2021年4月
実感!ダイヤモンドに目が眩むチャーのリング
パヴェセッティングと言いますのは、ご存知の方も多いかと存じますが、ダイアモンド等の小さいサイズの宝石を、フランス語で言うところのパヴェ、即ち石畳の様に並べて指輪やペンダントといった宝飾品の台座に石留していく技法で、様々なブランド、メーカーが製品製造に用いております。
しかし、これらの出来栄えの良し悪しは本当、ピンからキリ。悪いのになりますと曇りガラスのカケラのような不揃いのダイアを一応爪らしき形状の枠部分に、あろうことか接着剤で張り付けてあるだけというお粗末なものがございます。そこまでひどいのは論外と致しましても、商品のグレードは枠の造りとダイアの質、そして石留の正確さによって決まってまいります。
石畳とは言え不揃いの石ででこぼこ、歩けばけつまづきそうな田舎道。あるいは古寺の苔むした石畳と言った風情のB級品なら質流れの宝石にもよく見かけます。しかしこれからご紹介いたしますのは全く真逆のピンの方、即ち超一級品のパヴェリングでございます。こんなのは質屋のお預かり品どころか、世間一般の市場においても滅多お目にかかる事の無い、幻のチョモランマ、マチュピチュの如きもの。 意味不明。
さて、その商品の正体とは国産ブランドの雄「チャー」がマニアックにも贅を凝らして作り上げたパヴェセッティングダイヤモンドリングなのです。
この指輪の石留をパヴェ、即ち石畳で例えて申しますと、地面に石ころの代わりに強烈な光を放つライトを規則正しく埋め込んで、一斉に点灯してるかのごとしなのであります。
このようなライティングともなると一流ファッションデザイナーのファッションショーにおけるキャットウォークの照明すら足元にも及びません。なぜならこのような強烈な光を足物から直に浴びせられると、もう対象物は光に飲み込まれ、それを満足に鑑賞する事は叶いません。さらに、そのような下からの光の逆シャワーにさらされたモデルさんは強烈な光でその刹那視力が奪われ歩く事すらままならないでありましょう。いや、失明の恐れすらございます。
なーんて申しますと、古くからの諺、宝石商見てきたような嘘を言い、という言い伝え通りやんけ、ええ加減な口から出まかせ吹聴さらしくさって、とお叱りを被りそうなので、一言おことわりを。
いえなに、旦那何も言葉通りを鵜呑みになすっちゃいけませんやね、どうせしがない香具師の口上、多少の針小棒大という事もお含み頂いたうえで、そこはそれ大人の対応、大人の風格、酸いも甘いもかみ分けて頂いてお楽しみ頂きますれば、はい、まことに左様で、はい恐れ入ります。はい、ご指摘の通り、ダイヤモンドは電球、ランプの類とは異なり、自ら発光する事はございません。あくまでその環境下にある光を反射し輝いているにすぎません。上記の如き記述は過剰広告の誹りをば免れますまい。しかし敢えて私はここで声を大にして申し上げたい。「だってそう見えるんだもん!」
よく、一般の方はダイヤが光ってるとか、宝石が光って入るなんて事をおっしゃいますが、プロの業者はそうは申しません。では、どういうかと言うと「照ってる」「照りがある」なんて事を良く申します。これは光の照り返しというニュアンスが含まれているからだと思われるのですが。この商品に関してはジュエラー歴四十年のわたくしをして「光っている!」と年端もいかぬ童子のように思わずつぶやいてしまうような輝きなのでございます。
では、なぜそう見えるのか?それは簡単。すべてのダイアモンドが最強のツワモノ揃いだからに他なりません。例えて言うなら1番から9番までが全員大谷選手みたいな野球チームみたいなものであります。野球選手の素質が打つ、投げる、走るの3点に集約されるようにダイアモンドの良し悪しはご存知、カラー、クラリティ―、カットで決まります。これがすべて最高の基準で統一されているわけなのですね。もちろん全員大谷選手のチームがありえないように、全石最高品質のパヴェリングも普通はありえないのですけど、チャーさんやらかしちゃったんです。もう呆れるばかり。オタクな造り手、ダイアばか一代!と言わざるを得ません。
