが、こちらのアレキサンドライトの指輪、まさにそういったマニア、オタク向きのお品。まさに自己満足完結型のリングと言ってよいのではないでしょうか。
 
地味な服装の不思議ちゃんが、この指輪をひっそり着けてても、だれも気にやしません。まして世間の人の多くは宝石の王様、高級宝石アレキサンドライトなんて知りませんから、誰にも注目されません。しかし、そこにこそ宝石オタクの醍醐味、真骨頂があるのです。
 
「人知れずアレキ身にする、密やかな愉しみ」 

傑作オリジナル ルビー・ダイヤモンドリング

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さて、本日ご紹介いたすますお品は、当店オリジナルジュエリーのこちら。
 
18金製ルビーダイアモンド指輪でございます。
 
こちらのデザインは元々、某一流ブランド人気のデザイン。そちらをパクリまして、もとい、剽窃いたしまして、もとい、参考にいたしまして、いえ、インスパイアされまして、拵えたものでございます。だいたい素人が自分の感性で好き勝手にデザインしても、碌なものはできません。やはり実績のあるデザインを拝借、参考にするのが一番。良い例がティファニータイプの6本爪ダイアモンドソリティアリング。本家本元のティファニー以外、国内外あまたのメーカーが同じようなデザインを発表していますよね。基本、石をセットして指輪に着け、それを美しく見せるという厳しい制約の中では、なかなか目新しいデザインを作り出すと言うのは難しいのかも。
 
こちらのデザインは、俗にフラワーデザインなんて呼ばれる、お花をモチーフとしたデザイン。こういった花モチーフのデザインは宝飾品に限らず、アパレルやバッグ、小物類に至るまで、女性の身の回りの物には非常に多く使われるデザインなんですよね。やっぱり女性は花と夢、いくつになってもロマンチックで美しいものに心惹かれるのでございましょう。
 
さて、こちらの商品、参考になる元のデザインがあるとはいえ、いい加減な作り方はいたしておりません。ちゃんと有名なジュエリー学校の講師を務められているジュエリーデザイナーの先生にデザイン画をお描き頂き、それをもとに、名人の誉れも高い、生野の巨匠とも呼ばれる宝飾職人に制作を依頼した、なかなかの労作なのでございます。
 
下段の写真でご覧頂いておりますのが最終決定のデザイン画というか設計図。指輪のデザイン画はこのように大体、立体3方向からの図面で描かれる事が多いのですが、マズイ画だと3方向の整合性が取れてなく、職人さんを非常に悩ます事にもなるのですが、この図面はもちろん完璧。
 
このような完璧な図面を渡しても職人がヘボだと、これまた碌なものが出来ません。こういった集合石の商品の場合だと、まず石のセッティングバランスの正確な対称性。石と石座に高さや角度のバランス。石座から腕にかけての自然なライン。ウデ腹部分のしっかりとした重量感。そしてこれら全体のトータルとしてバランスが最も重要。1か所でもおかしな部分があると、全体に影響が及びつまらぬ駄作になってしまうのです。どうでですか、この完璧なバランス!
 
そして最後にこの作品に要した材料についてでありますが、ここが質屋ならではの注目のポイント。なんとこれを作るにあたって使用したルビー、ダイアモンドそしてリングの枠として用いた18金地金、実はすべてお客様から買い取ったりした品物のリユースなのでございます。もちろんルビー、ダイアモンドは製品から外して材料として取ってあるものの中から最高のものを厳選し、地金はスクラップ地金を職人に渡し、溶かしてもらって、一からパーツを作り上げていくという工程。正しくすべてリサイクルによって作り上げた質屋ならではのオリジナル商品なのでございます。
 
とは言え、こんな事している質屋は多分ウチだけやろなー。
 

 

秋の郷愁を感じさせる鬼百合のペンダント

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もう9月というのに、このうだるような暑さはなんでしょう?それにでかい台風がバンバン発生して、これも地球温暖化の影響でしょうかね、グレタさん?わたくしどもの子供のころには、9月の声を聞くと赤トンボが茜色の夕焼け空を飛び交い、ススキの穂が秋風になびいて、何故か人恋しいような、何とも風情ある景色がそこかしこで見られたものでございますが。まあ、そんな郷愁をそそられる日本の秋がちゃんと到来しますよう、秋の風情をたたえたひと品をご紹介いたしましょう。
 
