2021年1月
伝説のムゾー鉱山エメラルド
東男に京女なんてことを申します。日本国中いろんな人間が住んでおりますが、その中でも男性ならば、東京の出身。女性ならば京都の出が一番良いとされております。
器量なのか、性格なのか、いったいどこを基準に良いとされているのかイマイチ分かりませんが、昔からそういうのですから、間違いないのでしょう。
浪花節の次郎長伝などでも、江戸っ子である事をよいしょされた森の石松が上機嫌になり、相手に「寿司食いねえ」と寿司をふるまうシーンが出て参ります。事程左様に、江戸っ子と言う言葉自体がすでに誉め言葉になるほど、東京出身の男子は値打ちがあるとされていたわけであります。
実は宝石にもそうした「出身地」によってハナから良いとされているものがございます。例えばカシミール産のサファイア。ミャンマー産ルビー。ブラジルはパライバ地方で採れたパライバトルマリン。こういった産地で産出されるものは、おおむね品質の良い、その宝石の代表的な美しさを示すものが多いという訳でございます。
さて、それでは、エメラルドになると、どこの産地のものが良いかと申しましと、これはご存じの方も多いかと存じますが、コロンビア産という事はもう宝石の世界では常識。しかし、コロンビアといっても、いささか広おござんす。コロンビア国内でもエメラルドを産出する鉱山はいくつもございますが、その中でも最高級品質のエメラルドが採れると言われているのがムゾー鉱山。
このムゾー鉱山は、かの宝石鑑定者育成プログラムGIA GG取得の為のテキストの中においても、きちんと取り上げられているほどの高い名声を得ているのでございます。
しかし、このムゾーのエメラルド、日本の宝石学の第一人者、諏訪先生のホームページによると、キズが多く、美しさの欠けるもの、透明度の低いもの、色みの悪いものなどの産出がほとんどで、ジェムクォリティーは全体の1%にも満たないとされています。
さて、これからご紹介いたしますのは、そのムゾー鉱山で採れるエメラルドの1パーセントにも満たない言われる、実にレアな、世界最高品質とされるジェムクォリティー、ムゾー鉱山産出のエメラルド。これをばセットいたしました指輪でございます。
前出、諏訪先生のホームページの説明によりますと、ムゾーエメラルドの特徴として「濃いグリーンで柔らかな味」とございます。
実物を検分いたしますと、一般に広くいきわたってますエメラルドと比べまして、まず印象として、濃い、ディープという印象でございます。普段安物の、薄いメロンジュースのようなエメラルドばかり見ておりますと、ともすると、濃すぎるという印象を持たれがちです。これは普段安価なワインばかりを呑んで粋がっている庶民が、いきなりテレビの「芸能人格付けチェック」に出てくるようなフランスはブルゴーニュ地方秘蔵の一本ウン百万円もするというようなワインを飲んだ時の違和感に通ずるのではないでしょうか。
長い年月を経て、樽の中で熟成されたフルボディの葡萄酒は、ともすると葡萄ジュースの焼酎割のようなワインしか飲んだことのない庶民、貧民の舌には、重く、渋く、苦く感じられることでしょう。これと同様、このエメラルドも地色が深く濃いのに加え、諏訪先生ご指摘の様にインクルージョンが多く、透明度が低くなっております。この欠点ともとれる特徴が、実は逆に色の奥行と、これも諏訪先生ご指摘の色の柔らかさを醸し出すことに貢献しているのでございます。
単に明るく、華やかなと簡単に表現できる表層的な美しさではなく、暗く沈んだイメージの中からジワリ浮き立つ、あたかも古美術品のような時間の蓄積の末に生まれ出る美。何億年もの時間の堆積が結晶となる宝石の奇跡をまざまざと見せつけくれるような美しさが、この石には秘められているのでございます。
