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2021年11月

顧客育成はママ活の巻

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相撲の世界にはタニマチという言葉がございます。これは力士個人や部屋の後援者、パトロンの事で、飲み食いの世話はもとより化粧まわしの寄贈、いわゆる夜の街の接待を伴うお店への接待、何やかやの差し入れ、小遣いの援助などなど、ありとあらゆる世話を焼いてくれる有難いお客さんの事。昔大阪の谷町に相撲好きで、お相撲さんは無償で診てくれる外科医の先生がおられたらしく、その住所の谷町がこの語源になっているそうでございます。

タニマチは何も相撲の世界に限った事ではなく、プロ野球、サッカーなどのプロスポーツ選手や芸能全般のいわゆる人気商売といった分野に幅広く広がっているらしゅうございます。また更には水商売、特にホストクラブの世界では贔屓のホストの売上向上に貢献しなければなどといった、タニマチ的顧客がその稼業を支えているそうでございますが、そのタニマチ的顧客にならんが為に、客自らが水商売や風俗といった業界に身を沈め、このスポンサー料の原資を稼ごうとする涙ぐましい努力を傾注される若い婦女子もおられるやに伺っております。

さて、こうしたタニマチ的風潮はさらには小売り業界の一部の客層にも浸透致しております。

ご承知の通り、小売店、特に高級品を扱うようなお店では、店員個々人に売り上げ目標、即ちノルマというものが割り当てられている事が多く、これの達成いかんによって給料やボーナス、ひいては将来の出世にまで影響を及ばすというから皆もう必死のパッチ。

この必死のパッチの様子に、つい情にほだされて買ってあげたくなるのがタニマチ気質の気風の良いところ。

さて、宝飾業界もご多分に漏れず、と言いますか、売り上げの大部分をこういったタニマチ的顧客に支えられていると言っても過言ではございません。

高級ブランドのファッション、アパレル業界などでは春夏、あるいは秋冬など季節ごとの新作発表に伴い、その受注会などと称して優良顧客、すなわち上得意と呼ばれるタニマチ的顧客様を店頭なり、特別会場なりへ招待して、店頭に並ぶ前の新作をいち早く入手して頂こうといった試みが行われているようでございますが、宝飾業界とて実は同様。

宝飾業界はアパレル業界ほど商品に季節感というものがなく、別に春と秋に新作発表会というものを敢えてする必要はないのですが、どういう訳か昔から春と秋が多いようですな。まあ、温暖な気候で外出しやすいと言った加減もあるのかも分かりませんが。

さて、こういった展示会、宝飾品の場合はやはり圧倒的に一流ホテルの大宴会場を借り切っての大掛かりなものが多ございます。天井から豪華シャンデリアのきらめきが会場全体を照らし、その光を受けて陳列のあまたの宝石が眩く光り輝く。もうこの光景だけで宝石好きは陶酔の極みへ昇る詰める仕掛け。

ただ、こういう場所へいざ顧客を動員するのが一苦労。

この様な展示会はその宝石屋なり百貨店外商部なりが一丸となって取り組む事が多いため、新入社員でも容赦なく動員目標はあてがわれます。運よく良いお客を既に掴んでいる新入社員は幸運ですが、そんな有難いお客に恵まれない子は哀れなもの。親、親戚に泣きつくより他ありません。

さて、ではそんな未熟な新入社員中野クンですが、何回か展示会を乗り越え、とうとう泣きつく親、親戚が途絶えたのちはどうしたらいいのでしょうか?

そうです、ついに、とうとう、本来あるべき形としての客に泣きつくのでございます。しかし、そういった新入社員の顧客というものはベテラン社員の見捨てた残りカスと言っちゃ悪いが、見込み薄のお客さんですから、普通に誘ってもおいそれとはのってくれません。しかし中野クンも必死です。鬼の店長からの顧客動員できなかった場合のつるし上げは火を見るよりも明らか。それが展示会ごとに続けば異動か最悪クビ。もう演技も何もない本当の泣き落としがここでやっと出来るわけであります。

 

「今度の展示会なんとかお越しいただけませんでしょうか?」

「ホテルの展示会やなんて私ら分不相応やわ、他の人に頼んだらええやん」

「いや、ぼく高橋さん以外こうやってお願い出来るお客さんいてないんですわ、お願いです、頼みます、せやないと店長から大目玉くらう羽目になるんですわ」

「いやー、そんなんやったら行ってあげたいけど、私らそんな高級なとこで買わしてもらうモンあれへんし」

「いえ、何も買って頂かなくていいんです。お顔だけ出して頂ければ、それで一応僕も努力してお客さん呼んだ言う事で顔が立ちますねん。お食事も出ますし、ご飯だけ食べに来ていただいたらええんで、なんとかたのんます」

「そんなん、行って買わんでええのん?食い逃げみたいで義理悪いやん」

「いえ、買う買わないはあくまで商品との出会いですから、お好みに合うモノがなく、結局買わないでお帰りの方も結構おられます。どうか僕を助ける思ってなんとか!」

「そう、そこまで言うんやったら行ってもええけど、ホンマ買わんよ、言うか、買えんよ私ら、貧乏人やねんさかい」

「ありがとうございます!」

これが新入社員中野のタニマチ第一号獲得の瞬間。

買わないと断言してた高橋さんも、シャンデリア煌めく異次元空間に呑まれ、凄腕販売員にからめとられ、前言を翻し宝飾デザイナーブローチ壱点五十萬円也のお買い上げ。それからというもの、あらあら不思議あら不思議この高橋さん、展示会の常連客になったとさ、めでたしめでたし。

さて、一般的にこういった宝石屋の顧客層は大体が40代から60代の女性客が大半を占める訳で、片や営業にあたる方の社員は20代から30代の若い男子が中心。ついつい母性本能か女性本能か定かではございませんが、よんどころない本能をくすぐられてタニマチ化していく訳でございます。

実際、宝石の購入が目的で展示会に行くのではなく、その担当の社員を助けてあげたい、力になってあげたいという屈折した愛情が購入動機となっている場合が多々見受けられます。

現在、わたくしが勤務しております質屋でも、さらには前に勤めていました質屋でもそうしたタニマチ買いして溜まった品物を定期的に処分されにくるお客様がおられました。しかも双方とも私が以前勤務しておりました宝石屋の得意客。いやー、良心が痛みますねー。

しかし、実はそういったタニマチ顧客の処分品こそが、何と言っても質屋販売の宝飾品の中ではダントツの一押し商品となるのでございます。何せ、高級ホテルの展示会で売られている素性の確かな一級品である事に加えて、義理で買ってるだけに使っている回数も少ないか、全く未使用の場合すらあるのです。例えるなら中古ジュエリーのサラブレッド。