しかも良―くご覧くださいな、石のサイズも指輪の中心に向かって大きくなっていくグラデーションの造りでダイアのサイズも均一じゃないのです。普通一般的なパヴェリングは材料が揃えやすいという事で均一のサイズのダイアで拵える事が多いのですが、こちらはデザイン優先、見た目優先。しかも品質には一切の妥協がない。もう病気やね。
さてそれでは、こちらをお求め頂いたあなた様はどうなるかというと、この化け物のような指輪の光があなたのオーラと同化して、行く先々で人々の驚嘆の眼差しが、羨望の眼差し、憧憬の眼差しがあなたに熱く降り注がれることでございましょう。また、奥ゆかしくて、そういうのが苦手な方は、独り夜ごとこっそり宝石箱の上蓋を開き、遠くユーラシア大陸奥地に莫として広がるゴビ砂漠で、深夜仰ぎ見る満天の星空から降り注ぐ針の様な光のビームを驚嘆の心持ちで飽くことなく眺むる快楽を、お部屋の片隅で、月の砂漠に赴くまでもなく存分に独り占めできるのでございます。
話半分で聞いとくんなさいよ、旦那!
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パパラチアはモルディブの海に沈む夕陽の色
「真っ赤な太陽」とは、いまからもう半世紀も前に歌謡界の女王「お嬢」こと美空ひばりがグループサウンズの雄、ブルーコメッツを従え、大胆にも当時流行りのミニスカートをば腰に巻き、ビヨンセもかくやとばかりのセクシーな腰つきで熱く歌った和製ロック?のタイトル。
「真っ赤に燃えた太陽だから、真夏の海は恋の季節なの」という歌詞で始まるこの歌。
しかし実際、真夏の空にある太陽って真っ赤なの?実際は眩し過ぎて直視できませんが、色で表すとすれば光そのものの色、真っ白なんじゃなかろうばい?
そもそも太陽が赤く見えるのは夕日の時に限られるのではないでしょうか。それも真っ赤、深紅というよりもどっちかというと、朱色とかオレンジ色のような若干黄色が混ざったような、いわゆる茜色というやつ。
童謡「赤とんぼ」で歌われる茜色の空の色は、いかにも日本の秋の風情が漂い、郷愁を誘う色でございますね。
しかし、ところ変われば品変わるなどと申します通り、この夕日も見る場所が変わるとがらっと違った風に見えるというから驚き桃ノ木。
この世の楽園、インド洋に浮かぶサンゴ礁の島国、モルディブ。天国の島とも呼ばれるほどの絶景に恵まれ、人として生まれたからには、一生のうち一度は行きたい言われるほどの人気の観光スポット。あるいはハネムーンカポー達の憧れのデスティネーション。
さて、その天国の島で拝む夕日の色こそが、これからご紹介いたします、パパラチアサファイアのこの何とも言えない美しい色として例えられているのでございます。
まさにモルディブが浮かぶ、インド洋に沈む夕日の色と評されるパパラチアサファイアの色は、帯橙ピンクなどと呼ばれます通り、橙(だいだい)色つまりオレンジ色を帯びたピンクなわけで、日本で見られる素朴な茜色とはまた一味ちがう微妙な色合い。この色はまたお釈迦様に非常にゆかりの深い、蓮の花の色にも例えられます通り、まさに西方浄土に沈むゆく、心が洗われるような有難い夕日の色な訳でございますね。
こちらのパパラチアサファイアの指輪。中石にはちょっとアンバランスな三角形のパパラチアサファイアが使われております。なぜ、正三角形でなく変形の三角かと申しますと、もとの原石の形に出来る限り沿った、宝石の目減りをなるだけ減らそうとした努力の現れ。つまり原石からの歩留まりが高いカットを行った結果なのです。