ということで、今回ご紹介いたしますのはこちら、秋らしい色合いをたたえたお花のペンダントトップでございます。お花のことは全くわかりませんが、形状からしてなんだかユリの花っぽいなー、でもこんな色合いのユリってあるのかしらねー?白ユリってくらいで、白のイメージしかないいんだけどなー、と訝りながも困った時のウィキペディア。おおーっ、あるやん似たやつ。鬼百合言うらしいですな、イカツ。この反り返った花びらが特徴的だとか。しかし本物はこんな色とりどりカラフルな感じじゃありません。そこはそれ、やっぱり宝飾品として美を表現するためのアレンジメントという事なんでございましょう。デザイナーの想像上の美人の鬼百合さんなのでしょう。 
 
さて、このカラフルな鬼百合、どんな宝石で出来上がっているかと言うと、ルビーを筆頭に色とりどりのカラーサファイア、グロッシュラーライトガーネット、そしてダイアモンドと豪華絢爛オールスターの布陣でこの美しい色合いを醸し出しているのでございます。
 
さて、その色合いは説明するまでもなく、ご覧頂ければお分かりの通り、冒頭で述べさせていただきましたとおりのまさに秋色。紅葉に彩られた秋の山々の風情ではございませんか?このような微妙な色合いの宝飾品というのは実に珍しいのです。日本の秋の雅やかな様子をカラー宝石の集合体で表現した卓越した技能。なかなかの逸品だと思うんですけど、いかが?

 

 

夏色宝石ペリドットの指輪

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さて、本日ご紹介いたしますお勧め商品はこちら、去りゆく夏、8月の誕生石ペリドットのお洒落な指輪。
 
ユーミンがまだ荒井由実を名乗ってたころ、てか、旧姓でご活躍のころの隠れた名作。ちょうど今ごろの去りゆく夏の季節を、失った恋と重ね描いた「晩夏」という曲があります。その歌詞の一節に “ 空色は水色に、茜は紅に “ または、”藍色は群青に、薄暮は紫に “ と季節の移ろいを景色の中の色の変化というに事によって、見事表現しているくだりがございます。
 
この、季節による景色の色というものを、誕生石のいくつかは如実に反映しているのでございます。たとえば5月、新緑の季節の誕生石と言えばエメラルドにヒスイ。まさにこの季節のみずみずしい緑色をあらわしています。また、7月のルビーは真っ赤に燃える真夏の太陽そのもの。
 
そしてこのペリドットの萌黄色。この色は草原や田園の緑が夏の強烈な太陽の光に照らされ、まさにハレーションによって色がとび、光と色が混然となったかのような、夏色そのもの。黄緑色が実に目にすがすがしい、まさにビタミンカラー。真夏の大草原が風によってうねり煌めいているかのような生命の躍動感をさえ感じます。
 
さて、夏が去り、季節は移ろい自然のなかの景色も徐々に鮮やかさを失ってまいります。ユーミンの歌詞にも   “ やがて来る寂しい季節が友達なの ” などと失恋の傷心を、冬に向かい褪色していく風景に重ね合わせ自己憐憫に耽るもさまが切々と描写されています。
 
さて、そのような時のすさんだ心の処方箋が、こちらの指輪。例えば失恋や様々な悲しい別れなどであなたを取り巻く景色は変われど、指にはいつでも真夏の草原の輝きが煌めいているのです。きっとこの指輪はアナタにそっと語り掛けてくれることでしょう。無駄な自己憐憫はとっとと捨て去り、新しい恋、新しい幸せを探すのです!と。真夏の草原の煌めきの色が、きっとあなたを前向きにリセットしてくれることでしょう。
 
知らんけど

 

大輪の花のようなパールペンダントトップ

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さて、本日ご紹介いたします新入荷のお勧め商品はこちら、大輪の花のような南洋真珠のペンダントトップでございます。
 
こちらのパールペンダント、ご覧のようにダイアモンドが埋め込まれた枠で形作られた花びら、外側が無色ダイアモンド、内側はブラウンダイアで変化をもたせ、そして中央に白蝶貝からとれます白蝶真珠、別名南洋真珠とも呼ばれます大粒の真珠を配した実にダイナミックなデザインとなっております。真珠のペンダントは通常片穴のルースにバチカンを設え、チェーンからぶら下げるデザインが圧倒的に多いのですが、こちらはペンダント自体が真珠の受け皿となり、デザインの中心で真珠をより引き立てる細工となっております。通常このような細工のものは真珠の形がボタンとか餅などと呼ばれる、ひしゃげたり、扁平な形状のものか、半球状のマベパールを使う事が多いのですが、こちらの真珠はリングにしてもいいような新円、しかもマキ、テリともに素晴らしい良質の南洋真珠が使われているのでございます。
 