さて、そんな典型的なサラブレッドがこちら。

こちらはクイーンジュエリーという和製ブランドの商品なのでございます。かつては、ホテル催事と呼ばれるそういった大掛かりな展示会のレギュラーメンバー。このブランドはかつてあった平和堂貿易という時計宝飾品の輸入・卸商社が、海外の一流ブランドにも一歩も引けをとらない商品をという事を目指し開発したオリジナルブランドでございます。なにせこの宝飾ブランドを立ち上げたのがあのバブル全盛期。最高の素材を使い、しかも海外の一流工房で制作し、それを日本に逆輸入してという手の凝りよう。

こちらのパールの指輪も、非常に上質なピーコックカラーと呼ばれるブラックの地色の上に赤系統のオーバートーンを呈する黒蝶真珠とシルバーグレーの南洋真珠を上下にあしらい、そのリングのウデにはこれも最上級のメレダイアを贅沢に1キャラット弱、見事なパヴェセッティングによって配してあります。腕の内側にある金性の刻印もK18ではなく750と打刻されているからには海外製造に相違ありますまい。

このリングを製作致しました平和堂貿易なる会社はバブル崩壊とリーマンショックのあおりを受け、残念ながら2016年に倒産したそうでございます。しかし、虎は死して皮を残す、宝石商死して名品を残すの譬え通り、こちらのお品、正にバブル景気の伝説を将来に伝える証したり得る逸品であることに相違いございますまい。

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必須!宝石のアンチエイジング

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最近は美容整形というものが広く世間に認知され、ごく普通の主婦、OLはおろか男性サラリーマンから会社経営者、政治家の先生に至るまで、ありとあらゆる階層にまたがり、まるで美容院やエステの延長の様な感覚で、多くの方がご利用なさっているようでございます。

私なんぞの若い時分には「身体髪膚、之を父母に受く。敢て毀傷せざるは、孝の始めなり」などといって、父母から授かった尊い容姿にメスを入れ改造するなどという事など、もってのほかと言う意見が大勢を占め、そういった施術を受けるという事は、死して後の成仏も叶わぬ罪深い行いの様に思われていた節がございます。

実際、仮面ライダーなどに登場する「改造人間」という者たちは、悪の組織ショッカーによって肉体を改造されたサイボーグで、こやつ等がショッカーの手先として様々な悪事を働くということで、肉体の改造は悪に身をゆだねた証しであるかのような風潮が一時期世間一般の常識として蔓延ったものでございます。

ただ、何事にも言える事ですが、古い価値観は新しいものにどんどん刷新されてまいるのが世の常人の常。「男女七歳にして席を同じゅうせず」などといった戦前の古い貞操観念は今では完全に雲散霧消。男女齢七十の坂を超えてさらに愛欲の曼陀羅、恋の炎を激しく燃やす時代へと突入しているありさま。それが為に自らをより美しくグレードアップし、異性の関心を引きつけたいという欲求は、枯れる事を忘れた年寄り連中にまで広がりを見せ、父母から受けた身体の幻想などまったく説得力を持たない戯言となり、美容整形業界はますますの隆盛を極める状況にあるそうでございます。

さて、美容整形などといいますと何やら顔面の骨を削ったり、鼻っ柱にさらに芯を埋め込んだり、眼窩をさらに掘削し広げたりと大変な作業の様に思いがちでありますが、これら大掛かりな工事は人相そのものの改造。その目的は一般的に見て理想の形状から大きく逸脱した目や鼻や顎や額やまた、それらすべてをひっくるめた全体のリフォーム、改良。すなわちテレビなどでよく観る使い勝手の悪い古民家なんかを根太ごと入れ替え、見違えるほど近代的な住まいへと造り替えるといった匠の技の大工事。

さて、それとは別に最近特に需要の高まりを見せておりますのが、エイジングケアの美容整形と呼ばれる若返りの為の施術。

こちらは年齢とともに現れる肌のシミの除去に始まり、ヒアルロン酸注入によるシワ、たるみの解消。医療用糸による顔面のリフトアップなどなどで、こちらは人相の改善、変更というよりは、本来そうであった若かりし頃の面影への回帰、回復が主眼となります。実際こちらはもって生まれた本来の人相を父母の許し、断りもなく変更するのとは違い、父母から頂いた尊いお顔を修復しようという事ですから、施術を受ける側の罪悪感も大きく軽減されるわけでございます。従来の施術を増改築の大掛かりなリノベーション工事に例えるとすれば、さしずめこちらはあくまでも家のメンテナンス、補修工事。せいぜいが新築そっくりさんならぬ、昔の自分そっくりさんへのお色直し、外壁塗装。

 

「ウチら言うて悪いけど整形なんて無縁の別嬪さんにでけたあんねん最初から、悪いけど。若い頃はこれでも駒川小町言われとってん、知らんやろうけど。

いや誤解せんといてや何も自慢してんちゃうよ、誤解せんといて。ただ事実をありのまま包み隠さず陳述しとるだけやさかいね、誤解してもーたら困るし。

ただな、アレやねん、こうして毎年やね歳を重ねていくとや、やっぱり長年の積もり積もったわが身に及ぶ地球の引力いうのん重力言うのん、には勝たれへん。ほんまニュートンのオッサンもしょうもないもん発見しくさってからに、正味の話が、ねー奥さん。

ほんでや、やっぱりここは現代医学の最新鋭の英知と技術をもってしてやね、この重力から被った被害をや挽回、復興せんものと毅然と立ちあがったんよ、かく言う私は。それがアンタ、エイジングケア―いうやっちゃ。アホ、整形ちゃうちゃうわ。整形いうのんはやな、不幸にしてアンタみたいに生まれつき人相の不自由な人がや、人間性の復興、人生の再出発として意を決して行うやっちゃがな。

私のんは元からあった美を復元しょーちゅーナニやさかい、そんな大層なナニやあらへんねん、ごくごく気楽な、カジュアルなノリのナニやさかいね」

と、まあ当ブログでもお馴染みの駒川のサダ子はんも積極的にエイジングケアに乗り出す勢い。きっと新しい獲物がカラオケ喫茶で見つかったに違いない。

さて、このエイジングケア、実は人間だけに留まらず、宝飾品においても広く行われているのでございます。

皆様方の中にも、宝石屋などで宝石、宝飾品のリフォームという事で、現在お手持ちの指輪やネックレスをリフォームによって、全く違うデザインの新たな品に生まれ変わらせませんか、という販売員の誘い文句にまんまと乗ってしまった経験のある方もおられるのではないでしょうか?