さて、こちらの指輪は通常のお客様から買い取らせて頂いたものと異り、この希少なムゾーエメラルドのルース、つまり石だけの状態を、業界内のオークションで落札いたしました後、大阪でも三本の指に入ると名高い、名人飾り職人の親方によって指輪に仕立てあげたものでございます。両サイドのダイアも勿論無色透明のエメラルドカット。中石留めの爪のみエメラルドの緑を引き立てる工夫でゴールドを使っております。
子々孫々まで家宝として受け継がれるほどの逸品として、自信をもってお勧め致します当店の完全オリジナル、ムゾーエメラルドの指輪でございますれば、是非ご購入ご検討賜りますよう、店主に成り代わり御願奉りまする。
商品ページはこちらから → https://item.rakuten.co.jp/douxperenoel/11003644/
常夏の島タヒチからの贈り物
さて、今回のご紹介はこちら、タヒチパールを18金とダイアモンドを贅沢に使ったゴージャスな枠にセットした素敵なピアスでございます。
まず、ご注目頂きたいのがこの黒い真珠。これは冒頭でも申しましたとおり、タヒチパールと申しまして、かの南海の楽園、南半球にある、フランス人画家ゴーギャンが愛した常夏の島、タヒチ島で採れる真珠なのでございます。
そのパールが採れます貝の種類、黒蝶貝にちなんで黒蝶真珠とも呼ばれることもある、黒色の真珠なんですね。
ただ、黒色と言いましても、真っ黒な炭のような黒一色で、ツヤのないのはダメなんです。
どういうのが良いかと言うと、黒の地色、つまりベースの色ですね、その上にオーバートーンと言って、上に被さるように、例えて申しますと、絵の具の重ね塗りの様にグリーンの色が重なって見え、そして更には、その上になお、赤いオーバートーンが被さってくるとなおの事良いとされてるんですが、どうですこちら、写真じゃなかなかお分かりいただけないかもしれませんが、そのようになっていませんか?
こういう色目を専門家の間では、ピーコックカラーとよばれているのです。ピーコックと言うのはご承知のように孔雀の事。
このオーバートーン豊富なカラフルな黒い真珠が、孔雀の羽を彷彿とさせるところから、そう名付けられたそうです。
じゃ凄い真珠じゃない!と驚くのはまだ早い。ちゃんと欠点をお伝えしとかないと、詐欺商法になっちゃいまいますからね。このタヒチパール確かに色の面はピーコなんですが形状がおすぎなのよ、じゃなくで形状が理想のパールの形からすると、少々外れてるわけです。
真珠の理想的な形状というのは、まず真円。真ん丸な球形が良いのでございますが、こちらはドロップといって、しずくのような形状。さらに、サークルといってパールの表面に輪のような模様が、写真でご覧いただきますと、平行の線として、真珠表面を幾重にも巻いているのがお分かりいただけますでしょうか。これは、残念ながらどちらも評価におけるマイナス面。
しかし、この製品の凄いところは、このマイナスポイントを生かして、最終的な商品の出来栄えを良くしている点なのでございます。
先ず、この雫状の形状は、そのまま素直に活かして、耳からぶら下がるデザインの中で、本当の雫の滴りのような動きをデザインの中に生み出しておりますね。
そして、このサークルは、イヤリング金具にも同じようなサークル状の模様を更に幾重にも加えることにより、あたかもデザインの一部として見事に活かしきっているのでございます。
そして最後の仕上げとして細かいダイアモンドを無造作に振りかけたが如くに巧みに散りばめてセットされている。
欠点を美点に変えてというところに、女性の美容や装いにも生かせるヒントが何やら潜んでそうなこちらのお品。
実際、専門家から見ると非常にあざとい、というか巧妙な造り、まさに玄人好みの逸品と申せましょう。
宝石上級者にお勧め !