さて、この真珠を評価する場合のマキ、テリという点を少し詳しくご説明いたします。
 
真珠はご承知のようにほとんど養殖によって生産されているのですが、その原理はいたって簡単。真珠を作り出す性質の貝にヒトが故意に真珠の核となる異物と、同時に貝殻成分を生成する外套膜を挿入し、この核に外套膜が細胞分裂をして生成される真珠層を巻きつかせていく仕組み。この幾重にも重なった真珠層が真珠独特のオリエントと呼ばれる虹色の干渉色を生み出し、真珠特有の美しさを醸し出すのでございます。マキが良いとはこの真珠層が厚く、干渉色が強く、また深い事を指します、またテリとは文字通り光沢の意味で、この真珠層自体が持つ光沢の強度を指します。養殖とは言え生成のほとんどが天然の生物と、そのおかれる環境によるところが大きいので当然出来る真珠にも個体差がでてくるのです。
 
さて、マキという点については白蝶真珠の方が日本で採れるアコヤ真珠よりも大きい分、マキも厚いので当然テリも良いと思われがちですが、実はそうでもないのです。テリに関しても然り。ただ大きいだけで、昔の電灯の白熱球の様な珠はいくらでもあります。しかし、こちらのお品の珠に関しては、真珠層の厚みを正直に反映し、実に美しいオリエント効果を発揮するとともに、またテリもすばらしい。更に白蝶真珠はアコヤ真珠に比べややグレーがかった色味が多いのですが、こちらはむしろアコヤ真珠っぽいピンク系のオーバートーンを呈しているので、見事にフェミニンな印象を醸し出しているのでございます。
 
真珠と言えばフォーマルなイメージが強おございますが、このようなお洒落なペンダントをどんどん日常使いとしてお召しいただき、真珠の魅力を常日頃からお楽しみ頂きたいものでございます。
 

出たーっ!バンクリ・アルファンブラ!

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さて、本日ご紹介いたします新入荷のお勧め商品はこちら、ついに出た!ヴァンクリーフ&アーペルズの人気商品アルハンブラシリーズのブレスレットとピアス。こりゃ早い者勝ちでっせ!
 
ヴァンクリーフさんのホームページによると、
 
1968年に初めて誕生したアルハンブラの特徴を受け継ぎ、ヴァン クリーフ&アーペルならではの独創性と時を超えるエレガンスを湛えるヴィンテージ アルハンブラ。ゴールドビーズによる縁取りが美しい、四つ葉のクローバーに着想を得た幸運のシンボルです。
 
四つ葉のクローバー。幸運のシンボル!着眼点が素晴らしいですね。全ての人が求めて止まぬ幸運をシンボル化したわけですから、そりゃ万人に愛されますよね。
 
あとは、このコンセプトをどうデザインに表し商品化していくかというところで、ここがジュエリーメーカー最大の難関。いくら発想が良くたってダサいデザインなら見向きもされませんからね。でもさすがは芸術の都、フランスはパリに本拠地を置くヴァンクリーフ&アーペルズ。パリの芸術のエスプリを遺憾なく製品に注ぎ込んで出来上がったと言っても過言ではないの、がこちらのアルファンブラシリーズ。
 
まずはこちらのブレスレットとピアスをご覧ください。マザーオブパールと呼ばれる白蝶貝の貝殻でつくられた四つ葉のクローバーのモチーフを単純にゴールドの枠にセットされているだけの実にシンプルな造り。装飾用のダイアモンドのひとかけらも使われていないのです。意地悪な見方をすれば、安っぽい、アクセサリーとも見間違えるような簡単な造り。しかし、実際そうは見えないのが、細部のこだわりと、計算されつくしたデザインのバランスのおかげ。
 