こういったリフォームの場合も、婚約指輪で昔流行った立爪のゴツイ枠から、現在主流の小さい爪のものにリング枠を変えるくらいですと、リングの空枠を買うようなものですから、そんなに高い代金を支払わなくて済みます。しかし店員の言葉巧みな誘導に乗せられ、ネックレスにぶら下がってるルビーと婚約指輪のダイアを合体させて新しい、この世に一個しかない完全オリジナルな指輪を作りましょう、などという事になろうものなら大変な出費を覚悟せねばなりません。

まず、その世界に一個だけの指輪をデザイナーに依頼してデザインを起こしてもらわなくてはいけません。そこでああでもないこうでもないと試行錯誤をかさね、さてこれを製品化する段になると、職人さんの一からの手作業。オーダーメイドという事ですからもちろん高くつく。そして出来上がったものは、最初にデザインありきで、後に材料をそろえるといった通常の制作過程と異なり、リングとネックレスから外した石を無理やり合わせ、取り繕った細工だから碌なものじゃないのがほとんど。わざわざ高い工賃を掛けて、世界に一個しかない珍妙な品物が出来上がるという事が往々にしてございます。

この様なことに高いお金をかけるより、実際わたくしどもが皆様にお薦めしたいリフォームが、人間同様のエイジングケアー。名前もそのものズバリの新品仕上げ!これは、今お手持ちの宝飾品を切ったり貼ったりすることなく、地金部分表面の研磨を行うだけ。それだけでその品物は買った当時そのままの状態に限りなく復元されるのでございます。

さて、ご覧いただいておりますダイアモンドの指輪。ペアシェイプカットのなんと1キャラットのダイアモンドを中央にでんと据え、太いプラルナ枠がこれをぐるっと囲み、さらにこの枠とバランスをとるようにプラチナの太い腕がこれを支えます。

このようなデザインは石の輝きもさることながら、この地金部分のブライト研磨された硬質な輝きが一つの魅力となるわけでございます。しかし悲しい事にこの地金部分、ダイアモンドと異なり非常に傷つきやすいのでございます。別に乱暴に扱わずとも、ある程度の年月お使いいただくと小キズの蓄積によって地金部分全体が曇ったような見かけを呈してまいります。只今お着け頂いてます結婚指輪をご覧いただきますれば、そのさまが良くお分かりいただけるはず。

さらにダイアモンドはご存知の様に滅多な事ではキズつきませんが、反面、親油性が高く非常に汚れやすい。キズまみれの枠に、汚れの為に輝きを失ったが如く見えるダイアモンドが留まった品物はまるで年老いてくたびれ果てた老人の様。「こんなだったかしら、なんかぱっとしないわ、もうしないと思うから質屋にでも売っ払ちゃお」という事で入荷いたしましたであろう本商品。

されど新品仕上げのお陰でほれこの通り。しまったー!こない成るんやったら売らんかったらよかったーと手放した方が見たら地団太を踏んで悔しがるであろう変わりよう。いえ、若返り!

中古といっても当店の商品は全てこの様な新品仕上げを必要なものには施しておりますゆえ、実にお買い得な訳なのでございます。

しかし、この宝飾品が蘇り、輝きを取り戻す素晴らしいアンチエイジング加工をなぜ小売屋は積極的にお勧めしないのでしょうか?

答えは明らか、儲からないし、新しいのが売れないから。でも、尋ねて断るところは少ない思いますから、お手持ちの宝飾品を一度、お買い上げになったお店にでも新品仕上げの依頼をなさってみてはいかがでしょう。見違える事請け合いです!

 

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ほぼ皆既月食

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19日仕事の帰りに ほぼ皆既月食を見る事がでしました。
地球の影に月の全てがかくれるのが皆既月食ですが今回は月の98%がかくれるほぼ皆既月食。
日本では140年ぶりの事だと知り、とてもラッキーな気持ちになりました(^^)
次同じ月を見れるのは65年後だそうです(^.^)

Aでした(^。^)

ナスターシャの瞳 キャッツアイ

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今月の7日、ハリウッドの俳優ディーン・ストックウェル氏が85年の生涯を閉じました。

彼は幼少の頃より子役として活躍し、大人になっても、数多くの映画に出演し、名脇役として存在感のある演技でその出演作に深い色どりを添えてきました。名前は聞き覚えが無くてもそのお顔を見ると、あーっ知ってるって方も多いかと存じます。

その数多くの出演作の中でも、特にわたくしの印象に強く残っていますのが、ドイツの巨匠ヴィム・ヴェンダース監督の名作「パリ、テキサス」の中で演じた、主人公トラヴィスの実直な弟役。

「パリ、テキサス」というこの映画、実は私の好きな映画ベスト5にも入るのでございますが、1984年製作とありますから、まあ毎度の事ながら古い映画の話で恐れ入ります。

映画のストーリーは、4年前に若い妻と幼い一人息子の家族を捨て去り失踪した男、トラヴィスがテキサスの砂漠で行き倒れになっているところを発見されるところから始まります。その所持品から身元が判明し、実の弟つまり、亡くなったディーン・ストックウェル演じたウォルトの元に連絡が入ります。

ウォルトは早速とる物もとりあえず、車で自宅のロサンゼルスから遠く離れたテキサスまで兄を迎えに行きます。しかしこのイカレた兄貴、なかなか一筋縄ではいきません。弟と再会した当初はまったく口もききません。さらに何度もウォルトの元から逃げ出そうとするのです。しかも仕事を抱えたウォルトが時間の節約にと、飛行機に二人で搭乗しようとすると、その飛行機からも逃げ出す始末。まあなんとか苦労の末、長い道のりをようやくウォルトの自宅にまでたどり着くと、そこには4年前に捨てたトラヴィスの一人息子がウォルト夫妻の子供として育てられています。

しかし実直なウォルトは本当の父親が見つかったからにはと、我が子の様に慈しみ育てている妻の反対を押し切り、その息子に真実を告げ、何とか二人の親子の絆を回復させようと色々苦心いたします。さて、その甲斐あってか、親子の絆を取り戻した親父と息子は、ウォルトの妻からの情報を元にヒューストンに居てるらしいという二人の妻であり母であるジェーンを探す旅に一緒に出かけます。

その間、色々あってドラマは複雑に展開するのですが、結局家族は再び巡り合い、誤解は解け、ようやく家族の再出発と言う段になって、この駄目親父トラヴィスはまたまた姿をくらまし、THE ENDとなる結末。ハッピーエンドと思わせてのこの不条理な結末。そして映画全体を通してバックに流れるライ・クーダ―の何とも切ないスライドギターの音色。そしてこうしたロードムービーの見どころ、アメリカ中西部の様々な幻想的な、目を見張るような美しい景色。そしてその若く眩いばかりの美しいさゆえに、老いたトラヴィスに逃げ出さずにはいられないほどの激しい嫉妬心を起こさせた妻役が、まさに適役と言えるナスターシャ・キンスキー。とまあ魅力満載の映画ですが、なにぶんわたくし経験不足ゆえ男女の愛に関してのコメントは差し控えさせていただいて、今回取り上げたいのはこのトラヴィス兄弟の愚兄賢弟ぶり。