掲載ページはこちら → https://item.rakuten.co.jp/douxperenoel/01003378/
LOVEネックレスで倦怠期を乗り越えようの巻
さて、ご覧いただいております浮き輪のようなペンダント。こちらはカルティエの名高いラブシリーズのラブネックレスでございます。
カルティエと申しますと、以前もご紹介いたしましたが、
「Jeweller of kings, king of jewellers 王の宝石商、宝石商の王」とウィキペディアにもある通り、1847年、ルイ・フランソワ・カルティエによって花の都フランスはパリの地で創業されて以来、ヨーロッパの王侯貴族御用達の宝石商として不動の地位を築き上げ、今に至るも世界中の富豪、セレブたちのあこがれのジュエリー、高級時計のブランドなのでございます。
その中にあって不動の人気シリーズが、こちらのネックレスが属します、ラブコレクション。
ラブコレクションは1970年にニューヨークで誕生したとありますか、らもう半世紀の間カルティエの顔として人気を集める、奇跡的な定番商品でございます。
なぜ、これほどまでにこのシリーズは人気を博しているのでしょうか?
それは、第一にその名前の由来ともなるLOVEの命名。恋人たちの愛がいつまでも続くようにとの、祈りと誓いのしるし。これを贈り合うことがロマンスの最終章。契約の調印。そういう意味で、このシリーズの結婚指輪、婚約指輪は結婚目前のカップルに圧倒的な人気を得ているのでございます。
さて、次にやはりデザイン。シンプルでありながらユニーク。印象的なビスモチーフはこれまでに無い画期的、かつ斬新なデザインとして、新しいもの好きのニューヨーカーの度肝を抜いたとか。なにせ、ジュエリーにマイナスのネジ頭が堂々とデザインとしてくっついている。なんじゃこりゃー、と当時のニューヨーカーが優作の真似して叫んだとか。
さて、このビスのデザインですけど、ちゃんと深い意味があるのでございます。これはなんと中世の女性が着けていた、あるいは着けさせられていたというべきか、貞操帯に刻まれていたビスをイメージしているとか。これを贈り合う事で男女はお互い、操を守りましょうというお約束。しかし、現代の若者、いえ、いい大人ですら貞操、操なんて言葉、あるいはその意味するところを知ってる人なんて稀。知らないんだから当然、貞操など守れるわけはない。
ま、そんな意味合いの起源は知らなくても、愛し合う二人が贈り合って満足すればそれで一件落着。
それでは、こちらのペンダントネックレスを検分していきたいと存じます。
まず、ペンダントでございますが、直径が約23ミリ、厚みが約2.8ミリの大きさ。円盤部分の中身が抜けた輪っかの形状。その輪の幅が約3.8ミリ。ぱっと見はまるでホームセンターなんかで売ってるワッシャー金具そのもの。
このペンダント表面、時計の文字盤に例えて1時3時5時7時9時11時の位置にマイナスビスのマークとダイアモンドが交互に配してあります。そして裏面下部にはLOVEと刻印がございます。ただしこの刻印Oの文字とEの文字にはマイナスビスのマークがそのまま使われていて、これを強引にOとEに読ませる仕掛け。おしゃれじゃございませんか。
そしてこのペンダントを吊るす鎖でございますが、こちらもご覧の通り、ホームセンターで売っているような、いかにも機械のパーツ然とした角アズキと呼ばれる、鎖の原初のデザインが用いられているのでございます。
つまりこちらのペンダントネックレス、ビス模様の刻印とダイアモンドが無ければ如何にも無骨、まるで機械パーツで簡単に組み立てたかのような単純明快なデザイン。
これこそが、創業200年に達しようかという、世界に君臨するジュエラー、カルティエが試行錯誤の末達した愛・LOVEの形。Simple is best の境地ではありますまいか。つまり、ビリージョエルが歌うところの I love you just the way you are いうことちゃいますん?知らんけど。
という事で、はるか昔、結婚指輪にラブリング送ったお父さん、長きにわたる結婚生活の間、操を守れなかった罪滅ぼしに、奥さんにおひとつどうどすえ?