それでは、どこが凄いのか順番に見てまいりましょう。まず、この四つ葉のクローバーのモチーフとして使われているマザーオブパール、つまり貝殻なんですが、皆さまもご存じのとおり、貝殻というのか決して平板でなく、でこぼこ表面が波打ってるか、緩く湾曲しているのが普通。でもここで使われて貝殻はすべて真平。そしてすべて同色、ピースにほとんど差異がみうけられないのです。これは多くの材料から選び抜いた素材を、絶妙な技によって加工を施されているからに相違ございません。そしてこのクローバーの貝を留めるゴールドの枠。細かいビーズが表裏に施され、貝を取り囲むようにセットされています。このセッティング、一見しますとレール留めか枠留めのように見えますが、実は4枚の花弁の根本部分が爪の役割を持ち、これで貝を押さえているのです。なぜそのような造りになっているのでしょうか。たぶんこの貝殻が割れたり、欠けたりした場合のメンテナンスも計算に入れてのことだと推測されます。実際ヴァンクリーフの店舗に確認致しましたところ、そのようなメンテナンスは可能とのことでした。
 
そして鎖、クラスプ、イヤリングクリップ部分、すべてヴァンクリーフ&アーペル社製オリジナルのモノ。1個1個が重厚感あるきちっとした造り。まさに爪の先まで神経の行き届いた、ブランドの矜持すら感じさせる存在感でございます。
 
正直申しまして、こちらの商品のような人気の高級ブランドジュエリーはめったに入荷いたしません。何故かと申しますと、この様なお品をご購入される方々と言うのは、基本的に質屋とはご縁の薄い方。ですからこれはホンマ掘出し品でっせ!

 

いかにも作家物風ボルダーオパールリング

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さて、本日ご紹介いたします新入荷のお勧め商品は、こちらのボルダーオパールの指輪。
 
ボルダーオパールとは聞き慣れない名前だとおっしゃる方も多いかと存じますから、まずは石の説明から。
 
これは、以前、オパール原石をそのまま活かして指輪に仕立てた商品の時もご説明した内容と重複しますがまあ、お聞きください。オパールという宝石は岩と岩の隙間にできるのですが、そのすき間があまりにも狭いと、原石のみを取り出す事が難しい。それじゃ岩もろとも切り出しゃいいじゃん、ってことで切り出されたのが、母岩付きオパール、通称ボルダーオパール。
 
岩の表面に薄く張った氷のように岩にオパールが張り付いていますので、岩石部分を含めたこの石全体のキャラット重量を云々するのはあまり意味の無い事で、だいたい取引は大きさと、見た目の美しさで価格が決まる様でございます。綺麗なものは一瞬ブラックオパールかと見紛うようなものもございますが、ブラックオパールはしっかり厚みがあるオパールの塊なので、ちゃんとカボッションカットにして、こんもり盛り上がったドーム状なのに対して、こちらは岩に張り付いた薄い層なので、いくら母岩と一緒に切り出しても盛り上がりの無いプレート状になってしまうんです。
 
しかしその分、ブラックオパールに比べてお値段は断然お安い。そこに目を付け一時期ジュエリーデザイナーの製品などによく使われていましたね。話はちょっと横道にそれますが、ジュエリーデザイナーの作品って結構安い宝石材使ってるものが多いんです。カルセドニー、クォーツの類の変わり種、例えばモスアゲートとかランドスケープアゲート。ルチレイテッドクォーツにスモーキークォーツね。あと、フェルドスパーの仲間のラブラドライトとかムーンストーンなどの特殊効果石。見た目変わってるけど宝石材としては安価。こういうのを使ってデザインの妙でオリジナルジュエリーを拵え高く売る。みなさんなかなかの商売人です。そうそう、誰とは申せませんが、ヨーロッパの蚤の市などで安く売られてるエマーユという七宝焼きのタブレットを使ってオリジナルジュエリーを仕立て、ひと財産を成した有名ジュエリーデザイナーのおられますね。
 
さて、それではこちらのお品。彫金細工風の腕に枠留めのボルダーオパールを張り付けたような、いかにもジュエリーデザイナーの作品っぽい造り。一瞬ボルダーオパールの使い手、翁淳先生の作品かと思ったんですが、トレードマークの「翁」の刻印が無い。有っても、無くても中古になりゃ大差ないんですけどね。それよりもオパールにご注目下さい。全体に赤い斑が出ていますでしょ。ブラックオパールでもボルダーオパールでもこういった赤斑の入ったのが値打あるんです。何でって?綺麗で華やかだからに決まってるでしょ。リング枠も厚みがあって全体的にずっしりしてます。如何にも手作りの逸品という風情でございます。まあ、唯一の欠点はリングの地金表面に施された彫金細工風文様がリング全体を覆っている為、サイズ直しがきかない点。多分こちらのお品、最初からクチュール品として仕立てられたものなのでございましょう。やっぱ違いますね、商品としての気品が。というわけでお客様の方でお指のサイズをライザップなどご利用いただき、調整いただく仕組みとなってございます。ごめんあそばせ。