と申しますのも、私事でまことに恐縮ですが、手前ども兄弟もまったくこのトラヴィスとウォルトのような典型的な愚兄賢弟の兄弟、つまりアホな兄貴に賢い弟という組み合わせなのでありまして、いつも弟に世話や迷惑のかけっぱなしな愚かな兄こそが、誰あろう、かく申す私なのあります。別に威張らいでもええがな。

以前にもブログで少しご紹介した通り、マンガ家になるだのロックギタリストになるだの、若い頃から全く地に足のつかない夢まぼろしを追いつつも、ただ漫然と日々を過ごし、結局人生何事をも成しえず、今日いまに至った愚兄の私。それに引きかえ、弟は幼少よりこつこつと真面目に勉学に励み、優秀な成績を納め、名のある大学に進学したうえ、堅い会社に就職し、定年まできっちり一つの会社で勤めあげ、今でも某大学の職員として勤勉に勤めているしっかり者。昨年の母親の死に際しても、葬儀その他もろもろから、後のややこしい整理全般も全て一人で引き受けてやってくれたのでございますから、愚兄はまったく面目なく、頭が上がりません。

という訳で今回のディーン・ストックウェル氏のご逝去に際しては、何やら弟と重なるような人物の役を演じられたせいもあり、ご冥福を祈らずにはおれません。更には我が実弟におかれましては、いつまでも頼りがいのある賢い弟でいてくれるよう、その健康長寿をば祈らずにはおれません。

 

さて、という事で本日のご紹介は、失踪おやじトラヴィスの美しい妻を演じましたナスターシャ・キンスキーに因みまして、キャッツアイの指輪でございます。

ナスターシャ・キンスキーと言えばその猫目顔からキャットピープルという西洋版化け猫ストーリーの映画に抜擢された事でも有名。

化け猫と言いますと本邦では、鍋島の化け猫騒動が有名でございますが、その他にも「ゲゲゲの鬼太郎」に鬼太郎の彼女として登場するねこ娘。この化け猫、日本では結構ポピュラーな妖怪なのですが、西洋の方でも、古くから化け猫は生息しているようで、こ奴らはキャットピープルと呼ばれるそうでございます。

さて、ナスターシャ・キンスキーが演じたキャットピープルの女性は人間の男性と愛し合うとなんと豹に変身し、その相手の男を食い殺さないと元の姿には戻れないという呪われた身の上。

いやーこない綺麗な女性とやったら食い殺されても本望やけどなー、ワシやったら。

ええ歳こいてアホな事いうとったらあかんでアニキ!

あっ!弟の声や。マズい、また叱られた。

という訳で、こちらにご覧いただいておりますのは、キャットピープル、ナスターシャの眼窩で燦然と妖しい光りを放っていた瞳と瓜二つ、まさに金色に輝くキャットピープルのキャッツアイでございます。

キャッツアイと一言で申しましても、実際にはこれは宝石における猫の目状を呈する光の特殊効果の総称でありまして、こうした猫の目模様が出る石は、その石の種類にかかわらず全てキャッツアイなのでございます。

ただその中でも、このクリソベリルという宝石に浮かぶ猫の目が何と言ってもキャッツアイとしての評価が断然高く、人気も一番。なぜなれば、ご覧の通り、この宝石は妖しく光る猫の目そっくりそのままだからなのです。

ただし、その中でも良し悪しの評価が分かれるのは他の宝石と一緒。クリソベリルキャッツアイの評価のポイントは何と申しましてのこの真ん中の瞳にあたるラインがまっすぐ、途切れることなく上下端から端までスッと一本、まっすぐに通っている事が重要。ホームページの写真でご確認いただけますよう、実物は本当に途中で瞳が切れて三白眼になることもなく、ぴっしっとした、食べられてもかまわない、いや、食べられたいほど魅力的なナスターシャの瞳を呈しているのでございます。

さて、愛し合った男を食い物にしている世の多くの奥様方よ、さらに多くの恩恵がご主人から授かりまする様、キャットピープルの守り石クリソベリルキャッツは要らんかね?

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芸能人が歯が命ダイアモンドはカットが命

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最近ではテレビやインターネットの普及によって地方色、ローカルカラーというものがどんどん薄れてきております。特にお国訛りなどといった、その地方独自の文化が育んだ情緒ある、その土地ならではの方言が消えていくのは寂しいかぎりでございます。

例えばテレビの人気番組、所ジョージの「笑ってこらえて」のダーツの旅や、笑福亭鶴瓶の「家族に乾杯」などで、全国津々浦々、どこの地域にまいりましても、若い人たちは大体が標準語でインタビューに対応をしております。

ただ、そういった時代の趨勢に取り残され、標準語化が最も遅れているのが大阪。関西漫才の全国的な人気を盾に、若人達も普通に大阪弁でインタビューに対応しておりまして、中には調子に乗って、「なんでやねん!」などとツッコミを入れてくる輩もいる始末やから始末に負えん。

まあ、そうは言ってもやはり私の子供時分に比べますと、大阪弁もかなりその濃度が薄まってきているのもまた事実。

「河内のおっさんの唄」という唄が昔流行りましたが、この唄、その歌詞全編が大阪弁の中でも特にガラの悪いとされている河内弁で構成されております。この唄、このガラの悪さが当時世間にウケて、大ヒット致しまして、なんとヤクザも恐れぬ東映ピラニア軍団、川谷拓三氏主演で映画にもなったほどなのでございます。

わたくしがご幼少のみぎり、まだ小学生低学年の頃、兵庫県宝塚市から大阪府は河内市へと引っ越してまいりました。現在、この河内市は隣接する二つの市と統合され東大阪市となっておりますが、当時は堂々と河内と名乗るほどですから生粋の河内、中河内、本河内、マジ河内。

さて、越してきて早々、近所の田圃に幼いわたくしと弟が網なんぞ携えて蛙を取りに行ったおり、ちょうどそこへ通りかかったその水田の持ち主であろう農夫が幼い兄弟にこの様な言葉を投げ掛けたのです。

「おんどれら、どこどのがっきゃ、おーっ?」

これを直訳すれば「君たちはどちらのお子さんかな、ねえ?」くらいの事で、何という事もないのでありますが、乙女の聖地、お上品な宝塚育ちのやわな幼子にとっては、まるでナマハゲの恫喝の様に聞こえ、たちまち憐れ幼子兄弟は手に手を取って泣き出してしまったのでありました。ホンマモンの河内のオッサンの迫力たるや物凄いものがありましたねー。