掲載ページはこちら → https://item.rakuten.co.jp/douxperenoel/01704351/
夜の帳のむこうからサックスの音響きたる
「センセ、センセ。いかがでござんす、このサックスのブローチ。洒落てるでげしょ?」
「ああ、楽器の形のブローチか?変わっているね。しかし家内が気に入るかねえ?」
「何言ってんです。奥様になんて誰が言いました?センセにお勧めしてるんですよ」
「えっ!ワシがするのか?これを?冗談言っちゃいけないよキミ。子供じゃないんだから。第一、こんなの一体どこに着けるんだね」
「あれ、何にもご存じない無いんですねセンセ。ラペルピンといって、こういうのを紳士がスーツの襟とかに着けてるの見かけたことありませんか?」
「あーっ、そう言われれば、そんな景色を目にしたような気もするが。でもそういうのって、キミあれだろ、芸能とか、裏社会とか、いわゆるカタギでない人の装束の仕様じゃないのかね」
「何言ってんですか、ちゃんとまともな稼業のサラリーマンやお医者さんとかが、普通にお洒落としてお着けになっますよ。大体センセこそ人の事をカタギでない、なんて言えた義理じゃないでしょ」
「何をキミ失敬な。しかしこれを着けると何かな、お洒落という事になるのかな?」
「そうですよ。だからお勧め申し上げてるのじゃないですか。こういうのをお着けあそばして銀座にでもお出ましになると、もう女の子からのウケが違う」
キャー先生、お洒落なブローチ。素敵!でも、どうしてサックスなの?
いや、若いころちょっとかじってたもんでね。これでもミュージシャン志望だったんだゾ
「いや、ワシはそんなちゃらけたモンはやっとらんぞ、キミ」
「やってなくても、ここは、やってたって言っとくんですよ」
「嘘をつく訳か?」
「しょっちゅうついてるから、お得意でしょ?」
「キミ、人聞きの悪い事を言うのは謹んでくれたまえ。で、それから?」
「それからじゃありませんよ、ミュージシャンてのは女の子にもてると相場はきまってる・・・」
「あい判った、皆まで言うな。なるほど、それを糸口に女の子の興味、親近感をぐっと高め、こちらへグイと手繰り寄せるわけだな?」
「手繰り寄せられるか、寄せられないかは先生の外交手腕にかかってますが、良い会話の糸口になるんじゃございません?」
「なるほど、合点がいった。外交ならお手の物。なにせ、そちらは本職じゃからな、キミ。では、早速頂くとしよう」
「ありがとうございます。せっかくだから、もうお着けあそばされたらいかがでございます? そんな野暮な議員バッジや党員のバッジなんか外して頂いて」
「そうだな、もう夕刻だし、早速いざ出陣とまいろう」
ことほど左様、世のセンセ、シャチョー、ダンナ、にアニキ。やっぱモテようと思ったら男とて装いに凝らないといけませんぜ。
今宵はひとつ、夜のシジマにむせび泣くサックスのブローチでめかしこんで、いわゆる夜の街へ歓楽に繰り出そうではございませんか。良い事ありますぜきっと、ヒヒヒヒヒ
掲載ページはこちら → https://item.rakuten.co.jp/douxperenoel/01003081/
ガチャポンから出たようなリアル指輪
「この花は私です」てな台詞を人気アイドル、花の三人娘の一角を担う桜田淳子ちゃんが、歌の前説で語ってたのは、今を去る事四十年以上も昔の話。ちなみにこの三人娘とは中学生時代から健気に芸能の道で活躍されている山口百恵、森昌子、桜田淳子の諸氏である事は、同年輩にあたる還暦あたりのお歳の方ならちゃんとご存じのはず。