そうして生まれましたアシンメトリーの宝石の形に合わせ、この宝石が生きるようなデザインのリング枠を拵えなければなりません。
その結果、出来上がりましたのがご覧のデザイン。こういった高級素材のリングにありがちな、ありきたりの左右対称のオーソドックスなデザインでは無く、如何にも現代的なこのモダンなフォルム。三角形のパパラチアサファイアをホワイトゴールドの枠が、さらに三角を基調として幾重にも取り囲む。さらにメレダイアも全ての方向に入れるのではなく、わざと三角の一辺方向だけを地金のままの状態でおいてあるという凝りよう。
入荷当時、この卓越した中石とデザインのバランスの妙を見るにつけ、これはきっと有名デザイナーの名前を冠した作家物に違いあるまいと思ったのですが、刻印を探すもそれらしき形跡が見当たらない。ただし金性の表示が750とございますから、海外で作られたものかと推測できます。やっぱりこの辺の感性というものはインポート品独特。宝飾品文化の歴史が古い分、一日の長というものが伺えますね。
さて、この希少なパパラチアサファイアでございますが、今から20年ほど前になりますでしょうか、マダガスカルから良質なパパラチアサファイアが多く産出されたという事で、大量に市場に出回ったことがございます。しかし、実はこれがベリリュウム拡散処理という人工的に着色した処理石。当時は大手鑑別機関もこれを看過し、大問題に発展したことがございました。
ほんだら、これも中古やし怪しいんちゃうの?と訝る向きも多いかと存じますが、ご安心下さい。こちらは製品化するにあたって、もちろんベリリュウム拡散処理も看破する最新の鑑別技術により、新たな鑑別書を日本最大の鑑別機関、中央宝石研究所にて取り直しております。
天然本物のモルディブの夕日の色を、日本に居ながらにして是非ご堪能頂きたいものでございます。
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ゾッカイは湯婆婆のネックレス
アンタ、何それ?鼻くそみたいなペンダントぶら下げて。ダイヤてか?そんな小マイもんダイヤや何や判れへんがな。ウチ等目エ悪いさかいよう見えへんし。そんなもん着けん方がましやで。貧相なんがよけ貧相に見えるわ、ビンボ臭!止めとき、止めとき!なに?若い娘等に流行ってる?アンタのどこが若い娘や?いっこも若ないがな。どう贔屓目に見ても立派なオバハンや、オバタリアンや。アンタな、若い娘いうたらな、別に何んにも着けいでも綺麗やねん。お肌でもピーンて張りつめとるがな。何も塗らいでも頬っぺたでもピッカー光っとるし。お尻でもパーンとはち切れんばかりや。アンタみたいに垂れ尻ほっぺのほうれい線が二重にも三重にもなっとらんねさかい。そんな子らと同じ土俵で勝負しょうちゅーのがそもそもの間違いや。アンタの無残な老いぼれ加減が余計に目立つだけで、世の憐れみこそ誘えど、誰もエエなんて思てもくれへんねん。そやろ、違うか?無茶苦茶言う?何も無茶苦茶なことあらへんがな。アンタの事を慮って正論を述べとるだけやろが。アンタの事を思えばこその親心や、な?実際ホンマにあんたみたいなオバハンの親やったらエライ歳になるけどな、ハハハハハ!
それやったらどないしたらエエてか?ホンマ世話焼けるオバタリアンやで。
まずはこのウチを見てみいや。このわたくしをば見いなさい。かの哲学者ニーチェが言うとる「この人を見よ」いうのはウチのこっちゃ、知らんけど。
どや!この手。十本の指全部にゴツイ指輪がしのぎを削ってひしめき合おおとる壮観なサマ。持ってる指輪全部刺しとんねや。せっかく高いゼニ払ろて買おたんや、着けやな損やろ?
