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ハリー中野の宝石コラム

ギメル アレキサンドライト ナウシカを蘇らせる王蟲の指輪

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今から20年ほど前、わたくし、今は無くなってしまいましたが、大阪の南船場にあったAGTという宝石鑑定、鑑別、教育機関にてGIA GG 資格取得の為、仕事の合間を見つけては嫌々通い、色石の鑑別訓練等の指導を受けておりました。
ある日、トイレの為中座し、帰ってまいりますと受付に、頭の先からつま先まで寸分の隙もない、一目で高級素材と知れるツヤ感のあるゴールド色、シワ一つないスーツに身を包んだ紳士が、これまた一目で高級カーフ素材と思われる赤茶色のビジネスバッグを携えちょうど訪れたところ。そしてこれも、いかにも高級紳士らしい、よく通るバリトンで
「お邪魔します。ギモー商事の○○でございます」と挨拶されました。
 
教室の戻った私、大阪では滅多にお目にかかれない高級紳士の素性がやたら気になり、私と同様、資格取得の為に通ってる、実家が宝石商の年下の同級生に尋ねたのでございます。
「なあ、ギモー商事って知ってる?」
「ええ、ギメルさんでしょ?」
「なに、ギメルさんて?」
「ええーっ!ギメルさん知りませんの !? 業界でギメル知らん言うたらモグリですよ。なんせオーナーさん、芦屋のお金持ちのマダムでありながら、妥協を一切許さん、品質にこだわったジュエリーを作り続け、日本のメーカーとし初めて、サザビーズだかクリスティーズだかの表紙飾ったいうほどの凄い会社なんです。ホンマ知りませんの?」
「へー!そうなん。初耳やけど、今その会社の人見かけてんけど、ピシーッとしてはって、社員の身だしなみにも一切の妥協が許されてなかったわ。俺なんか絶対続かんな」
「その前に、雇ってくれませんよ」
 
これが、私が初めてギメルの名に接したエピソード。実際その後古物業界に身を置くようになり、稀ではありますがギメルさんの商品を目にする度に、その完成度の高さ、各々の宝石の高い品質に目を見張ったものでございます。
 
今ではギメルさんの名声はすでに広く一般の知るところとなり、宝石にご興味のある方なら当然ご存じのことと存じますが、さらに詳しくお知りになりたい方は、スマホ等でググって頂きますと致しまして、紙面の都合上、本題へ入りたいと存じます。
 
さてこちら、ギメル人気の定番、石留ハニカム構造のパヴェリング。ハニカムたってなにも恥ずかしがってもじもじしているんじゃない。指輪の石留の裏側が、石が綺麗に収まるように、ハチの巣状に綺麗に仕切ってある。しかも見えない裏側なのにちゃんとブライト研磨を施してあり、少しでも多くのライトリターンを狙ってます。
留まっております石は言うまでも無くピカイチのダイアモンドとアレキサンドライト。ダイアは色、クラリティー、カットどれをとっても申し分のない、国内では入手困難と思われる最上級のメレダイア。しかも石留においてはすべてのダイアのカット面の向きが、あたかも北朝鮮の歩兵かくやというほどにピッタリと一致してしているのです。そして、このアレキサンドライト、すべてカボッションに加工されてるのですが、これら色味の良いのもさることながら、全て内包物の無いクリーンな石。通常色石をカボッションの加工する場合は内包物の多い濁った石を使うのが一般的。これは、たぶんファセット加工してある綺麗な結晶をあえてカボッションにリカットしたに相違ございますまい。しかも、色、変色性が高品位でピタッと見事に一致してるのです。材料の選定は一個一個オーナー自ら行ってらしゃるという拘りが、こういうところに如実に伺えます。
 
普通、こういったパヴェ形式のリング、ダイアモンドと色石のコンビネーションで拵える場合は、大体カットの様式もダイア、色石同様にそろえるものなのですが、これはどういう訳かアレキサンドライトだけがカボッションになっております。その結果、文字通り綺麗に敷き詰められたダイアの石畳の上にアレキサンドライトだけが飛び出して、ひと際目立つようになっているのでございます。
地味なアレキをこういう形で引き立ててやって、全体のバランスをとっているのかもしれませんが、その結果このリングの見た目、アニメ「風の谷のナウシカ」に出てくるオームの多数の目を持つ頭部を彷彿とする外観となっているのです。しかもオームの眼、普段は青なのに感情が激すると赤に変わるという。ひょっとして、ここいらあたりにオーナー婦人の隠れた製作の意図があるのかも。
まさかね?
いずれにいたしましても、気に入った宝石材が入手できないなら商品は作らないという、オーナー様の頑固なこだわりのお陰で、需要があるのに入手困難なギメルさんのお品。以前も遠方からギメルさんのお得意様がインターネットで当社が出品しております同社のお品を見かけ、自らメルセデスベンツを駆ってすっ飛んで来られました。
 
なにせ、質屋には最も縁遠い客層の購入されるギメルさんのお品。これを掘り出し品と言わずして何と申さばよろしかろう?
掲載ページはこちら → https://item.rakuten.co.jp/douxperenoel/01002115/

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