お三人とも結婚などを機に芸能活動から遠ざかり、それを嘆くファンも数多くおられましたが、ことに桜田嬢におかれましては、新興宗教教団入信、合同結婚式とセンセーショナルな話題で一時期芸能ジャーナリズムの恰好の餌食となっていましたね。
それはともかくとして、「この花は私です」のセリフで始まる歌の題名は「花物語」といって、自らを花に託した、少女の切ない初恋の気持ちを切々と歌っている楽曲でございます。
この歌の主人公ともとれる、可憐な少女の唄う歌を聴くは、ニキビ面の思春期、青年期の血気盛んな野郎ども。こやつ等は、歌の文句をまさに自分に向って打ち明けられた恋の告白のような錯覚に陥って聴き入り、もう前後不覚、無我夢中、全集中でアイドルの虜になってしまうのでございます。
これが、今でも連綿と続くアイドル商法の根幹ともいえる手法な訳でございますが、考えれば考えるほど奇妙なからくりでございます。
なにせ、この歌詞自体が可憐な少女、桜田淳子さん自身の創作ではなく、したがって本人の気持ちなどひとかけらも入っていない。この歌の場合で言えば阿久悠先生という日本歌謡史に燦然と輝く、超大家の手によるもの。さすが巨匠、実にツボを心得た巧みな言葉の操り具合ではございます。あの場末の安酒場でとぐろを巻いている、チンピラのような顔で、いけしゃあしゃあと臆面もなく「手に取って綺麗だと言ってくれるでしょうか」は恐れ入る。
つまり、血気盛んなお兄ちゃん達はアイドルの可愛い娘さんを媒介として、むくつけきおっさんに口説かれているようなもの。すなわち、可愛らしいお嬢ちゃんが運んできたむさくるしいオッサンからのラブレターを、お姉ちゃんからのモノだと勘違いして舞い上がっているようなもの。勘違いも甚だしい!
結果、勘違いした野郎どもは、このお姉ちゃんのレコードを買いあさり、コンサートに押しかけ、グッズを買いあさり、その結果プロダクションは大いに潤うという仕組み。
よく出来たカラクリよな、越後屋。
恐れ入りまするお奉行様。
お主もなかなかのワルよのう。
なーに、これもみんなお奉行のお仕込みで。
わはははは!
わははははは!
さて、そこでわたくしも、阿久悠先生にあやかって、などとまことに畏れ多い事ではございますが、ここはひとつ、こちらの商品をあなた様に売り込んでみようではございませんか。
「この花は地金です・・・」
あかん、詩心が全くないから後が続かない。阿久先生参りました。
ではいつもの様に粛々と商品説明を進めて参りましょう。
こちら最初に申した通り、地金、つまり18金のホワイトゴールドとイエローゴールドのみによって作られたリングなのです。
「それがどないしたんや?」とまったく宝飾品に無頓着な方はおっしゃるでしょうが、実はこういう地金だけの指輪と言うのは近頃では非常に珍しい。せいぜいが結婚指輪がいいとこ。
しかもこちら、デザインがフラワーモチーフ。お花をモチーフにした宝飾品と言うのは、宝飾品の中でもダントツに多いカテゴリー。でも大概はダイアをはじめ色とりどり、色んな種類の宝石で飾り立てられているのです。
しかるにこのリング、なんと地金で作った花びらやガク、花弁などというパーツ、パーツを組み立てて作った。まるで単純なおもちゃの細工のような造り。これは実にユニーク!
最初どこかのブランドかと訝ったものの、それを表す刻印等もまったく見当たらない。誰がこんなハイセンスな指輪こしらえたのでしょうかね?
なにせ、見た目が実にカワイイ。なんかレゴブロックでできたかのようなこの外観。それでいて正真正銘のゴールドってんですから、洒落てるじゃございませんか?