 

おもちゃの様な本格派ジュエリー  ピンクサファイアのクマ

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さて、本日ご紹介いたしますおすすめ掘出し品は、大物が続きましたので、こんな可愛いテディベアのペンダントトップでございます。
 
こちら、ぱっと見は安物のアクセサリーかと見紛うような軽いポップな感じ。でも実は非常にきちっと作られた本格的なジュエリーなんでございます。
 
まず、胴体部分は人気のピンクゴールド。ローズゴールドなんて洒落た言い方でもお馴染みの赤味がかった18金。こういったアクセサリーっぽい装飾品によくありがちなのが、地金を倹約し、しかも加工工程を簡略化して、ブリキの玩具のようにペラペラで角や縁の処理がきちんとされてないという、いかにも手抜きの商品。ところがこちらは、地金部分にはたっぷりとした厚みを持たし、角や縁の部分はまろやかな丸みを持たせ、触った感じも実にスムーズな本格派。
 
このしっかりした胴体部分はよく見ると正面に向かって穏やかに内ぞり気味で、その内側には全面にびっしりと色の完全に統一されたピンクサファイアが彫留めされているのでございます。さらにその上からこんどは胴体部分と反対に正面に対して膨らみを持たせたホワイトゴールドで拵えた衣服の部分が、胴体部分との間に故意にすき間をつくり、ピンクサファイアの細工が隠れぬように貼り付けられています。こちらの衣服部分にはこれまた全面に綺麗なメレダイアがびっしっと堀留めされていまして、剛体部分のピンクサファイアと見事なコントラストを醸し出しているのでございます。そして、見逃してはいけないのが、チェーンを通すバチカンと呼ばれる部分。こちらも全体の可愛らしい感じにあわせて、肉厚でコロンとした丸みを帯びたデザイン。ありきたりな既成のパーツを安易に使ってないんです。
 
小品ながら隅から隅までこだわりを感じさせられるこのクマちゃん、きっと何かのブランドか企画品であろうかと思われるのですが、残念ながらその痕跡をたどる刻印なりホールマークが全く見当たらないんです。ただ、はっきりしてるのはこのクマちゃん見かけによらず、この造りからしてびっくりするほど高額なお値段で販売されていたのでございましょう。ペットに例えるなら、血統書付きのクマちゃんてことになるんでしょうか?

往年の人気アイドル歌手 梶光夫のエマーユリング

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さて、本日ご紹介いたします当店秘蔵のお宝は、 こちら日本が誇るジュエリーデザイナー梶光男先生の代表作エマーユのリング。
 
梶光男氏と言えば知る人ぞ知る、かつて一世を風靡した青春歌謡スター。もちろんそのまま芸能の世界で生きておられれば、今頃押しも押されもしない芸能界の重鎮として君臨されていた事と存じますが、それがなんと人気絶頂の1970年に宝石、時計店を営む家業を継ぐというお父様との約束を守り、あっさりと芸能界を引退。その後渡米し宝石商の博士号とも呼ばれる、GIA・GGの資格を取得。帰国後は宝石鑑定士、そしてジュエリーデザイナーとしての地位を着実に固め、今では国内はもとより世界的にも名が知られたジュエリーデザイナーとしての名声を確立されているのであります。
 
さてこちらの指輪ですが、これはエマーユと呼ばれるフランスの七宝焼きを指輪に組み入れた梶先生独自の作品にして、人気の代表作。いまでは、梶光男と言えばエマーユ言われるほどの看板シリーズとなっている中の一つでございます。なにせ、梶先生エマーユに凝りすぎて日本で唯一のエマーユ専門の美術館を作ってしまったほどなんです。
 
さて、この梶光男先生の作品は専ら有名百貨店や一流宝飾メーカーが主催する宝飾展示会で販売されているのですが、驚くべきことに会場には先生自らお出ましになり、記念撮影にも気軽に応じ、接客販売されているのです。そりゃ売れるわね、なんせ昔の大スターやし、お客さんはその頃を知るおばちゃんやからね。実際、私も宝石屋に勤務しておりました頃にはそういった宝飾展の会場で幾度も先生に間近で接し、芸能人オーラーを存分に発揮しての販売に感服いたしておりました。
 