なにが下品や?なにを小癪にも知った風なことを身の程知らずな上から目線でほざいとんねん。便所のスリッパごとき面構えの下品のサンプルみたいなアンタになんど言われたないわ。ほたら、何か?数が沢山あって下品やったら千手観音さんはどないなるねん、えっ?別名下品観音とでも呼ばれます、とでもお寺の小冊子に書いてまんのか?しょうもない事言うとったら承知せんで、ホンマ正味の話が。
これはな、湯婆婆着け言うて、今流行っとんねん。ツイッターなんぞのSNSでもみんな指輪両手にいっぱい刺せるだけさした写真アップしてはるんや。知らん?そら、知らんやろ、未だにガラケイ使こてはる様な人には。せやけど湯婆婆は知っとるやろ?え、娘と映画館へ「千と千尋の神隠し」観んに行ったん?ほなら話は早いがな。アンタの娘時分みたいな、あか抜けんダサイ小娘が、なんや知らん、妖怪の温泉旅館みたいなところで下働きの修行するいう筋のスタジオジブリのアニメや。宮崎駿な。よけ儲けてからに、なー?
そこの旅館の女主が湯婆婆や。この婆さんが指いっぱいにゴツイ指輪刺せるだけ刺しとるんや。それがカッコええちゅうんでツイッターでいろんな人が自分の持ってる指輪両手の指に刺せるだけ刺してやな、それを写真で写してからアップしてはるんや。「どんなもんじゃ凄いやろ、これ全部でなんぼする思う?貧乏人には遠く想像のおよばん額やで、ヒヒヒヒ」ちゅーてな。成功のあかしや。明石家さんまちゃうで言うとくけど。人生の艱難辛苦なんのその、功成り名遂げ、こうなりました偉いでしょ私、言うてはるんや。なに?自慢しいやんそんなん、てか?甘い事言うとったらあかんで、この世知辛い世の中、自分で自慢でもせん限り誰も褒めてくれんねんさかい。せいぜい自慢して高笑いしたらよろし。そのほうが気分爽快ストレス解消でええんちゃうん。大体これだけ指輪はめたら、汚い指の地肌も見えんようになって、皺もシミも変形した関節も皆隠れて一石二鳥、キルツーバーズウイズアストーンやがな。
さて、これからが本題や。指輪だけようけ刺してるだけじゃあ片手落ちや。ネックレスはどないするちゅー話やわな。これだけ指輪刺して、アンタのその貧弱な鼻くそペンダント着けて映えるか?な?答えを待つまでも無い。ほんならどうする?首にもいっぱいじゃらじゃらネックレス着ける?ブー。ブーです不正解。残念でした。両手に宝石じゃらじゃらさせて、首までじゃらじゃらさせたら、しつこいやろ?うるさいやろ?鬱陶しいやろ?だいたいやね長いネックレスを何本もつけると絡まって外す時難儀するんや。下手したら首しまってまうがな。殺す気かー、ちゅーてな、人殺し―、ちゅーてな、ハハハハハ!
湯婆婆見てみ、あの婆さんそんなんじゃらじゃらつけてはれへんねん。ゴツーイ石のペンダントをや一個ドカッと着けてはるだけや。その方がおさまりエエがな!
それでや、ウチもそれに倣って、どう、このペンダントネックレス!
言うとくけどチンケな国産とちゃうで。舶来や舶来!今の若い子ぉに舶来ちゅーたかて通じんで、気いつけや、南蛮渡来言わんな通じんさかい。ハハハハハ!
