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ハリー中野の宝石コラム

爆裂ウルトラリング

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皆様はミドリのおじさんをご存知だろうか?

ミドリのおばさんなら、学童の交通事故を防ぐため、小学校の登校・下校時に通学路でで小旗を持って学童の交通整理をする女性交通指導員の通称。学童擁護員。昭和三四年(1959)に始まる。緑色の制服を着ているところからそのように呼ばれる。とインターネット辞書のweblioに出てますが、それの男性版かと言うとさに非ず。またクルマの駐禁を取り締まるおじさんたちの事でもありません。

わたくしが宝石店に就職して間もない時期と申しますから、1980年から1990年頃にかけての事でございましょうか、大阪の繁華街にあるショッピングモールや百貨店などを股にかけてけっこうな広範囲にわたって出没した男性の事を、誰呼ぶともなくこのように呼んでいたのでございます。なぜなれば、その人物は全身、頭の先からつま先までをグリーン一色で統一した風体をしていたからなのです。

グリーンの帽子にグリーンのスーツ、グリーンのシャツ、ネクタイ、靴は何とエナメルのグリーン。もちろん靴下もグリーンでひょっとすると下着も?うる憶えですが多分眼鏡もグリーンのサングラスをかけてたのじゃなかったでしょうか。もうホント全身がグリーン、まるで青虫。

この人物の視覚的インパクトたるや、そりゃもう半端ない。わたくしが最初に目撃いたしましたのは多分ホワイティ―梅田と呼ばれる、大阪はキタの地下ショッピングアーケードにありました支店に勤務していた時。その日もいつものように宝石陳列用ケースの後ろに控え、客待ち態勢で通路を眺めるともなしに眺めておりますと、遥か彼方より何やら異形のモノがこちらに向かって近づいて来るではないですか。最初はたぶん機械設備の作業員か、地下街の何かのイベントに動員された着ぐるみのエキストラだろうと、さして気にも留めてなかったのですが、近づくほどにその全容が明らかとなり、その時初めて「なんじゃ、こりゃー!?」とかなりの衝撃を受けたのでございます。

ジム・キャリー主演で「マスク」というコメディ映画が以前にございました。その主人公はグリーンのマスクを着けると超人的な力を発揮するという設定だったのですが、まさにそのグリーンのマスクを着けた主人公そのままのインパクト。ただし映画の方は顔だけがグリーンなのに対し、こちらは顔以外が全部グリーン。面積が広い分その迫力も倍増!

そのわたくしが勤務する店がありました立地は、ちょうど近くに梅田花月という吉本興業の劇場がございました関係上、時々吉本の芸人さんなんかも見かけたりしましたので、最初はそのあまりの奇態なサマに、きっと吉本の芸人さんだろうと思ったのです。しかしよくよく観察してもまったく見たことも無ければ、芸人らしい愛想の欠片も見せず、中空一点を睨んでぐんぐんと歩を進めている様は、なにやらただならぬ異様な気配。

ふと気が付くと、向かいの洋装店のお姉さんも呆然とその人が通り過ぎるのを眺めております。傍らに目をやると先輩女子社員が意味深にニヤニヤ笑っているではないですか。

「あれ何ですの?」思わず尋ねますと、先輩面白そうに

「見たん初めてか?」

「ええ、あんなけったいな人見たのはじめてですわ」

「あれはな、ミドリのおじさんや」

「ミドリのおじさん?見たまんまですやん。何者なんですか?何してる人ですの?なんで全身ミドリなんですか?」

矢継ぎ早に質問を浴びせかけるも

「知らん。何にもわかれへん。ただ時々あの格好で現れるねん」

「時々あの格好って、毎回同じ格好してますの?」

「そーや、寸分たがわず同じ格好。そやからここらじゃちょっとした有名人やで。覚えときや」

「はー、で名前は?」

「そやから、ミドリのおじさんや、そない言うたら皆知ってるわ」

実際、後で判ったのですが、このミドリのおじさんは他所の支店でも有名で、その後わたくしが異動で別の店に移った際も、その場所で再度ミドリのおじさんに遭遇したのでございます。