ここからは秘蔵の裏話。先生実は大阪市ご出身なのはウィキペディアでも明らかなのですが、大阪でももっともディープな街、西成区萩之茶屋の山王商店街にご実家の宝石、時計店があったらしいのです。実は私が以前勤めておりました宝石店の営業本部長、つまり大番頭さんもこちらのご出身で無茶苦茶ガラが悪い。そのオッチャンなんと梶先生の同級生。展示会会場などで二人が出くわすと、梶先生、普段のお上品な接客口調から一変してのナニワの下町オッサン口調。
 
「おっ、芸能人。どや、調子は?」
 
「あかん、さっぱりわやや。しょぼい客ばっかりや思たら、お前んとこの客か?もっと社員にハッパかけんかい、ハッパを」
 
「あんだら(あほんだら)おのれんとこの商品悪うて売れんのを、ウチの客のせいにすな、ボケ!景気づけに昔取った杵柄で一節歌とたらどないや?心づけになんど購うてくれはるかもしれんど?」
 
「あほぬかせ」
 
「わははははは!」
 
「わははははは!」
 
展示会の舞台裏では、このような会話が交わされてたのでは、と推測する次第であります。あくまでこれはわたくしの推測、イマジネーション、妄想の世界。梶先生の威信を傷つける事を意図したものではございません事を謹んでおことわりいたします。

イタリアの名門 ダミアーニのクロスペンダントは曲がってなんぼ

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さて、本日ご紹介いたしますおすすめ掘出し品は、ダミアーニのクロスネックレス!
 
シュルレアリスムの巨匠、スペインの芸術家サルバトール・ダリの代表作に「記憶の固執」という作品がございます。その中に描かれているのは、熱で溶けてしまったかのような、グニャっと曲がった時計。これがあまりも印象的なので、この絵画自体が「柔らかい時計」とか「溶ける時計」と呼ばれることもあるそうです。このとろけるチーズのような時計が何を表現しているかの解釈は芸術ですから、見る人の勝手なんでございましょうが、初めて見る人は、かなりのインパクトを受ける事は間違いございません。
 
さて、こちらのクロスペンダント、ダリの「柔らかい時計」にインスパイアされて作られたかどうかは定かではございませんが、こちらも同様グニャリ曲がった、「柔らかい十字架」。
 
十字架とは本来、はりつけ台とも呼ばれる処刑の道具。十字に形作られた木製の台に咎人を括り付け、下から槍などで刺し殺すという如何にも残酷な刑罰に用いられる禍々しいもの。それが、現在このようにジュエリーをも含めチャームとして広く世に行き渡っているのは、もちろん十字架に架けられ息絶えたイエスキリストが、その後復活を果たしたという、まさにキリスト教の根本をなす意味合いを持っているからにほかなりません。本来残酷な処刑の道具が神聖なしるしへと生まれ変わたのですね。
 
さて、この西欧では神聖かつ、犯すべからざる聖なるしるしを曲げちまったんですから、これは日本人が考える以上に大変な事なんじゃないでしょうか?しかも、これを製造したのはほかでもない、ローマ法王のお膝元、バチカンを内包するイタリアの一流ジュエラー、ダミアーニ。法王からのお叱りは無かったのでしょうか?それともおおらかな国民性のかの国の人々は、そんな細かい事は気にせず、「おっ、十字架曲がっとる、おもろいやんけ」くらいの反応なのかもわかりません。狭量な日本人には想像もつかないことでございますが。
 
しかし、さすがはダミアーニ、ただいい加減に曲げているわけではございません。ご覧の通りまるで人が踊っているようなフォルム。ダンシングダイアモンドならぬダンシングクロスペンダントと呼びたくなるような躍動感。これは荘厳なローマカトリックのミサというより、アメリカはハーレム、アフロアメリカンが集うチャーチで、ウーピー・ゴールドバーグみたいなシスターがゴスペルをシャウトしつつのダンシング。サンキュージーザス、サンキュウーロードと連呼しつつ、神に感謝をささげる熱い感じのクロスペンダトという感じではございませんか?
 
このペンダント、サイズも大型、ネックレスもロングなサイズでございますれば、お洒落男子にも断然オススメしたくなる逸品!
 
どうだい、そこのドレッドヘア、拡張ピアス、タトゥーが決まってるお兄さん、ちょっと奮発してみちゃ?