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ハリー中野の宝石コラム

白金台のご婦人には白金がお似合い

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わたくし生まれも育ちも大阪なんですが、実は父親を早くに亡くして、哀れ貧しい母子家庭育ち。母親が昼間家族の生活を支える為働いている間は、母親の母親、つまりおばあちゃんに面倒を見てもらっていたのでございます。

昔から、「おばあちゃん子は三文安い」とか言われるそうで、祖父母に育てられると甘やかされて育てられるので、ロクなモンには育たないというらしいのです。

ウチの婆さんは結構厳しく、そんなに甘やかされたとも思いませんが、結果はやはりロクなモンにはならなかったから、矢張りことわざ的中かもわかりませんな。

さて、この婆さん、実は東京は小石川育ちの生粋の江戸っ子だったので、長らく大阪に住んでいるにも関わらず、粋でいなせな江戸弁は死ぬまで治らず、そのため家庭での躾、小言は全て江戸弁。その結果、子供時分のわたくしは完ぺきな関西弁関東弁のバイリンガルだったのでございます。

その為、学校なんかでうかつにも何かの拍子で東京弁あるいは関東風発音が出たりした時なんかは、級友の河内の悪ガキどもに「こいつキモー!」などと言われ、随分からかわれたり、いじめられたりしたものでございます。

あるいはまた、関東関西での物の呼び名の違いや食べ物の味付けの違いにも随分戸惑ったものでございます。ウチでおみおつけと呼ばれてるものが外では味噌汁、おこうこが沢庵と呼ばれる。今では関西でもポピュラーになりましたが納豆なんかも他所のウチじゃ誰も食べない。お弁当に入っているおかずの交換なんかしたら、甘いはずの卵焼きが友人のはしょっぱい。そのしょっぱい卵焼きはだし巻きと呼ぶらしい。そしてなんといっても、粉モン文化の関西に住んでいて、家庭でお好み焼きやたこ焼きを食べた事が無いという、まったくのエトランゼ的生活ぶり。ですからわたくし実は関西人の皮を被った江戸っ子なのでございます、知らんけど。

知らんけどなんて言わねーよ、江戸っ子は!

さて、ところ変われば品変わるで、関西関東の違いでもこんなにあるわけなんですが、その時代時代によっても物の呼び方が変わったりいたします。

時代の変遷によって廃れ消え行く言葉がある一方、新たに生まれるモノや事柄にあわせて新しい言葉も生まれてまいります。

わたくしの様に年寄りになってまいりますと、経験としてその時々にその変遷に沿って変化に対処してまいりましたので、今更改めて振り返ってみますと、いとおかし。なにが可笑しんか知らんけど。

例えば昔は甲斐性のあるひとかどの旦那衆ともなりますと、二号さんなどと言って、愛人を別宅に住まわせて生活全般の面倒を見るなどと言う、つまりは嫁はんを二人持つなどといった離れ業を行ったようでございます。わたくしのような恐妻家にとっては、なぜ故そのような艱難辛苦の道を敢えてとるのか全く謎な訳であるのですが、それを遥か上回るとてつもない良いことがあるのかもわかりません。子供のボクには全くわかんないけど。

さて、この二号さんですが、関西ではこれを昔は「こなから」などと呼んでいたそうでございます。

今でも、ちょっとこだわった飲み屋なんぞに参りますと、日本酒を桝に入れて出すところがございます。檜の香りがほのかに漂い、まことに結構な趣向でございますが、この桝と言うものも、その容量によっていろいろな大きさがございます。だいたいお酒がなみなみと注がれますのは一合桝。この表面張力で今にもこぼれんばかりの酒をば口から迎えに行くのがホンモンの酒飲み。「口からいけ口から迎えにいくんや、こぼしたら勿体ないやろ!」言うて酒飲みの上司によう叱られたもんです。

さて、この一合桝の半分が五号桝。そしてまたその半分二合五勺の容量の桝が関西では昔「こなから」と呼ばれたそうでございます。二合五勺すなわち二合半つまり二号はん。洒落た隠語やね。人間国宝故米朝師匠の受け売りだんねけどね。

さて、ジュエリーの方におきましても時代の移り変わりとともに呼び名が変化したものがございます。

私のまだ若い時分には皆様のお好きなダイアモンドが金剛石と呼ばれた、なんて事はないのですが、そのダイアが留まっている指輪の枠の地金はよく白金(はっきん)と呼ばれていました。

白金などと言いますと、今ではホワイトゴールドと勘違いされる方が多いのじゃないかと思いますが、これはもちろんプラチナの事。

今でこそ金価格高騰で値打ちが逆転しちゃいましたが、昔はプラチナの方が価格も断然高く、貴金属の頂点に君臨するキングオブプレシャスメタル。

「あかんあかん、やっぱり白金やないと値打ちあらへんわ。金みたいなもんにダイア留めてどなすんねんな?センス無いわ、あんたアホちゃう!」

と間違って婚約指輪を金枠で誂えようものなら、間違いなく婚約者にこんな具合に罵倒されたものでございます。

しかしこれも何の根拠も無い誤解偏見。実際西欧ではジュエリーに用いる貴金属は基本ゴールド。プラチナなんて滅多使わない。どうしても白い地金を使いたいときはホワイトゴールドと言って、金に白っぽい金属を混ぜて拵える合金を使うものと相場は決まってる。

ただし、これがアメリカになりますとまた話は違ってまいります。

こちらにお示しいたしました当社一押しのティファニバイザヤードペンダントでございますが、こちらのシリーズでは白い地金は、シルバーかプラチナの二つに限られているのでございます。もちろん他のティファニーの製品には18金ホワイトゴールドで作られたものも数多くあるのでございますが、このバイザヤードペンダントのシリーズには存在しないのです。なぜでしょうか?もちろんティファニー部外者のわたくしには全くあずかり知らぬことながら、これはきっとこのバイザヤードペンダントをデザイン致しました、エルサペレッティ女史の強いこだわりがあるのでございましょう。

まさか、「あかんあかんやっぱり白金やないと値打ちあらへんがな」と河内弁で檄を飛ばした訳ではございませんでしょうが、ホワイトゴールドには及ばぬ、気品と重厚感。それに変色の恐れの無い点などにこだわったのかも?

近頃じゃ当店でも、バイザヤードシリーズ全般においても、ゴールド人気が優勢ですが、プラチナはプラチナでティファニが誇る高品質なダイアモンドの透明感と非常に相性がよく、何とも言えない奥ゆかしいノーブルな雰囲気をそこはかとなく醸し出しております。あなた様の様な上品なお顔立ちのご婦人には実によく映えること請け合いなんでございますがねー。

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