さて、結局このおじさんの正体は判らずじまいだったのですが、昔はこのおじさんのように個性的な風体をしている方がけっこう多かったように思います。例えば当時タレントとしてテレビにも多く出演されていた大屋政子さんというご婦人がおられましたが、この方実はなんとあの大企業、帝人の社長夫人にして大阪を代表する資産家。しかるにそのいでたちたるや、結構なご高齢にもかかわらず、黒髪をオールバックに固めて刈り上げといったオッチャン風のヘアスタイルながらも、その服装はピンクを基調とした花柄ムームー風の超ミニスカートと実に突飛。もしファッションスタイルにもそういうジャンルがあるとするなら、シュールの一言が最適かというくらいの佇まい。

なにかと人の一挙手一投足に細かく批判が集まる昨今のネット社会。その弊害の一つにこういった個性豊、自分勝手な装いが出来にくくなっているという事が挙げられるのではないでしょうか。ついつい人の目が気になる。炎上が怖い。ネット上で晒されるのではないかしらん。そういう不安が手枷足枷となり、本来あるべきあなたの自由気ままな装いを束縛するのです。

もちろんファッションスタイルは昔に比べ随分多様化してはいるものの、それはそれぞれの理想形がゴールとして用意されており、それに沿うようトータルの装いをコーディネートしていくといったお仕着せの多様性であります。

しかし本来お洒落というものは、一つの自己表現の手段。人に褒めてもらおう、あるいはモテたい、異性の気を引きたいなんて言った下卑た心根で行うものではございません。

かの偉大な芸術家、岡本太郎画伯もおっしゃっています。「人におもねるような、人に気に入ってもらおうなんて心根はダメだ。人に挑み圧倒するような、気圧するような、なんだこれはと人をして驚愕せしめ、嫌悪の情さえ惹起せしめ、反発されるようなものを表現しない事にはそれは芸術とは呼べない。芸術は爆発だーっ!!」

さて、あなた様も今一度自らを振り返り、その人目を意識した、世間体を慮った、あるいは異性に媚びへつらうような、お仕着せのトレンドを追い求めるお洒落は打ち捨てて、真の自分と言う者の個性を世に問うような装いの爆発を表現されてみてはいかがでございましょう。その第一歩を踏み出すのにうってつけなのが、これからご紹介いたしますこちらの指輪でございます。

さてこちら、指輪とご紹介せぬ限りは誰もその正体を見破る者とて無いような外観。

かつて、日本の特撮技術の雄、円谷プロダクションがその特撮技術の粋を結集して製作にあたった人気テレビドラマ、ウルトラQに始まりウルトラマン、ウルトラセブンへとつながるウルトラシリーズという人気の連続テレビ番組がございました。こちらの指輪ときたら、まるでそのウルトラシリーズに登場する怪獣、珍獣を連想するような、はたまた南米あたりのジャングルにでも生息するような禍々しく極彩色に彩られたな食虫植物かと見紛うような様子。

上下に四枚の花びらのペア、左右に三枚の花びらがこれも対となって配置され。それぞれ全ての花びらがオレンジとイエローのサファイアによって、泥絵の具で描かれた見世物小屋の看板の如くに毒々しく色づいております。さらにそれぞれの花びらの淵部分にはブラックダイアのメレがこれを隈取するが如くセットされて、さらにそのアクの強さクセの強さを一層誇張しております。しかも驚くべきことにこの花びらは一枚一枚が独立して形成されており、それぞれの付け根部分は全てがある程度可動するように取り付けられている為、着けている人の動きに合わせて全体がワサワサと揺れ動くのでございます。まさに円谷プロダクションの特殊細工に迫る創意工夫ではございませんか。

さてこの指輪、重量がなんと36グラムもあるという超弩級の超大作。この重量を支えるためにそのリングのウデも半端ない太さ。

ご存命なれば、岡本画伯も絶賛するであろうこと間違いない、並みいる凡庸なジュエリーを蹴散らし圧倒するこの超弩級のド迫力。

このモンスター的指輪を威風堂々と着けこなせる第二の大屋政子女史たるべき女傑よ、いざ出でよ!

掲載ページはこちら → https://item.rakuten.co.jp/douxperenoel/11004360/