びっくりしいなや、これは何とイタリア製!メイドインイタリーや!ゾッカイいうイタリアの有名ジュエリーメーカーの逸品。どう?もう製品としての雰囲気からして違うがな。いかにもイタリアンいうオーラがほとばしり出てるやろ?ローマ、ミラノ、ベニス三都物語いう感じやん!エンリオモリコーネいう感じやん!ルキノ・ヴスコンティ「地獄に堕ちた勇者ども」いう感じやん!カリギュラいう感じやん!知らんけど。
ほんで肝心なんがこの大きい宝石。どう?スモーキークォーツいう石やねんけど、日本では煙水晶と呼ばれてんねん。邪気を払う魔よけの石らしいねんて。パワーストーンちゅーやつやな。貫禄あるがな!色目もシブイがな!それにこの石を支えるペンダントの枠よ。この細かいダイヤと二重のバチカン、側面の雫型の透かし。さすがただ者や無いわ。ネックレスかて、ほれ見てみ、この如何にもイタリアンチェーンいうボリューム感。チェーンの中途こら辺にゾッカイのZのイニシャルがさりげなくぶら下がってるのがまた粋やがな。ほんでこれが18金は18金やねんけど、なんとピンクゴールドの18金ででけたーるからびっくりや。どう、こんなんしてはる人滅多いてないんちゃうん?
アンタもそんなしょーもないネックレスなんか質屋で売り飛ばして、代わりにこれ買いよし。
今やった楽天で、ドゥペールノエルいう店がお買い得掘り出し価格で一個出しとるさかい急いで買わんな!早よせな売り切れてしまうで!心配しな、ローンも有るさかい!
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ダイアモンドの邪魔をしないギメルのダイアリング
夏井いつき先生の厳しくも的確な俳句添削が人気の、テレビ番組「プレバド」
目玉の俳句だけではなく、水彩画、色鉛筆、消しゴム版画など色んなジャンルで腕に覚えのある芸能人が技を競い合うのですが、上手な方々の技術の高さに毎回舌を巻いております。
そうしたお上手な方は、回を経るごとにどんどん段位が昇格して行く仕組み。名人ともなればもう玄人はだし。若かりし頃、絵の道に進もうかと悩んだ私。毎回タレントさんたちの達者な筆さばきを観るにつけ、間違った道に進まず良かったと変に納得させられるわけであります。
さて、先日も色鉛筆を用い、与えられた題材を描くコーナーで、名人四段から五段への昇格をかけて、毎回ビックリするような卓越した腕前を披露してくれるモデルの辻元舞さんが登場。
お題はなんとダイアモンド。職業柄、こりゃおもろいやんけ、と注視したわけであります。
結果は見事名人五段に昇格を遂げられたのですが、しかし宝石に携わって四十年、GIA・GGディプロマ取得のわたくしの眼は誤魔化せませんぞ。残念ながらダイアには見えない。もちろんファイアーと呼ばれる光の分散もちゃんととらえて、上手くは描けているのですが、ダイアモンドのそれではない。どちらかと言えばダイアモンドの類似石、合成ルチルに近い。
これは何も辻元さんの技量不足であるという事ではなく、彼女ほどの達者な腕の持ち主でも、ダイアモンドの美しさを絵で表現するのは難しいうことであります。すなわち、浦島太郎の歌にもある通り、ダイアモンドは「絵にもかけない美しさ」なのです。絵だけではございません。写真あるいは動画ですら目の前にある実物のダイアモンドを正確に伝えることは不可能なのです。
さて、そのような絵にも描けない美しきダイアモンドを一番美しく見せる装置、仕掛けがダイアモンドソリティアリングなのです。
こんにゃく、もとい婚約指輪などでよく見かけるダイアモンドのソリティアリングというものは大体デザインのパターンが決まっておりまして、ダイアを留める爪はほとんど6本か4本。デザインオプションとしては、腕にダイアを入れるか入れないかくらい。
脇石としてダイアを入れる場合はラウンドのメレ、あるいは小さいファンシーシェイプを両サイドに1個づつ、または2個、3個ずつ位を左右対象に入れる。あるいはご覧の写真のリングの様に細かく一列にメレダイアを並べて入れるか、または細かいパヴェセッティングに仕上げる。大体それくらいのパターンなんじゃないでしょうか。ですから、こういったダイアモンド婚約指輪用の出来合いのリング枠というものは、国産メーカーの多くが、石のサイズに応じて、幅広く用意し新規ご婚約用としてはもちろん、昔の爪の大きな立爪タイプからのリフォームにも対応すべく準備万端怠りないのでございます。
さて、そういった市場に数多く出回っておりますダイアモンドソリティアリングとこちら、日本が世界に誇るギメル社製の指輪どこがどう違うのでございましょう?