しかしえらいもんで、小学校から大学卒業間際までその地で暮らしておりますと、もうそこはウサギ美味しい古里。河内がバッチリ身に沁み、もう生粋の河内っ子と何ら変わらぬようになるもので、卑猥な冗談を女の子に投げかけては顰蹙を買い、それに喜びを見出すような立派な河内の兄ちゃんに成長を遂げたのでございます。お陰で心斎橋の老舗宝石店に就職した際には「君、なんか言葉遣い汚いよ。客が買ぉーていによりましたて、そんな言葉お客さんに使こたらアカンわ、お買い上げ頂きましたや、気を付けなさい、高級品を扱うお店やねんから下品な言葉遣いはあきませんよ」などとよく咎められたものです。

さて、古典落語の中には今では滅多に、というか全く滅びてしまったような言葉がいくつも出てまいりますが、その中にあって飛びきりガラの悪い言い回しが出てまいりますのが、家族に乾杯、駆けつけ三杯の笑福亭鶴瓶師匠、のさらなる師匠、名人六代目笑福亭松鶴が得意としておりました「らくだ」というお噺。

この「らくだ」というお噺は元々が関西落語の演目なのでございますが、今では東京でも多くの噺家さんが演じられる人気のお題。

さてこの題名の「らくだ」ですが、このらくだは何も動物園にいてる月の砂漠からはるばる連れて来られたあの動物のラクダではありません。図体ばかり無駄に大きいが定職にも就かず、人を脅したり、商店の商品をかっぱらったりしながら、家の家賃すら払わぬ傍若無人な暮らし向きをしている横町の鼻つまみ者が、その巨体ゆえにラクダというあだ名で呼ばれております。

お噺は、この街の鼻つまみ者のらくださんが、フグの毒に当たって死んでいる場面から始まります。噺の題の主人公がのっけから死んでいるというのもけったいな話ですが、この死体が後々噺の中の重要な小道具となるカラクリ。いや大男やから大道具ですかな?

さて落語の方はこのらくだの兄貴分、ヤタケタの熊五郎がこのらくだを訪ね、その長屋を訪れ、その死骸を発見するところから始まります。

 

おうッ! 卯之よッ! ラクダッ! けつかれへんのか? おいッ……!

ハハぁ、まだどぶさってけっかるねんな……、おい……!  

やっぱりそや、どぶさっとぉる……、どやこれ、よぉこんな器用などぶさりよぉさらすで、

敷居枕に足庭へ放り出しやがって……、何ちゅうざまや。おいッ! 卯之ッ!

ラクダッ! 起けぇ! あッ!!

 

何じゃい……! どぶさっとぉる思たら、ゴネてけつかる。

枕元にかんてき(七輪)が置いたぁって、鍋が掛かったぁる。あたりに骨がぎょ~さん散ら

ばったぁる……、そぉか……、ゆんべ日本橋で会ぉたときフグぶら下げて歩いとった

「旬はずれのフグみたいなもん食ぅたらえらい目に遭うで」言ぅたら

「そんなもん、だいじょ~ぶや」言ぃやがったけど、

さてはあのフグ食らいさらして当たりやがったな……

【上方落語メモ第1集】その三十一より

 

さあ、いかがでしょう、この小気味よいまでのガラの悪さ。

噺が進行して行きますと、この兄貴分の熊五郎が博打ですって無一文という状況が明きらかになってまいります。それから察するに彼は博打打ち、すなわち渡世人、つまりはヤクザ。そのいかつく、コワモテな人物像を演出するためのガラの悪さなのでありましょう。

あまりのガラの悪さゆえに、よく理解できない、とくに関西以外の方には、もはや外国語並みや思いますので、解説を少しばかり。

最初、卯之よッ!と呼びかけてますがこれはラクダさんの本名なんでしょう。その後の<けつかれへんのか?>これは<居てないのか?>。そして次の<どぶさっってけっかる>凄いですね!これは<どぶさる>は<寝る>、<けっかる>は先ほどの<けつかれへん>の肯定形<居てる>ですから、二つが合わさって、<寝ている>となります。また<器用などぶさりようさらすで>は<器用な寝相をしてるものだなー>ですね。

さて次のフレーズがまた凄い<どぶさっとぉる思たら、ゴネてけつかる>。ゴネるといいますと、普通は不平不満を言う、文句をつけるというほどの意味でございますが、この場合は死ぬという意味でつかわれております。ですからこのフレーズは<寝てると思ったら、死んでいるではないか>という事になます。次の<ゆんべ>というのはゆうべ、昨夜ですね。さて、最後は大体検討がつくとは思いますが、<あのフグ食いさらして、あたりやがったな>は<あのフグを食って、あたったのだな>普通に言えば良いところを<さらして><やがった>が入ると断然強力になりなす。これらは河内の喧嘩、脅しの常套句としてよく耳にするフレーズ。「ワレ、なんさらしてんねん」「メンチ切りやがったな」怖いですね。

さて、この「どぶさる」も「ごねる」も大阪とはいえ今ではまあ使う人もおりませんし、その意味をご存知の人も少ないでしょう。現代の落語家さんはどうなさっているのでしょうか?やはり分かり良い様に現代語訳でやっておられるのでしょうか?それもまた味気ない事ですな。

さて、方言ではございませんが、どのような業界にもその業界ならではの独特の言い回し、「業界用語」というものがございます。宝飾品業界にも実際一般の方が聞いても分らない語句が結構ございます。

例えばダイアモンドに関して。ピケ石という言葉があります。これはダイアモンドの内包物が肉眼で確認できるほどに多く目立つもので、グレードで言うならばI1クラス以下の、ざっくばらんに言いますとキズ石のことです。

また、ゴロ石、スケ石というのもあります。これはダイアモンドの深さの度合いが理想から大きく外れているものの呼称で、ゴロ石は深すぎるもの、スケ石は浅すぎるものを指します。

ダイアモンドの輝きはそのカットに負うところが多く、理想的なダイアモンドの深さはその直径に対してだいたい60%くらいが良いとされ、この数値から大きく外れると輝きが落ちるのです。例えばこの数値が大きすぎるという事は石が深いということで、ゴロ石となります。その様な石はダイアモンド内での光の反射が再び上部に戻らず、脇からあらぬ方向へ漏れて行き、結果見た目が全体に暗い印象になります。その見た目の印象からこの様なゴロ石はネイルヘッド(釘の頭)などとも呼ばれたりいたします。

逆に数値が60%を大きく下回りますと、深さの浅いダイアモンドということになり、スケ石と呼ばれます。これは言葉通りダイアモンドに入った光が底のパビリオン部分で反射されることなくそのまま透過してしまい、見た目ガラスかプラスティックのように透けた素材のように見えてしまいます。その透けた空虚な様子が、死んだ魚の眼の様な有様なのでフィッシュアイなどとも呼ばれます。