いかがです、「手に取って綺麗と言ってくれるでしょうか?」
掲載ページはこちら → https://item.rakuten.co.jp/douxperenoel/01002913/
春の予感、ローズクォーツの指輪
誰しも人生を歩む中で、人との出会いにおいて、メンター、即ち師と仰ぐような人物の存在の一人や二人はあるのではないでしょうか。わたくしの場合も、そのような方が二人ほどおられます。
仕事の面においては、私が以前勤務いたしておりました宝石店が、初の海外出店を果たした香港時代。ペニンシュラホテル、ショッピングアーケードにある、ヴァンクリーフ&アーペルズのショップマネージャーをやっていた香港人女性を引き抜き、新店舗の店舗運営、現地スタッフの管理をお任せしていたのですが、その方、商品知識面から管理、接客まですべての面において非常に秀でておられ、随分色んな事をお教えいただきました。立ち居振る舞いから装いまで、非常にクール。まさに出来る女、いや、出来る人物。今でも尊敬の念を抱いておりますが、未だ足元にも及びません。
もう一人は、宝石店勤務当初の二人目の上司で、このおっちゃんは先に挙げた出来る女史とは裏腹に、仕事面では非常に不器用、と言うか、商売には全く不向きな方だったのですが、実は早稲田大学文学部哲学科卒業か中退だか除籍か、とりあえず大変なインテリ。何せ同級生に、かの博覧強記のブラ・タモリ氏がいたと言うくらい。実際には一面識もないとの事でしたが、小百合ちゃんは見たよ、と誇らしげでした。
この人、文学部の看板どおり、大変な読書家。古今東西の名著、名作は全て読破している勢いで、私のような薄っぺらな知識では全く太刀打ちできない。一方、映画にも大変造詣が深く、しかもこちらの方のお好みは、サブカル傾向のマニアック好み。ちょうどその頃ぼちぼち出始めたのが、レンタルビデオ店。このおっちゃんに勧められてレンタルで観たのが歴史的カルト映画「ブレードランナー」。
いやー参りましたね。いかにも小津安二郎とか言いそうなおっちゃんが、こんなん観てんねやー、ひょっとして趣味合うんちゃうん?それを試すべく、その頃の私のお気に入りの「未来世紀ブラジル」という映画をお勧めし返すと「君なかなかいいセンスしてるじゃないか」って。
それからと言うもの、仕事の枠を超えての希少なサブカル、カルト、オタク仲間としてお付き合いいただくようになったのですが、「ブレードランナー」に次いでお勧め頂いたのが、先ごろお亡くなりになった名優ショーン・コネリー氏主演の「薔薇の名前」という名作。こちらストーリーの体裁はミステリーという事になっておりますが、中世ヨーロッパのカトリック修道院を舞台とした、実に幻想的な映像美。内容はすっかり忘れてしまいましたが。
という事で、宝石の中の「薔薇の名前」がこちら。
いやー、いつもながら回りくどい、ようやくたどり着いた!
ローズクォーツ、薔薇の水晶。日本じゃ雅に紅水晶てんですが、まさしく「薔薇の名前」の宝石でございます。
ご覧いただきますように半透明の実に柔らかい、はんなりとした色合いで、あたかも桜餅のような風合い。これですよ、日本女性の柔肌に映える色合いというのは。
ご覧のようにこの指輪、中石のカボッションに研磨されたローズクォーツは結構大きいのですが、不思議と全然威圧感の無い穏やかな印象。この上等の、ういろうのような半透明のピンクの色がさらに、ボタニカルデザインのゴールド枠に映えて何とも言えない。
いかがです、そこはかとなく春を感じさせる風情じゃございませんか?「春はあけぼの。やうやう白くなりゆく山際、少し明かりて、紫だちたる雲の細くたなびきたる」と、かの枕草子に歌われている日本の春の気配そのもの。
さあ、まだ春遠い寒風吹きすさむ中、待ち遠しい春を指輪で先取り、どうですか?
掲載ページはこちら → https://item.rakuten.co.jp/douxperenoel/01001852/