中石が違う?いえいえ、たしかにこちらのセンターに留まっておりますダイアモンドはDカラー、VS1、トリプルエクセレントという最高品質のダイアモンドでございますが、婚約指輪というものは大体良いダイアを使うのが常でございますから、こちらが特段優れているわけではございません。じゃあリング枠を一個一個手作りしてる?いえ、枠をじっくり観察してみてもロー付けなどの手作りの痕跡はなく、量産のきく通常のキャストによる枠であろうかと思われます。ではこちらのリング、御徒町や南船場で売ってる空枠とどこがどう違うのか?
実はほとんど違いはございません。ただし微妙な違いがございます。そのわずかな違いこそが、それギメルのギメルたる所以。
日本のビバリーヒル、芦屋奥池、神秘のヴェールに包まれた宝飾品工房ギメルの アートディレクター・穐原かおる氏がこだわった微妙な違いを、不詳わたくし、荒くれ者、DQNがたむろする大阪は針中野の質屋の老丁稚が恐れながらも解説つかまつります。
まず、第一に挙げたいのは素材。通常こういったプラチナのリング枠というのは大体プラチナ900が使われます。しかしギメルはプラチナ純度にこだわってのプラチナ950。95パーセントプラチナ含有率の地金を使用しております。これは単に純度の高いプラチナに地金部分を変更するという簡単な事ではございません。プラチナは非常に柔らかい金属ですから、純度が高いほど柔らかくなって細工が難しいのです。製品化に耐えるほどの地金の圧縮、あるいは化合する5パーセント部分の金属の工夫が必要となります。
そして、デザインの細かいディテールの拘り。リングの真上から見ると腕がダイアに向かって徐々に細くなっているのがお分かりいただけますでしょうか。この細工によってセンターのダイアがより大きく見える効果を産み出しているのですが、その分センター寄りの幅の細い部分の腕の強度が落ちる。その点を補うべく、腕の縦方向の厚みは逆に厚くしてあるのです。またセンターのダイアの留めですが、こういった立爪タイプの枠は留めるダイアのガードルの角度が一様では無いため、留めるダイアモンドに合わせて職人が後から切れ目を刻んで留めていくのですが、結構これが難しい作業のようで、爪とダイアの間に隙間があるものをよく見かけます。しかし、こちらはさすがギメルのクラフトマン、文字通り寸分の隙も無くきちっと留められております。
また、腕に留められた細かいダイアモンドをセットしているそれぞれの小さな爪ですが、こういったキャスト枠ではこれだけ細かい部分になりますと、結構不ぞろいだったり、上下左右が均等でなかったりするのですが、そういうアンバランスが全く見られず、もう最初の図面通りの仕上がり。もちろん留まっているダイアのサイズもセンターに向かって腕の太さとともにスムースなグラデーションを呈しております。グレードは言うまでもなくギメル基準、最上級クラスのメレダイアであることは言うまでもありません。
とは言え、これらの細工の工夫はギメルさんとしては、中石に対して行う最低限の礼儀程度。
あとは最上級のダイアモンドが邪魔な障害物の無い舞台で独壇場。絵にも描けない神々しくもまばゆい輝きを燦燦と見る者皆に等しく与えたもう。
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乙ちゃんに捧ぐ!ブラックダイアの指輪