さて、こういったピケ石、ゴロ石、スケ石といったダイアモンドはどういった製品に良く使われているかと申しますと、大体が鑑定書があまり必要とされないネックレスやブローチなどの装飾品。

キャラット数と値段だけに惹かれ、こういった光らないダイアモンドを買わされている方はけっこう多いのでございます。

さて、そこへいくと当店一押し、ティファニーのバイザヤードペンダントのダイアモンドというものは実に素晴らしい。同じキャラット数の商品の枠の直径はほぼ全て同一のサイズ。つまりダイアモンドの直径がほぼ均一。したがって深さもそれのほぼ60%に統一されて同一。すべてが理想のプロポーションで統一されて一糸乱れぬ有様。製品によって当たり外れの出る事の無い徹底した厳しい品質管理。もちろんキズ気の無いのは当然なんですが、このダイアのカット、プロポーションが何と言っても輝きの元。ここをおろそかにするとダイアの輝きは充分に発揮されません。さすがティファニーさん分かってらっしゃる!色、クラリティ、カットこの三位一体の優越こそがバイザヤードペンダントの最大の魅力の秘密なのでございます。

 

なんやワレ、ぱっとせんガラス玉みたいなモンぶら下げとる思たらピケのゴロ石やんけ。そんなもんダイヤはダイヤでも、ゴネさらしてけつかるようなダイヤやで。ワレ買おた時、どぶさってけつかったんちゃうんけ?それとも店員にたぶらかされたんちゃうんけワレ。ちゃんと目の玉ひん剥いてようモノ見て買わんとあかんどワレ。そこいくと、このティファニーのダイヤ見てみい。どや、眩しいやろワレ?これだけ光ってはじめてダイア云えんのじゃワレ。そっちのんもダイアには変わりはあらへんてか、アホぬかせワレ、それはネイルヘッド、つまりや、釘のドタマちゅーんじゃワレ、よう覚えとけアホンダラ、ボケ、カス、ワレ!

お後がよろしいようで。

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トンボ!

トンボ!

こんにちわ~ガンです。

先日、蜻蛉池公園に行ってきました♪

とっても広くて近くの公園には無い遊具が沢山あって凄い盛り上がりました(o^・^o)

とんぼ池公園って名前だけあって、いたる所にトンボが!

大きな遊具の上にも大きなトンボがありました~(*゜Q゜*)

超えられないプロの壁

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マンガ界の巨星、さいとうたかを 白土三平 両先生続いてのご逝去、昭和のマンガ世代といたしましては大変寂しい思いでございます。

出来の悪かった子供時分、唯一成績の良かったのが図画工作。漫画好きという事も手伝って将来は漫画家になろうと心に決め、石森章太郎先生が著した「漫画家入門」という本を購入いたしまして、それを頼りに画材店を訪れ、ケント紙、ペン軸とペン先、墨汁、烏口など作画道具一式をそろえ、マンガを描く台まで材木で工作致しました。

さて、いざマンガを描く段となって、まず行うのがコマ割り。烏口を使って定規に沿ってコマの線を墨汁で引いていくのですが、これが思うように出来ない。まっすぐの直線が引けない、均等な太さの線が引けない。定規に墨が付着して定規を動かした途端、紙に墨の汚れがさっと広がる。何枚かケント紙を無駄にしたのち、すっかり嫌になって漫画作成はあっさり放棄。いやはや我ながら諦めが早いというか、根気が無いというか。昔からちょっとした困難にぶつかると何でもすぐ放り出してしまう。そんなんやから長じて大成せんかったんも無理はない。老境に至りて後悔先に立たず、じっと手を見る。

しかし、言い訳するわけやないけど、実際マンガを描くなんて仕事は大変な難行苦行。場面のカット割りを考え。それに合わせてのコマ作成。この時点で既にアウトやってんね僕の場合は。そしていざ作画の段になると人物は言うに及ばず、背景、乗り物、建物、動物、植物、宇宙船に宇宙人、そのストーリーに出てくるありとあらゆる物を描かないといけない、当たり前やけど。しかもそれらを同じタッチで描かねばなりません。人物はカリカチュアした、いかにもマンガチックなドラえもん風なのに、車はリアルなゴルゴタッチなんてのは許されません。そして何と言っても話の筋、ストーリーというものを考えねばならない。映画で例えるなら製作、脚本、監督、配役、美術、衣装、小道具、メイキャップ、全部すべて一人でやらねばならないのですから、これはもう大変な作業。飽き性で根気の無いわたくしなどには到底できない過酷な仕事。早めに見切りをつけたのは賢明な判断だったのでしょう。

実はこの漫画家断念の判断が間違いでなかったと納得したエピソードがもう一つあるのでございます。

今勤務しております質屋の前に働いてました、これまた質屋。そこでも今と同じように小売販売を担当しておりましたのですが、ちょくちょくご来店くださり、時には、お目が高いと唸るような逸品を買って下さる、四十年配のご婦人がおられました。この方、身なりは質素ながら、お召物の生地は高級素材、モノが良いのは明らか。佇まいもいたってお上品。ただ、あまり生活感と言うものが感じられず、来店される時間帯もまちまちなので、いったい何をされている方か全く見当がつかない。主婦ではなさそうだけど、キャリアウーマンて感じでもない。眼鏡をお掛けになって色白、インテリっぽいからお医者さんじゃないだろうか、いやいや公認会計士、いや司法書士、いや不労所得で暮らしている独身資産家、などと店員同士でいろんな職業を挙げては、はしたなくも、あれこれお客さんの素性を詮索いたしておりました。

さて、そんなある日の事、突然お店に来られたそのご婦人、実は探しているデザインの指輪があるとのこと。なんでも偶然出会った見ず知らずの人が着けてた指輪が大層気に入ったらしく、同じようなものがないでしょうかとのお尋ね。

さて、どういったデザインの指輪かを尋ねるも、口頭でのやり取りではなかなか埒が明きません。

「じゃあ、ちょっと紙とペンお借りできますか」とのご要望を受けてメモ用紙とボールペンをお渡しすると、そのご婦人さらさらっと結構複雑なデザインのリングの絵をこともなげに、しかも実に見事な3D画像で描き上げたのでございます。

「こんな感じかな・・」とおっしゃる言葉も上の空。そのお描きになった絵の完璧な描写力に感心のあまり言葉も出ません。こちらも職業柄、プロの宝飾デザイナーが書いた指輪のデザイン画というものは、それまでにも何枚何十枚と見てきた経験はあったのですが、そういったプロが時間をかけて描いた完成図に全くひけをとらない、リアリティー溢れるラフ画を僅か1分足らずで描き上げられたのですもの。なまじこっちも漫画家になろうか、進学にあたっては、芸大に行こうかなんて夢を膨らませていた、ちょっとばかり絵には自信のある身なれば余計その腕前の凄さが分かります。

そうなると、もうお客さんのご依頼より、その絵の方への興味が断然上回ってしまい、

「あの、失礼ですがこの画、無茶無茶お上手なんですけど、てかプロ並みで正直ビビってますねけど、あの、ひょっとしてデザインとかそんな関係のお仕事されてるのですか?」

思わず聞いてしまいました。するとご婦人ちょっとはにかんだご様子で、

「いえ、デザインなんてそんな高尚なことは、・・・実は少女漫画をちょこっと描いてるんです」

「ええーっ、漫画家さんですかー、ひぇーっ!これはお見それ致しました」

なにせこちらにとっては子供の頃の憧れの職業、野球少年だったオッサンがプロ野球選手に偶然会ったようなもの。

それからの会話はもうわたくし舞い上がってしまって、しどろもどろになり何をどう話したか全く記憶がございません。だだそのボールペンによる指輪のラフスケッチによって、プロとアマチュアの大きな隔たりをまざまざと見せつけられ、漫画家の夢を断念したのは正しい選択だったと大いに納得したのでありました。

さて、その様な完成度の高いラフ画ならば、その図面一枚を渡せば腕の良い職人さんは、その頭脳の中でキャド顔負けの立体設計図を組み立て、見事指輪を手造りで作り上げる事が出来る事でありましょう。

しかし、実際手作りの職人さんに製品の製作を依頼する場合は、指輪なら指輪を着けた場合の真上から見た正面図。それに側面のリングが丸い円を描いている方向、さらにそれを90度回転させリングのウデが一本の棒に見える向きの3方向の図を提供することにより、職人さんにより立体的なイメージを理解してもらうようにいたします。

しかし、この図面を描くのもなかなか難しい技術なのです。下手な人、未熟なジュエリーデザイナーがこの3方向の図を描くと、たまにその3方向の整合性が取れていないものが出来上がり、職人をより混乱させる結果をもたらします。例えば、側面図ではリングのウデから伸び上がるようにして地金の花模様が中石に覆い被さるようになっている風に描かれているのに、正面図では本来、石の左右をこの花模様が横断し、リング接合部分を繋ぐ細工となるはずが、中央縦方向にこの模様が描かれていて、この模様を支える部位は?みたいな混乱が起こるわけであります。さすがに現代では先程も挙げましたキャド等の立体画像をパソコンで簡単に作画できるようになっておりますゆえ、こういったミスは少なくなっているのでしょうし、実際には作画を超えてそのまま3Dプリンターでリングの原型まで作ってしまうのですから凄い進歩でございます。

ただ、そういったテクノロジーの進歩を凌駕致しますのが熟練職人の凄技!

こちらにご覧いただいております指輪は以前にもご紹介致しました、現代飾り職人の名工、生野の巨匠にお願いして拵えていただきました、中石に色鮮やかなツァボライト、即ちグリーングロッシュラ―ライトガーネット、両サイドにハートシェイプのルビーを配し、中石を囲むように10個のメレダイアが取り巻く、実に見事な出来栄えの指輪でございます。

さてこちらの指輪、驚くなかれ、制作にあたって、設計図はおろかイメージを伝えるスケッチ程度のものすら職人には渡していないのでございます。各石のサイズバランスだけを平板なトレイ上であわせ、大体のデザインの骨子のみを伝えただけ。いくらパソコンでもそれだけではデータ不足でどうにもならない。

ところがこの出来上がり、どんなもんだい!

中石の石座への沈み具合、ルビーおよびメレダイアの傾斜角度、リング部分の腕の絞り具合と下へ向かうほどに膨らむそのバランスの妙。どれ一つとしてデータとして職人に指示したものはございません。全ては巨匠が長年培ってきた勘を頼りに形作られたもの。

実際これだけのものを手作業のみで創作できる職人さんは、キャドなどのテクノロジーの進化によって絶滅の危機に瀕しているのが現状。こんなのもう50年後には、たとえ精密なデザイン画があったとしても、誰も手作業では作れないんだから。早い者勝ちだよ!

しかし、宝飾職人にもならなくて良かったなー、こんなん百年修行しても絶対よう作らん自信あるわ!まさに天賦の才のなせる技やね。

 

因みに絵のお上手なご婦人の正体が判明した当日、仕事帰りに駅前の本屋に立寄りました。さあ果たしてこんな本屋に普通に売ってる漫画書いてはるほどの有名人ではないやろな、ご本人もちょこっと言うてはったし。それにペンネーム使ってはるやろうさかい、多分わからんわなー、と半信半疑で漫画の単行本コーナーに近づくと、なんと真っ先に目に飛び込んで来たのがそのお客さんのフルネームの記した本がずらっとならんでる棚。こちらが漢字で記憶してるのそのお名前が全部ひらがなで書いてあるからそりゃインパクトありますわ。何がちょこっとや、人気作家さんやん!

思わず一冊買って、今度来はったらサイン貰お思てたんですけど、結局言いだしかねて・・・

将来の夢はすぐ諦めるし、ホンマ我ながら、あかんたれやね。

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目が痒いーの

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季節外れの花粉に苦しめられています。目薬が手放せません。

ハリー中野でした

ニューヨークジュエラーの裏事情

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わたくしが勤めておりました宝石屋の本店がまだ大阪の心斎橋にあって、バブル崩壊後とは言え、まだ栄耀栄華を極めブイブイ言わせていた当時の事。ニューヨークから名の通ったジュエリーデザイナーを呼び、その店の三階にありましたちょっとした展示スペースにて展示会を行う事になりました。展示会に先立ち、展示会前一週間をそのブランドの社員と商品を営業車に乗せ、各外商員が順番にそれぞれの得意先のお宅を訪問しそのブランドの商品を売り込むという、いわゆる同行持ち回りという販促が展開されました。

この同行持ち回りと呼ばれる販売方法は、百貨店外商部などがよく行う販売方法で、主に宝石、時計、呉服、紳士服、絵画美術品等の高級品を、そのテナント業者なりメーカーの社員を同行のうえ客宅を訪問して売り込んでいく販売方法。まあ体のよい押し売りみたいなものですな。しかも複数人で押しかけるからその圧も半端ない。こんなことを普通のお宅にアポ無しで行えば、警察沙汰にもなりかねません。しかし相手はお金持ちのお得意様。その辺は心得たもので、買う買わないは別として、ちゃんとご主人のゴルフの優勝カップなんかが飾られ、鹿の首のはく製が壁からにょっきり生えてるような立派な応接間に通してくれて、一応商品はご覧下さる。

本番のお店での展示会には、ニューヨークからわざわざ遠路はるばる、その会社のオーナーにしてデザイナーご本人が来日して販売に当たるのですが、その前のプレ販売の同行持ち回りにはそのデザイナーさんの息子、ローレンスという兄ちゃんがやってまいりました。

もちろんデザイナーご本人もローレンス君も日本語なんて一言もしゃべりませんから、通訳が必要。ところがその会社、通訳を雇う費用をせこって、ちょうど香港から帰ってきたばっかりの私にその任をまかせようと白羽の矢が立ったのです。いやー、香港人とはお互い外国語としての英語をコミュニケーションツールとして、日本語まじりの片言英語のやり取りで何とか日々過ごしていたものの、本チャンのアメリカン、ネイティブの方の通訳なんて滅相も無いと固辞するものの、聞き入れられず、その一週間はニューヨークジュエラー御一行様担当となり、同行持ち回りにも“通訳”として同行する運びとなりました、いやー参ったね。

困ったのは何も私だけではありません。そのアメリカ人のジュエラーを営業車に同乗させ得意先に連れて行かねばならない外商部の各社員も弱り切っておりましたねー。なにせ外国人の同行なんてみんな初めての体験ですからね。いや、それだけじゃない、そんなことをアメリカでは全くしたことが無いローレンス君も面食らっておりました。大体アメリカでは外商なんてシステム自体が無いらしいのです。「そんな事やってるって悪い奴等が知ったら、車止められ一発でホールドアップよ、頭おかしいんじゃね?」と両手の平を天に向け肩をすぼめる例のポーズ。わっ、よう映画とかで見るやっちゃこれ、ホンマモンやこれ!

さあ、そのプレセールの外商持ち回りはまさに珍道中。担当外商員がいつもと同じような調子で客宅へ訪問するまでは良いのですが、奥さんがひとたびローレンス君を見つけるなり「ちょちょちょと待って、何なん、外人やん!あんたなんで外人なんか突然、・・・困るわー、困るやん、デザイナー連れて行く言うさかいエエよ言うたんや。そんなん外人て言うといてくれんと、いやーどうしょ?ウチ土足厳禁やさかいね!」まあ皆さん大体こんな感じの反応で、こちらは気楽な通訳の立場ですから、そのいちいちが面白いのなんのって。担当者ももう平身低頭で「すんまへん、ホンマすんまへん、せやけど奥さん最初から外人連れて行く言うたら絶対アカン言いはりますやん、僕っかて、会社の命令で、板挟みで辛いんですわー、堪忍してください。もう奥さんとこしか頼るとこ有らしませんねん、たのんますー、すんませーん」 こんなやり取りを横でぽかーんとローレンス口開けて聞いとるわけです。

このローレンス、いかにもアメリカ人気質というのか気さくな兄ちゃんで、すぐ打ち解けて車中では外商員の緊張をよそに色んな話を致しました。もうかなり昔の事ですから内容はほとんど忘れましたが、一つだけ覚えているのがタバコの話。

彼はアメリカ人にもかかわらず、かなりのヘビースモーカー。そのころは私も喫煙者だったのですが、吸ってるタバコがなんと同じマルボロライト。

「おっ、一緒やん。なんて偶然!せやけど日本で売っとるマルボロライトとアメリカのマルボロライト違うん知ってる?」

「ホンマ?知らんかった。せやけどどこがどうちゃうん?味か?」

「おせたろか?実はな吸い口がちゃうねん。吸い口の紙質がちゃうんよ」

「どないちゃうん?」

「日本のは吸い口の紙が唇にネバってひっつく感じやねんけど、アメリカのんはさらさらでそれがないんよ」

「うそ?」

そこでやおらローレンス胸ポケットから煙草の箱を取り出すと

「これはアメリカのんや、吸うてみ」

「おおきに、ほな一本いただくわ。わっ、ホンマや、サラッとしとるわ。こっちのんがエエな」

ここでローレンス片目でウインク。わっ!映画で見るやつや!

 

さて、本番の展示会はいよいよお父さんのデザイナー先生のお出まし。この方、子供時分にナチスのホロコーストから逃れるために家族ともどもヨーロッパから南米に渡り、その後アメリカに移り住んだというなかなかの苦労人。そのせいか非常に人当たりの良いジェントルマンでユーモアのセンスもなかなかのもの。展示会でそこの商品を売りそこなった営業社員に面と向かって “ Shame on you ! “ ( 恥を知れ!)なんて言って笑わせてくれました。

さて、このデザイナーのおじさんの会社、自社ブランドの製造だけに留まらず、なんとティファニーの下請けもやってるとの事。ちょうどお昼休憩に一緒に出まして、何が食べたいかと聞くと、なんとうどんが好きだとおっしゃる。そこで近所のうどんの名店、心斎橋「にし屋」にお連れしたのですが、その後当時心斎橋筋商店街内にあったティファニーのお店を見物したいと仰る。そこでうどん店を出た後、このニューヨークのジュエラー社長をお連れしてティファニー心斎橋店を訪れたのですが、お店の方もまさか自分とこの商品を実際作っている下請けメーカーのオッチャンだとはまさか知る由もなく、ただ、外国人という事で声もかけず遠巻きに見てるだけ。

「なるほど、ところ変われば品かわるって言うけどやっぱり商品構成が大分違うねー」

などと言いながら商品を細かく見ていきます。

「ちょっとこの留め具の細工見てごらん、これはティファニー独特の細工で、これ拵えるのなかな難しいんよ。ティファニーってホント下請け泣かせでさー、細かいとこにまで、いちいちホント厳しいんだよ。もちろん下請けはウチだけじゃなく沢山あるんだけど、仕事が悪いとすぐ切られちゃうんで大変なのよ。ここの丸い輪っかも日本じゃ最初からこういった出来合いのパーツがあるじゃない。実際ウチのオリジナルにはそんなの使てんだけど、ティファニーのはこんなのでも金の線を丸めて一から作らされてんだぜ、勘弁してよって感じ、ホント大変なんだ。それにあそこのエルサって女性のデザイナーがまた小うるさくてさー、ここがダメ、図面どうりじゃない、イメージが違うとか、センスが悪いとか言ってすぐ返品してくるからたまったもんじゃない。それにさ・・」

ティファニーのお店で散々ティファニーのグチを言いだす始末。ティファニーやから英語のわかる店員もおるんちゃうんと小心者のわたくしはひたすらびくびくしていたのを思い出します。

さて、現在こうしてティファニーのバイザヤードを当店の一押し商品として集中販売いたしております今となって、商品検品時のルーペによる細部のチェックを行う際など、あらためてあの下請会社の社長さんのグチが思い出されます。あのオッチャンのグチがこの完成度の高さとなって結実してるんやねー。

エエもん作るには妥協を許さない厳しさが必要いうこってすな。

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